民法を勉強していて、ふと思ったこと | 点滅信号に感情移入

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昨今の不況の煽りを受けて、僕が勤務する事務所でも扱う案件数が減少し続けています。


しかし最近は、「本人確認」や、「意思確認」、「個人情報保護」に関する取り扱い基準が厳格化されてきていて、申請代理人としての資格者の責任負担が目に見えて重くなってきています。


ですので、一つ一つの案件に費やす各コストは増加しており、結局の仕事量は減らないまま、しかし業界全体のダンピング競争を懸念して、受け取る報酬は据え置き、という悪循環に陥っています。


まだ不動産が動きやすい郊外都市に事務所があるため、なんとか忙しくさせていただいていますが、都市中心部で登記業務を中心にしてきた事務所の場合は特に深刻なようで、職員の解雇や契約社員への切り替え、さらに深刻な場合は廃業に追い込まれているケースをよく耳にしています。


建設会社から一般個人に不動産が売却される、いわば「最終段階の手続き」である「登記の移転」の状況がこういう実情なので、前段階に関与する各業界の実情も容易に想像できます。


しかも、現在の不動産の市場価格は依然として下がっておらず、価格下落に関する期待感からか一般個人が買い控えしている膠着状態にあるため、少なく見積もっても今年いっぱいはこの状態が続くと予想されます。


ですので、今後も厳しい状況が続くという前提に立つと、既存業務のコスト見直しをしつつ、新しい分野への業務拡大を行っていかなければ生き残れない状況であることは明白です。



士業業界(司法書士・税理士・公認会計士・弁護士・行政書士・社会保険労務士 等)は、「マーケット拡大」「新規顧客獲得」などの営業分野に関しては恐ろしいほど慎重になりますし、もし規定違反や怠る事実が発覚すれば問答無用に処分される、冒頭の資格者の責任負担増大という事情から、それは仕方が無いことのようにも思えます。


ただし、法律的な手続きがわからず問題を抱えている一般の方や、この不況の中、事業を続けていく上で不安を抱えておられる経営者の方がまだまだたくさんおられるのも事実だと思います。


ちなみに、一般的には「登記申請」は面倒な手続きのように思われているかもしれませんが、「申請業務」自体は一つの案件全体に対して約10%程度の業務であり、いちばん難しいのは「権利関係の実体把握」と、「それを証明する資料の収集」で、業務の中心はそこにあります。


ですので、たとえば100区画の分譲地の登記手続を全て依頼された場合であれば、それぞれの案件で細かい事情の差異はあるとは言え、通常なら90%の割合で取り組まなければならない「権利関係の実体把握」「それを証明する資料の収集」について、30%程度の割合のみで取り組めばよくなり、通常なら10%の割合で取り組めばよい「申請業務」に対して、70%も仕事を集中することができ、あとはそれを100回繰り返すだけでいい、ということになります。


これが、司法書士業界でいちばん「おいしい」仕事ということになりますが、開業したばかりの司法書士が、まず滅多に受託できる業務ではなく、長年、地域で実績を積み上げてきた、不動産会社や金融機関からの信頼が厚いベテランの先生が一手に受託する、というのが現実です。


話が脱線しましたが、しかし、もはやこういった「おいしい仕事」は、不況の現代ではほとんど存在せず、人の数だけ存在する法律的な問題(法務分野)に柔軟に対応できる士業だけが生き残っていける時代に本格的に突入したのだと、ふと思いました。


おしまい。