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サークル活動記です。
たまに関係ない記事も書かれます(爆

[1月11日/月曜日]

【蒼司】「おはよー」

【深夜】「………」

今日も珍しく起きてきたかと思った矢先。目を瞑ったまま、こちらを向いて動かない深夜

【蒼司】「………」



深夜が手を前に突き出し。

【蒼司】「!?」

グー、パー。

【蒼司】「おーはー………」

ふるっ

【深夜】「…」

そのまま深夜は満足そうに椅子に座った。

【蒼司】「それだけかいっ」



[朝見乃森高校学校]

[廊下]

効果音:騒音

授業中に由紀菜からお呼出しのメールが届いたので、菓子パンの入ったを袋を片手に最近お決まりの屋上へと向かう。

効果音:扉

蒼司「さむっ」

由紀菜「…」

由紀菜は、こちらに気づき手をひらひら振る

画面効果:背景流れる

食べている最中、霊力に関しての話しを少ししていたが、由紀菜は口数が少なかった。

そして食べたゴミを片付けるとこちらに向き直った。

由紀菜「霊力の扱いに関しては最初よりは問題なさそうね。今日も放課後、霧島図書館で待ち合わせましょう。その時、これからの事を詳しく話すわ」

蒼司「げっ、またあの坂登るのか…」

由紀菜「あはは、確かに、いい自転車と言ってもママチャリじゃキツイわね」

蒼司「…ってそうだ! 一昨日変な男に会ったんだ。魔女に呪いをかけられた男とか言ってて」

由紀菜「? …魔女に呪い? 何それ」

蒼司「あぁ、えーと、何かもうすぐこの町で大変な事が起こるって、自分の占いで、出たとか言ってて。えーと、
後は鈴奈の事をナンパしてたみたいだ」

由紀菜「鈴奈にナンパ?」

"むっ"と食いつく由紀菜。

やはり疎遠? になっても心配なのだろう。

いや、疎遠とは違うかな。

蒼司「う、うん」

由紀菜「そいつが? 何処で? いつ聞いたの?」

蒼司「昨日の放課後、図書館に行く前に学校の校門で」

由紀菜「なんでもっと早く言わないのよ!!!」

蒼司「なんか色々考えてて、思考が飛んでたんだ…ごめん」

由紀菜「まったくもう…その男は占いでここに来たと言ってたのね?」

蒼司「そう言ってた」

由紀菜「…魔女ってのが何処の魔女で、呪いを解くために碧空町に来ているって事ね…でもなんでナンパ?」

蒼司「その男は魔力がどうとか、使えるみたいなことも言ってた…」

由紀菜「むー…魔術師か、ただの占師か…私たちか、この町…もしくは……兎に角何かに興味を持った道化師か……道化師…ちょっと待って…………まさか!」

蒼司「なんか思い当たるの?」

由紀菜「わからないけどその男、シグワルド・ヘイドニクだったら…」

蒼司「なにそれ?」

由紀菜「シグワルド・ヘイドニクって言って17世紀のヨーロッパでは有名な悪魔、基本的に西洋中心で現れているみたいだけれど、世界のどこに現れるかわからなくて興味をもたれたら最後って言われてるの…あれが目を付けるほどの事が本当にこの町で起きるっていうの?」

蒼司「あんな普通の人っぽいのが悪魔?」

由紀菜「…いや、姿を変えてるかもしれないし…本人か、もしくはその前兆を見破ったただの占師か、そのどちらでもない可能性もあるけど、私の予想しているよりも遥かに凌駕する事件になるかもしれない」

蒼司「事件って…まだ何か起こるのかこの町」

由紀菜「あまり不安にさせたくないから、次の目標の探索が終わってから言うわ」

余計気になるよ…

蒼司「そうだ、鈴奈のは方は?」

由紀菜「…ただのナンパだと思ったけど…さっき言った通りヘイドニクなら心配ね」

蒼司「鈴奈はどうしよう?」

由紀菜「…私から話しとくわ」

チャイム:

