床擦れ&串刺し定食
急患ばかり集められた病室から、一
般病棟へ移された。
検査などでどこに移動するにもベッドごと。
天井ばかり見ての移動は方向感覚が弱まり、どこに移ったのか、へたするとエレベーターに乗せられても上がっているのか下がっているのか怪しい。
移動先は、8階と、看護師さんが案内して下さった。
そこは本来は6人部屋なのだそうだが、今は4人部屋として使っている。
一人一人のスペースに余裕があった。
部屋に入ると、看護師さんがなれた様子で、「よろしくお願いしま~す」と大きな声で、挨拶して下さった。
慌てて私も「よろしくお願いします」と続けた。
天井しか見えてないので、どんな方がいらっしゃるのか正直わからなかった。
ベッドは、寝たきり用のベッドを用意して下さった。至れり尽くせり。
しばらく動けないから、床擦れが心配と言う理由だった。
「床擦れがそんなに?大袈裟な!」
なんて思ったが、早い人は数日で床擦れが始まるそうだ。
マットレスの下に、空気で僅かに膨らんだりしぼんだりする装置がセットされていた。
普通にしていてもわからないほどの微動だった。
しばらくすると、昼食の時間になった。
入院当初から、「串刺し定食があるから、食事は心配ないですよ」と聞いていたが、想像がつかなかった。
いざ、配膳されて判った。
「串刺し定食」の響きが、なんともモヤモヤ感が湧き、気になっていた。
動かせない体の上にある、ベッド用のテーブルの上から、こちらに向かって串の持ち手が並んでいるのが見えた。
恐る恐る1本持ち上げてみると、ほうれん草がグサグサと刺さっていた。
!!
何か、可笑しい。でもスッゴくありがたい。
他の串にも、魚など主菜副菜が、やはりグサグサ刺さっていた。
白飯も、蓋付きの丼ぶりをそっと開けると、小さくオニギリになっていた。
これなら、仰向けのまま、口元に運んで食事ができる。
串刺し定食に、特別にありがたいと思うのは、ワケがある。
今はもう亡くなった祖母が以前、とある病院の整形外科病棟で入院していた時の事だった。
向かいのベッドの患者さんは、「起き上がり禁止」の札が下がっていた。
食事の時間になると、看護師さんがトレーを運んできたが、ベッドの足元のテーブルの上に黙っておいて、立ち去ってしまった。
そこの病院は、基本的に看護師さんは配膳も食事の介助もしない、という決まりだ。
一見、無愛想な気もするが、運んでくれただけ親切だったのか…。
見かねた母が、患者さんに声をかけ、枕元にトレーを置くと、横になりながらゆっくり食事を始めていた。
別の日、また同じように食事の時間に、その患者さんのテーブルの上に食事がおいてある。
「起き上がり禁止」の札は、下がったままだ。
人見知りで、多感な年頃だった私は、気にはなったものの、声をかける勇気はなかった。
暫くすると、食事を下げる時間を過ぎていたのだろうか、看護師さんは、その患者さんに「食べないの?下げますよ」と聞いた。
その患者さんは、ウンウンと頷いて、それ以上の会話はなかった。
食事は下げられた。
もしかしたら、食事をあまりとりたがらない患者さんだったのか、端から見ると、不親切に見えてしまっただけで、病院側も周知の事だったのかもしれない。
事情は判らないが、とにかく寝たきりは、想像以上に食事が困難だというのは思い出としても印象的だった。
串刺し定食は、他人の手を借りずに食事できる優れた方法で、本当にありがたかった。
Android携帯からの投稿
般病棟へ移された。
検査などでどこに移動するにもベッドごと。
天井ばかり見ての移動は方向感覚が弱まり、どこに移ったのか、へたするとエレベーターに乗せられても上がっているのか下がっているのか怪しい。
移動先は、8階と、看護師さんが案内して下さった。
そこは本来は6人部屋なのだそうだが、今は4人部屋として使っている。
一人一人のスペースに余裕があった。
部屋に入ると、看護師さんがなれた様子で、「よろしくお願いしま~す」と大きな声で、挨拶して下さった。
慌てて私も「よろしくお願いします」と続けた。
天井しか見えてないので、どんな方がいらっしゃるのか正直わからなかった。
ベッドは、寝たきり用のベッドを用意して下さった。至れり尽くせり。
しばらく動けないから、床擦れが心配と言う理由だった。
「床擦れがそんなに?大袈裟な!」
なんて思ったが、早い人は数日で床擦れが始まるそうだ。
マットレスの下に、空気で僅かに膨らんだりしぼんだりする装置がセットされていた。
普通にしていてもわからないほどの微動だった。
しばらくすると、昼食の時間になった。
入院当初から、「串刺し定食があるから、食事は心配ないですよ」と聞いていたが、想像がつかなかった。
いざ、配膳されて判った。
「串刺し定食」の響きが、なんともモヤモヤ感が湧き、気になっていた。
動かせない体の上にある、ベッド用のテーブルの上から、こちらに向かって串の持ち手が並んでいるのが見えた。
恐る恐る1本持ち上げてみると、ほうれん草がグサグサと刺さっていた。
!!
何か、可笑しい。でもスッゴくありがたい。
他の串にも、魚など主菜副菜が、やはりグサグサ刺さっていた。
白飯も、蓋付きの丼ぶりをそっと開けると、小さくオニギリになっていた。
これなら、仰向けのまま、口元に運んで食事ができる。
串刺し定食に、特別にありがたいと思うのは、ワケがある。
今はもう亡くなった祖母が以前、とある病院の整形外科病棟で入院していた時の事だった。
向かいのベッドの患者さんは、「起き上がり禁止」の札が下がっていた。
食事の時間になると、看護師さんがトレーを運んできたが、ベッドの足元のテーブルの上に黙っておいて、立ち去ってしまった。
そこの病院は、基本的に看護師さんは配膳も食事の介助もしない、という決まりだ。
一見、無愛想な気もするが、運んでくれただけ親切だったのか…。
見かねた母が、患者さんに声をかけ、枕元にトレーを置くと、横になりながらゆっくり食事を始めていた。
別の日、また同じように食事の時間に、その患者さんのテーブルの上に食事がおいてある。
「起き上がり禁止」の札は、下がったままだ。
人見知りで、多感な年頃だった私は、気にはなったものの、声をかける勇気はなかった。
暫くすると、食事を下げる時間を過ぎていたのだろうか、看護師さんは、その患者さんに「食べないの?下げますよ」と聞いた。
その患者さんは、ウンウンと頷いて、それ以上の会話はなかった。
食事は下げられた。
もしかしたら、食事をあまりとりたがらない患者さんだったのか、端から見ると、不親切に見えてしまっただけで、病院側も周知の事だったのかもしれない。
事情は判らないが、とにかく寝たきりは、想像以上に食事が困難だというのは思い出としても印象的だった。
串刺し定食は、他人の手を借りずに食事できる優れた方法で、本当にありがたかった。
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