Deeder | 点滅信号に感情移入

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Asian Dub Foundation - New Way New Life


2001年にボーカルのDeederが脱退したときはむちゃんこショックを受けた方も多かったように思います。
なぜなら、Asian Dub Foundationの音にはDeederの声が乗っかるしかないと思い込んでいたからです。それからADFをぱったり聞かなくなりました。





Asian Dub Foundation - Burning Fence


今日、偶然にもADFの最近の音源(Burning Fence)を車内で聞いて、やっぱりDeederがいた頃のADF以下だなあ、と思うと同時に、これはこれで、違うバンドの音楽と思って聞いたらおもしろいかなあとも思いました。歳をとった分、キャパが拡がったのだと思います。
しかし、まったく別モノ。マッチョすぎます。

そのDeeder君、デビューした当時はものすごく若かったように思います(20歳くらい?知りません)。激しいドランベの打ち込み音のむこうから聞こえてくる、その若いけど大人ぶってる声、マッチョとは程遠い、しなやかなボーカルがなんとも言えず魅力的でした。

Deeder君が脱退する前のライブも見に言ったことがありますが、完璧でした。
僕等は汗とよだれを振りまいて、フロアを踊り狂っていました。

Deederの最大の魅力は、その若さゆえの「迷い」というか「苛立ち」というか、そういう不完全燃焼を常に内包していたかのような「憂いの表情」にある気がします。彼は脱退後、ソロで活動を始めますが、残念ながらその作品は、ADFにいたころのような輝きはなく、不完全燃焼がそのまま不完全燃焼してしまっている感が拭えない作品となっています。

世界中に特別な輝きを放つ有名人や過去の偉人と呼ばれる人っていくらかいると思いますが、そういう人って、常に自問自答できる人で、常に「不足」を感じることができる人で、いろんな束縛や呪縛や制限の中にいるにも関わらず、さらに高い山に挑戦できる人だから、特別な輝きというかすべてを振り切った謎の光を放っている気がします。

そういう意味では、Deeder君は自ら山を目指すことを辞めてしまったような気がしてなりません。
壁にぶち当たっていたのかもしれませんが、血まみれでもいいから突っ込んでほしかったように思います。

おしまい。