蒼司「…」

由紀菜「…」

蒼司「由紀菜?」

由紀菜「…今日は下校したら、すぐに図書館に来て」

蒼司「わかった…」

由紀菜「天城君は、いつもマイペースでいいわね…急がないと授業遅れるわよ」

由紀菜は"やれやれ"といった様子で階段を降りて行った

だって、あまり状況把握できてないんだもん俺…

それとも公平に似てきたのかな…

それは絶対にやだな

俺も降りるか、風も強くなってきたし

音:ドア



[教室]

その後の席替えで公平と横島が隣同士の席になった。

効果絶大じゃん! "アレ"貰わなくてよかった。



[天城家/放課後]

蒼司「行ってきまーす」

深夜はまだゲーセンか

でもあの事件の犯人はもう居ないし大丈夫かな?

しかし、公平も勘がいいよな…

まさか「美少女の匂いがする」とか言って

家まで付いて来られるとは思わなかった

長々と捕獲されてしまったな…

図書館に急がないといけないのに全く!

でもある意味、俺より死ななさそうだよな

由紀菜はもう、図書館に向かっているだろうか

俺も急ごう

???「おっ、こないだの小僧じゃねぇか! おい小僧!」

蒼司「?」

なんか聞こえたかな

いいや急げ!

???「なんだ無視かよ……それにしても、小僧の向かってる方角…ふむ……」



[霧島図書館]

音:石床走る

蒼司「由紀菜っ」

由紀菜はすぐに見つかった。

この間と同じ奥の席にいた

由紀菜「天城君、遅かったじゃない」

蒼司「ごめん、友達に捕まってた」

由紀菜「…友達? ……まさか、前に駅前で私に声かけてきた変なの?」

表情:ジト目

変なの…姉妹そろって変なので通ってるとわ、可哀想に…

蒼司「…あぁ……」

由紀菜「…まぁいいけどね」

蒼司「怒ってるかと思った」

由紀菜「うーん、あーいうのたまにいるし…でも、あそこまで変なのはいなかったけど」

蒼司「…だよね。でも悪いやつじゃないんだ、面白い男なんだよ。そう兎に角面白い男なんだ!」

由紀菜「あー…そう……多分、…信じる…かな?」

熱い俺の言葉に興味の無さそうに返す由紀菜

頑張ってみたが褒める所がすぐに見つからなかった…

公平の人望なんてこんな者か…

蒼司「…確かに変人ではあるけど」

ふぅ…最近体力使うから身体が慣れてきたかな?

驚く事に、喋りながらでも回復が早いのだ。

俺は息を整えると由紀菜の前に座った

由紀菜「うん、そうね、じゃ今回、私の追っている敵だけど、まず、この高台の上にロータリーがあるの知ってるわよね?」

蒼司「あぁ、知ってるよ、昔はよく従姉弟達と行ったりしたよ」

由紀菜「あそこにオルゴール店があるの知ってる?」

蒼司「いや、それは知らない」

由紀菜「んー…そっか、普通の古目の民家っぽいしね」

蒼司「…それに俺の場合は、"九名木町"行くにしたって景色見ながら通り過ぎるだけだし」

由紀菜「そっか、まぁいいわ。結論から言うと、ずっと前からあそこで定期的に強力な魔力が発生するのよ」

結論過ぎて、よくわからなかったが…

蒼司「魔力?」

由紀菜「えぇ」

この前会った、わけのわからない人物が思い浮かぶ…

でも、最近この町に来たような感じがしたよな、観光客というか浮いてるというか

由紀菜「天城君?」

蒼司「さっき俺が話した男じゃない?」

由紀菜「…うーん、私は会ってないから、その男の正体が全くわからないのよね、会いたくもないし…それにシグワルド・ヘイドニクだとしたら私で退けることができるのかしら? 17世紀から生き延びているって事は、何度も魔術師達や呪術師達に討伐の依頼が出ているはず。それでも生きているのだから…」

蒼司「それに鈴奈はともかく、俺が殺されていないのも変て事になるよね?」

由紀菜「…そもそもヘイドニクと戦った人物は皆殺されているから、どんな性格なのかわからないのよね…気まぐれの悪魔と呼ばれるくらいだし…」

それにしても、由紀菜の考え方を見るに、由紀菜自身そうとう強いんだなと安易に想像できる…俺こそほんとに大丈夫なのかな…

千尋との戦いを見てもまだ由紀菜もあんなもんじゃなかったんじゃないかな…

千尋に通じるかは別として…

ん?

