ニューアイテム | ORANGEの備忘記録

ニューアイテム

ベッドサイドの柵にくくりつけたポケットに、とても大事な物を入れてある。

「串刺し定食」の串、1本だ。

もうリハビリが始まった頃には、座れるので、通常の食事が頂ける。
この1本の串は、以前から大事にとっておいた。

私のギプスは胴体をぐるっと囲っている。
ギプスの処置室でベテラン看護師さん達(妖精のように愉しげなのだ)に、痒いときに掻くことができるるようにと、ギプスと皮膚の間にガーゼの紐を挟んでくれていた。

ギプスの内側が痒いときには、その紐をぐるぐる動かす。

ところがこの紐、たしかに痒いところにたどり着くのだが、肌へのあたりが弱い。痒みに優しすぎるのだ。

それはかえって痒みを増幅させた。
痒いところをそぉーっとソフトタッチするのだ。

他の患者さんは、それぐらいがちょうどいいのかも知れない。

ただ私には、弱かった。

その時ちょうど目に付いたのが、「串刺し定食」の串だ。

尖ったほうはさすがに傷だらけになりそうだが、柄のほうは肌あたりがちょうど良かった。

狭いギプスとの隙間にも入ってゆく。

絶対に手離せない道具の一つだった。


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