本レビュー Another | Bluesky under moon

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ハードカバーの表紙が印象的なこの作品は、分厚さもインパクトがあり、総数650ページ超という長編小説ですww
読んでいけば表紙の方がミサキさん(もしかしたら人形の方かも)と分かるのですが、
このミサキさんが謎めいていて、すごく魅力があります(^∇^)


架空の都市・夜見山を舞台に起こる、不思議で理不尽な死の呪いのお話し。

仕事の都合で父がインドに行くことになり、その間の一年、
母方のおばあちゃんが住む夜見山市で暮らすことになった榊原恒一君(15)。
直後持病の自然気胸が再発した為、入院していたが、回復も順調で無事退院することになり、
その時エレベーターで一人の女の子と出会う。
私の好きなボーイミーツガール小説で、ジャンル的にはホラー・ミステリー・オカルトな小説なのでしょうが、
私的には青春小説の印象を受けました星
恒一君とミサキさんのやり取りがいちいち可愛いんですよww
ある事情で誰からも相手にされないミサキさんに、積極的に話しかけにいったり、
恒一君自身もクラスで相手されなくなった時、皆は僕たちが見えないけど、
僕たちもお互い二人しか見えないんだ、って思って嬉しくなったりしたりしているのが、
少し共感できて微笑ましいです。


主人公・恒一君の一人称で語られる文体はとても読み易く、
はまってしまえばサクサク読み進めることができると思います。
同じ言葉を繰り返し使ったりされているので、自然と心に残るフレーズも多いです。
そして、のちのちそれが重要なキーワードだったり。。。


前編は、学校を中心に不可解な現象が次々起こる問題提示的な感じで、
どうしてクラスがこんなによそよそしいのか?
どうしてミサキさんがクラスを抜け出しても注意しないのか?
どうしてクラスの皆が恒一君に隠し事をしている(ような振る舞いをかなりしています(笑))のか?
と、どうしてだろうと思うことがてんこもりで、グイグイ読み進めてしまいます。

後編では、クラスに起こっている問題の根本を知って、その対策に奔走します。
事情通な人も登場して、物語の概要が大分分かってくるのですが、
それでもwhy?who?what?がなかなか分からないので、ドキマギして読み進められますビックリマーク

最後のどんでん返しは、スゴイの一言です。さすが綾辻さん。。。
そういえば、綾辻さんは、前に読んだのが「殺人鬼」だったので(笑)、
これもグロ描写が酷いのではないかと恐々としてました(>_<)
(いやだって、生きたままお腹引き裂かれて、自分の内臓を食べる描写とかあったんですよ。少々トラウマになります…)
グロ描写がソフトで良かったです(^o^;)

恒一君やミサキさん、、おばあちゃんや怜子さん、勅使河原君や望月君、クラス委員の風見君や桜木さん、
そして千曳さんと、人物も良い人が多かったのが、私的に良かったです。キャラ読みする方なので汗
特にメイン二人は人物もいいですし、二人の距離感も好きですw
恒一君は「頑張れ少年」って応援したり、感謝の念を忘れないまっすぐな好少年なことも、ポイント高し(^∇^)
また、架空の都市・夜見山の描写も、少し郊外の自然の多い地域が思い浮かべ易かったです。

ただ、この現象の根本的な問題があれれ?な感じで終幕を迎えましたので、

何故この現象が起こるのか、論理的に説明、若しくは物証を提出してもらおうか!
とか、

どうしてこんな現象が起こるんだい?訳が分からないよ、
いや、そんなことより僕と契約して魔ほ←蹴


って人にはモヤモヤが残ってしまうかも知れません。
私はこの不思議さも作品の魅力の一つかと思います。これが解決する続編があれば読みたいですがあせる

本の分厚さに戸惑うかもしれませんが、文字数はそこまで多くなく、読みやすい文体ですので、
ホラーやミステリ好きな人にはゼヒ読んでみてくださいビックリマーク
おススメです四葉2

あと、こちらアニメ化&映画化決定らしいです!!
映像化難しいでしょうに・・・けど頑張って頂きたいです。
放送されるなら絶対見ます星
Another/綾辻 行人
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これより先は、本編ネタバレを多分に書くかもしれませんので注意してください!


26年前、ミサキという皆に人気のあった生徒が急に死んでしまった。
同級生は凄いショックを受けている中、その中でふと「ミサキは死んでいない」と言った。
するとクラスの皆も賛同して先制もクラス皆で卒業しようと生きている振りをして卒業式を迎えた卒業式のとき、
取った集合写真にミサキの姿が・・・・

結局呪いが何故起きたかは、具体的に分からなかったのがやっぱり残念です。
500ページくらいで、「残りページで呪いの解決するのかな?」って思ったのですが(^▽^;)
また、見崎さんが死に近い人が視える目(リーディングシュタイナーっぽいです(笑))も、
なんでなん?思わなくもないです。
これも現象と同じく、そういうものだからとしか言えないです。
ですので、これだけで最後、怜子さんを手がけてしまうのは少々う~みゅな感じでした。。。
葛藤とか、なにかしらもっとあって欲しかったです。ましてや母と重なる怜子さんなのですし。

それにしても、増えた一人が怜子さんというのは虚を付かれました!
私は残念ながら全く分からなかったです。望月くんじゃね?って思ってたくらいです(笑)

確かに分かってから読むと、かなりヒントが散りばめられてましたね。
私も父の電話の夜見山にいたのが一年半前っていのうのが気になってました。
気になってましたが忘れてました←

お父さんは呪いの圏外で、おじいちゃんは呆けてたからですかね?
レーちゃんはインコだから影響を受けにくいのでしょうか。

勅使河原君や風見君・望月君との絡みはもっと欲しかったです。
意外にあっさりとしか書かれていないようですし。
テシ君が風見君をやっちゃった時とか、そのあとの火事のせいもありますが、かなり描写が少ないです。
そこらへんのやりとりは脳内補完しろということですかね←違う!

赤沢さんもいい感じの嫌味キャラだったのに、出番が少なかったのが残念です。
アニメ化したら出番増えてそうですが、なんとなく。


一人増えるクラスの死の連鎖。
この恐怖は死というはもちろんですが、きっかけとなったり、抑止となるボーダーラインが
分からないこともかなりの恐怖だったと思います。
分からないという恐怖はかなりですからね。
わかっているのは3年3組の成員が一人増えたら、毎月必ず人が死ぬ。
対策は一人増えた代わりに、一人いないものとして扱うこと。
いないことの振りができなかったら呪いは再発。
夜見山市以外は圏外で呪いは発動しない。
死はクラスの成員の他二等親内の家族。
くらいですかね。
あとは手探りで対策を練るしかなく、下手にきっかけにならないようどうしても消極的になってしまい、
今回のようなことが起きたのかと思います。


『うつろなる蒼き瞳の。』は、雰囲気が良さそうですね。
なんとなく「耳をすませば」を思い出しました。
見崎さんに似ている人形。
実の娘を想って造られた人形。
見崎さんの問題もできれば何かしら落ち着く場所に留めて欲しかったでした。



どこかのブログ様でも書かれていましたが、続編で本当の意味で3年3組の呪いを解く物語を描いて欲しいです。
恒一君とミサキさんならできそうですし(^∇^)


本当に面白い作品でした四葉2