千尋? ……!

蒼司「そうだっ! 千尋に協力してもらうってのはどう?」

由紀菜「……! そうか、その手があったわ! そうだわ、彼女に頼んでみましょう」

千尋と由紀菜と俺の三人ならなんとか太刀打ちできるかもしれない

由紀菜「じゃ天城君、千尋に電話」

電話? 千尋って電話もってるのかな…一瞬糸とか失礼な文字が浮かんでしまった。 

蒼司「…電話?」

由紀菜「うん、番号知ってる?」

電話…番号

蒼司「…千尋の番号…知らない」

持っていたとしても…

千尋はあの時、何も身につけていなかったじゃん…

由紀菜「…………そこまで仲良くないか…」

蒼司「あっ、でも家は由紀菜わかるんじゃなかったけ?」

由紀菜「わかるけど…家…か、ここからだと千尋の家は天城君の家の先なのよね」

蒼司「それじゃ遠いよな…はぁ、電話番号聞くとか思いつきもしなかったな」

由紀菜「……うん、これしかないわね。私が今から千尋の家まで行くわ、バイト先のパン屋も大体名前聞いて場所も予想できたしね」

蒼司「えっ? やっぱり今行くの?」

由紀菜「そうよ。例の魔力が高まる日は毎月、第一日曜日の夜九時から十時までの一時間。次の第一日曜日に何が起きるとかわからないもの。何より、そう長く放っておけるような魔力じゃない」

蒼司「俺は何も感じないけどな?」

由紀菜「フォーカスしてないからでしょう、しかも距離もあるし、あなたが存在を知らず、対象が五霊門全てを形無きものにする業の一つ"道"を使えないのに気づくくらいの魔力放出なら戦うときは、それこそヘイドニクを軽く超えるような化け物よ」

蒼司「由紀菜はその道を使って気づいたのか?」

由紀菜「えぇ、と言っても、偶然なんだけどね。ここ古いじゃない? だからこの図書館で魔力や霊力、妖力の宿っているような書物を捜すためにたまたま閉館間際に"道"をつかったのよ、いくらなんでも私の力じゃ町中に道で存在も知らない相手を探知するのは無理よ」

蒼司「そっか、図書館に通っていたのは相手の動向を探ったりもしていたんだね」

由紀菜「えぇ、さっ私は今から千尋に頼んで来るから、先にロータリーの方にゆっくり向かってて」

蒼司「ここで待ってちゃダメなの?」

由紀菜「ここ八時までなのよ、でも魔力が発している時間は10時くらいまでだから、全然間に合うと思う」

蒼司「わかった」

由紀菜「絶対、私が戻るまで戦闘にはならないように気をつけてね」

蒼司「あぁ了解!」



[星見台/ロータリー/夜]

蒼司「うーさぶい、やっぱまだ暗くなるのが早いよなぁ」

深夜にはエパティオに行って夕飯食べてくれと言って来た…少し寂しそうだった深夜の顔を思い出す

深夜に、そろそろ説明しないとな。

ポケットに手を突っ込み、さっき自販機で買った"おしるこ"の缶を握り締めるが、既にこの寒さで冷たくなってしまっていた。

蒼司「あったかいうちに飲んでおくんだったな…持ち帰って温めて深夜にあげるか」

そういえば缶ジュース温めるのに電子レンジ使って火花が出たとか公平が言ってたな

じゃ、鍋で暖めるか……それにしても由紀菜遅いな

空にはさっきまで月星が出ていたのに、今はもうグレーの雲に覆われている

星見台のロータリーってここだよなぁ? 合ってなかったりして…

ポケットから携帯を取り出すとディスプレイを覗いた。

PM 21:04

九時か…えーと、図書館までかかる時間が俺の場合、二十五分ぐらいだから由紀菜があの自転車とはいえ、来るときに二人乗りか別々かで早さが決まるよな…俺より遅いとは考えにくい。

