貴子はこの日、小さな賭けをしていた。
それは、高校生活最後のイベント歩行祭で、
クラスの男の子に話しかけ、誰にも言えなかった秘密を清算する事。
そんな気持ちを胸中に収め、貴子は歩行祭に参加する―――
恩田陸さんの『夜のピクニック』
結構前に映画化もされて、いつか読む&観ようと思っていた作品でした(^∇^)
この物語の主軸となるのは、忍君と歩く西脇融(とおる)君と、
みわりん(本名忘れた
)や梨香・千秋と歩く甲田貴子さん。この他にも杏奈さんや高見君・内堀さん等とガヤガヤと話したりして、
ただ80キロ歩くだけの小説をずっと飽きさせず読ませてくれました。
そうさせたのは、まず歩きながらのおしゃべりが楽しかったのがあると思います。
一つの話があって、そこから話しを膨らんだり横道にそれたりする、
そんな何気なさなところがスゴイいいなって思います。
歩行祭の最初の方は、靴を集める男の演出法とかを話し合っていたのが、
だんだん夕方になり、夜になって疲れてくると、短文会話になっていくのとか疲れてる感がとても伝わります(笑)。
他にも、他校の子を妊娠させた父親探しとか、アメリカに行った杏奈さんからの謎の手紙だったりとか、
去年紛れ込んだ男の子の幽霊話だったりとか、恋愛話だったり、もちろん貴子さん・融君の問題もあり、
退屈させる暇もないくらい、てんこもりにイベントが多発します(^▽^;)
作品の主軸となる二人を好きになれるかで、見方が変わってくるかもしれませんです。
貴子さんは歳相応より少し落ち着いた感じの快活な高3。
忍君曰く「引き算の優しさ」ができる人ww
反応が遅く、言われたことを一回租借して、あとからじわじわとムカつくとか感情が湧いてくるのは共感できます(^∇^)
融君はクールな感じで早く大人になりたいと思っている同じく高3。
表面的にはぶっきらぼうですが、地の文では、色々と心情が描かれていて
彼の表面以外の人となりがしれたので、意外にとっつきやすかったです。
逆に映画版だと、台詞・演技の部分だけしか伝わりづらいこともあるので、
彼の良さがあまり伝わってこなかったのが残念です・・・
また、私は彼のものの見方が好きで、夜ライトを点けて歩いてる一行を見て、
夏祭りの提灯に喩える所とかは、私的に高ポインツですww
小説では地の文もあったため、ただ歩く歩行際を常に飽きさせることなく、
中だるみなく読み進めることができました!
重いと言えば重いテーマですが、恩田さん的なファンタジーな雰囲気に包まれてやんわりとなっていますので、
ちょっと不思議なおまじないが叶う、青春小説として楽しく読めると思います!
お勧めです

・・・で、映画版も一緒にちょい書きを。
こちらは多部さんが貴子役でちょっと興味ありましたので観ました。
やはり映像は歩くところに終始されていたのが(たまに小ネタ入れてきますが)、ちょっととっつきにくかったですね。
上にも挙げたように融君は良い奴って分かっているのに、集合写真の時は思わず、
やな奴、やな奴!!
コンクリートロードは止めた方がいいぞ。。。
って感じました。
でも、登場人物が私の想像と大きく違ったりする部分は、面白かったです。
私的には高見君は、小池徹平君みたいな感じを想像していましたし、
内堀さんもデスノートのキラさんが高校の時の秀才な彼女さんみたいなイメージを抱いていたのですが。
また最後の犬のふせん回収は好きでした

- 夜のピクニック (新潮文庫)/恩田 陸
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ここからはネタバレありの雑文です(多分誰得にもならない雑文ですww)
確実に何枚かのショットは自分の中に残る。
去年もおととしもそうだった。
今年も残る光景の中に、このススキが原は含まれているに違いない。
二度と通らない、何気ない風景だけれど、この一瞬は、恐らく永遠なのだ。
この行の文章が好きですね。
その一瞬一瞬が未来を作っていくみたいなことは、使い古された感がありますが、
使い古されたと言うことは、あらゆる人の共通認識にあることなんだなぁって思います。
忍君と高見君の二人がこの小説の中で好きな人物です!
ちょっと違った気遣いも楽しいです、どうしてもくっつけようとするところがあるある~な感じでした(^∇^)
特に忍君の熱い語りはこの小説の特筆すべき点だと思います。
引き算の優しさとか普通思いつかないよ!!
引く優しさ・・・
「タイミング」とか「ぐちゃぐちゃになれ」とか、言いたい事はなんとなく分かる気がします。
本当に良い子です(*^▽^*)
そして杏奈さんが策士過ぎます!
日本のど田舎にまさかの爆弾を持ってくるとは、
しかも爆弾の弟さんも全く意識していないというのがまたミソw
あと大ラスで、まさかのラスボス内堀さん登場(笑)
最後の最後の疲れている時を狙うとは。。。。分かっていらっしゃる。
そして、昨日まで一生話すこともなく卒業していくと思っていた人が、今、隣を歩いて話しをしている。
なんだかそれはとっても奇跡だなって思いました。。。
「なぁ、例えばさ、甲田が腹違いのきょうだいだと知らなかったら?」
「えっ」
「知らないで、同じクラスになっていたら、どうなっていたと思う?」
~
「近づきたがっている、理解したがっている。そんな気がしたんだ」
融・忍の会話。ifの話しを持ち出す忍君。
忍君の熱く物事の本質を言い当ててるところが好きです!
「でも、今、してんるじゃん」
「え?」
融がきょとんとすると、貴子は小さく笑った。
「これって、凄く青春ぽくない?
高校生活最後の行事。歩行祭の、一番終わりの頃になって、
ようやくこれまで口をきいたことのない、憧れのクラスメートと話をしている」
融は絶句したが、つられて笑った。
「だな。しかも、腹違いのきょうだい。超メロドラマ」
「青春じゃん」
二人の会話。
ドラマだと歩行祭が終わるとドラマも終わりだよ。
でも現実は、これから・・・みたいな一連の流れが号泣とかではないですが、
心にしみこんできました。
この作品は私は文章で気に入ったものが多いので、小説が好きです。
何気ない学校行事とかも、ちょっとした何かがあれば、
一生することのない機会にめぐり合えるかも、って思わせてくれる作品でした





