究極の選択 | ORANGEの備忘記録

究極の選択

体を動かせるようになると、入院時間が退屈になってくる。

動けない時は、時間の感覚や、行動力が麻痺でもしていたかのようだ。

暇さえあれば、ベッドで「ONE PIECE」を観ていたが、なるべく動いていたいという気持ちで、チョロチョロ散歩したり、売店に出向いたりしていた。

正直入院は、楽だった。
家に帰れば、家事や子育てに追われストレスも溜まる。
その点病室では、三食昼寝付き、掃除無し。極楽じゃ。

しかし、そうも言っていられない。
家事をしに来てくれている義母、震災があっても自宅に戻れていない。

義父は、おそらく人生初の一人暮らしをしているのだ。私のせいで。
そこへ震災があった。
義父はまだ勤めていたから、一晩帰れなかった。混乱の中、義母は、こちらを手伝ってくれている。
義母は、むしろこちらの手伝いに来ているほうが怖い思いをしないで良かったくらいだと、言ってくださる。

絶対弱音を言わない、本当に気遣いの人なのだ。

家のことが心配なはずなのに…。

だから、私は早く退院して、義母を帰宅させてあげたい。
もちろん震災後の混乱の中帰って頂くのは不安だ。この時は、流通がストップして品切れが相次ぎ、ガソリンスタンドも3、4時間と列をなし、計画停電が始まっていた。
ところがこちらは、ほとんど影響もなく生活に困る事態は起きていない。

しかし、自分に置き換えて考えたら、混乱しているからこそ、自宅や夫が心配で、やはり帰るべきだと思った。
大袈裟だが、究極の選択に近い状況だった。

予定では退院は、後1週間程先だった。