……最悪千尋が見つからないとかで遅くなるかな…

でも由紀菜の正確からして時間重視で行動しそうだな。動くのは今日に絞っていたみたいだし。

画面効果:背景を横にゆっくりずらす

ここって広いのに向こうに見える古いお店と自販機しかないんだもんな…

住んでる人たちの気が知れないよ…坂はきついし………ここの住人は競輪選手でも目指しているのだろうか

音:爆発小

蒼司「!」

なんだっ? 向こうかっ! 俺は坂を走って下ると音のする方へ急ぐ

もしかしたら、早く着いた由紀菜たちが登って来る時に戦闘に入ったのかもしれない!




[ロータリー前坂]

うわっ! あそこだ!

よく見ると昨日見かけた変な男だ!

着てる服は血や泥で汚れている

???「ちきしょうっ! なんだってあんな有名なバケモンがこの町にいやがんだ!」

効果音:電気音

ロータリーにある街灯が球の切れかけたようにチカチカしだす

???「もう来たか」

街灯が消え辺りが闇に変わり、シンと静まり返った。

ふと気が付くと例の男の後ろに老婆が俯いている

男は老婆に気が付くと、何かを呟く

蒼司「何をする気なんだ?」



やばい! 気づかれた!

小さな声だったが思わず声が出てしまい、老婆がこちらを向いた。

蒼司「いっ」

血の気の通っていないような、蒼白の顔をした老婆が形相を変え這ってっこっちへ来ようとしたその時

男の前に陣が現れ、老婆に向かって炎を放った。

老婆を包む炎は地面まで伝い、十字架を描く。

しかし、苦しんではいるものの、声までは上げない。

次の瞬間、男はガードレールから飛び降りると崖を下り始めた

九名木町へと向かっている。

老婆は自分の皮を剥ぎ、コートを脱ぐように火を脱ぐと、自分を燃やした男を這うように追い駆けて行った。

火も対象者が消え霧散してしまうと、辺りに街灯の電気が灯りだす。

蒼司「危なかった…というよりも怖かった…」

やはり、あの男が由紀菜の言っていた魔力の持ち主か?

でも、あの不気味な老婆は、なんなんだろう…

とにかく由紀菜に知らせる為にも見失うわけにはいかない! 追いかけよう!

自転車に鍵をしていなかったので直ぐに漕ぎ出す



[九名木町]

九名木町は星見台中間から高い場所にある町になっていて、俺たちの住んでいる碧空町とは違い

坂の距離が短いので幾分楽なのだ。

こっち側はちょっとした上流階級や外国人の移住地区があるほどで、ロータリー反対側は完全に別世界だ。

洋風の町並や街頭に石床の道路の大きな町だ。

暫くして、例の男を見つけた。

おばあさんの姿は無く、彼はどこかに向かって走っている。

蒼司「どこに行く気だ!? こっちなんてめったに来ないから道なんてわかんないぞ」

とにかく追いかけるしかない

蒼司「あっ!」

目の前の風景が歪む

背景:効果???

音:

蒼司「うぅ…いてて…」

自転車は?

げっ

自転車が捩じれて、めちゃくちゃになってる…

咄嗟に霊気を放出して防御に回さなかったら、俺自身もどうなったいたかわからない

蒼司「うっ」

異質な力がこの辺り一帯を包んでいる。

これが魔力を使うやつのプレッシャーか。

さっきの男も消えたし…これはさっきの男の気配じゃない。

しかも、こんな差のある力、冗談じゃない!

バッ!

何かの気配を感じて振り返る

男性「?」

蒼司「…あっ、なんでもありません」

びっくりした普通の通行人か

どこに行ったんだ、さっきの男は

男性「かかっ、っぁあっ、っあぁぁ」

男性は急に嘔吐しだし振るえ始めた。

蒼司「だっ、大丈夫ですか!?」

駆け寄り肩を抱く

蒼司「ひっ」

あまりの気味悪さに、腰を抜かしてしまった。

男は見る間に痩せこけていき、目がくぼみ

髪が抜け落ちるのに気づいた男性が髪を触る……

すると頭の皮がズルリと滑り落ちた。

男性「う゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

目や鼻、口や耳から血や白い何かの液が流れは始めると歯が抜け落ち

ついには目玉までが転がり落ち、顔中の皮が剥れ落ちるとそのまま骨になり崩れ落ちた

蒼司「うわあぁぁぁぁぁ」

???「あっ小僧! またお前かよ。なんでこんな所に!?」

隣家の屋根から飛び降りてきたのは、さっきの変な男

蒼司「うっ」

まずい虚を突かれた

腰が抜けてて立ち上がれない

???「待てって! 俺は味方だ! 敵は別にいる!」

蒼司「…うぅ」

ほんとかよぅ…

???「これも縁だろう、俺はヴェルナー・スウィンホードだ。名前まで明かしたんだほんとに警戒するなよ。疑心は共倒れに繋がる」

蒼司「なんなのさそれ。名前だけで信用できないよっ」

スウィン「馬鹿野郎。本名は魔術をかけるのにも重要な秘密だ。身体の一部を入手するより簡単だからな。だからお前と信用しあう事にした。まぁお前が裏切っても相手にするほどじゃないけどな」

蒼司「わかったよ。敵じゃないんだね。でもじゃあ、あれはっ!?」

俺は崩れている骨を指す

スウィン「それは俺じゃねぇ、魔力を感じたからこっちに着たんだよ」

蒼司「なんなんだ!? いったい何と戦ってるんだ?」

スウィン「シグワルド・ヘイドニクだ」

っ! 由紀菜の恐れていた事が起きた。

蒼司「嘘だろ!?」

スウィン「おっ、さすがに知ってるのか、この名前…って危ねぇっ!!!」

蒼司「わあぁっ」

男は風を起こし俺を吹き飛ばす

側の家の壁から斧が裂け出て横に移動する

危なかった! 俺は今頃即死だ。

彼もしゃがんで斧を避けると、何かを高速で呟き陣が現れる

辺り一面の壁や地面を氷で凍らせた。

蒼司「危ないっ!」

地面から空間を裂くように鎌が現れるとクロスを描くようにスウィンホードに向かう

凍った地面を割りながら動くので目に見えて遅い

そして鎌が詰まったように動かなくなった。

すると街頭から手が出てスウィンに向かい赤い灼熱の風が巻き起こる

氷は解け、鎌が真っ赤に溶解する。

スウィンは地面に冷気を叩きつけると熱波を使い上昇気流を起こし上に飛び上がった。

その熱波がこっちにも来たので、俺も家を回って避けた。

画面:赤

柱時計の振り子の様に、大きな鎌が左右に揺れている…

蒼司「………っ…ぁ……」

音:モノが落ちる音

……………

腕が俺の目の前に落ちると跳ねて転がってきた。

【蒼司】「スウィン!」

目の前に転がってきたのは、スウィンの腕だった。

スウィン「ぐっ!」

!?

来る…

壁に黒い人影が出来ると男が音も無く現れた。

そして、スウィンに近づくと髪の毛を掴み、吸っていたパイプを

なんの躊躇も無しに目に付きたてようとした。

蒼司「!」

気づいたら腰が上がっていた。

俺は飛び込んで後頭部に膝蹴りをかます

!?

避けられた

側にあった街頭が俺たちの方へと倒れてくる

角部が鋭利な刃物と化して

避けると急いでスウィンに肩を貸し立ち上がる。

蒼司「どこだ! どこへ行った? スウィン、大丈夫か?」

スウィン「あぁ、サンキュー! お前度胸あるな力差見せられてるのによ………気をつけろまだ居るぞ」

そういうとスウィンは肩にかけていたカバンから白い粉の入った瓶を取り出すと中の粉を手の平に乗せ切断部へ付けた

スウィン「あ゛ぁ! ……くぅ……」

蒼司「何してるんだよ…」

スウィンの腕が一瞬でニョキニョキ生えてきた。

蒼司「ひぃっ! 化け物!」

スウィン「魔女からかっぱらった魔術調合の粉だよ、切られるより痛ぇぜ…はぁ……はぁ」

蒼司「なんだよあれ、頭おかしいの?」

スウィン「知らないやつに躊躇なんてするかよ? やりたいことしたんだろ? 悪魔なんてそんなもんだろ」

音も気配も感情も無いのかよ

蒼司「あいつの気配は? 今どこにいるんだ」

スウィン「……消えてるな…どこへ消えた?」

音:電気(Pへ雷の音じゃない)

手が帯電している感じだ

スウィンもこちらを見る

スウィン「お前も、気づいたか?」

蒼司「…」

コクリ

スウィン「ロータリーだ」

蒼司「………やばそうだと、去るんじゃなかったの?」

スウィン「呪いで死ぬか戦って死ぬか、同じようなもんさ」

やれやれ、といった感じで帽子を被りなおした。

スウィン「そういやお前、隠してるもん使えよ」

蒼司「何それ?」

スウィン「お前、妖気も使えるだろ?」

蒼司「使えないよ! なんだよ使えるって」

スウィン「使えるだろ? 今のお前の霊力よりは強いって!」

蒼司「何言ってるんだよ! 使えないってば妖じゃないんだよ俺」

スウィン「ったく、よくわかんねーやつだなほんと…まぁいい行くぞ!」

蒼司「あぁ」

なんなんだまったく…



[ロータリー]

蒼司「……………」

スウィン「……………」

俺もスウィンも言葉を失った。

ロータリーに着くとオルゴール店の前でシグワルド・ヘイドニクが何者かに頭を捕まれて痙攣している。

スウィン「………」

ヘイドニクを掴んでいるのは、どこか幼さを残した、綺麗な顔立ちの少女だった。

あの巨体を片手で掴む細い腕

こちらにもビシビシと伝わってくる程の殺気で、ヘイドニクを睨みつけている

???「ここに寄るな下種野郎」

彼女の腕に力が流れる

ゴバァッ

効果音:石が砕ける音

シグワルド・ヘイドニクは顔面から石の様に粉々に破裂した。

【蒼司】「………っ」

スウィン「…あー、あのな小僧、実はだな……俺が捜していた妖魔はあれなんだ……」

蒼司「なっ」

スウィン「まさかここまでの悪魔だとは…」

スウィンは悪魔と言った。

確かに化け物のような力を、そして死を感じるが、悪意や憎悪と言ったモノは感じないのだ

この死は、もっと別のもののような圧力を感じる…

画面効果:紫点滅一回

スウィン「ちっ、気づかれちまった。お前逃げろ」

蒼司「だめだっ! 俺も戦う」

スウィン「俺はいいんだ! 俺は沢山生きたんだよ」

蒼司「そういう問題じゃない!」

なんだ沢山って!

スウィン「ったく勝手にしろ」

スウィン「おいっ小僧! ここは狭い、場所変えるぜ」

スウィンは詠唱しながら碧空町側の坂を下っていく

俺も開門しながら後に続いた。

ヘイドニクを殺した女の子は俺たちが坂を下ると即座に着いて来た。

由紀菜頼む来ないで来れ、桁外れの魔力だあの魔族

千尋を超えている

ヘイドニクの時点で俺はもちろん、スウィンにも勝ち目は無かったんだ。

あの魔族からは死しか伝わってこない

なんか優位に退けることが出来ないだろうか?

そうだっ!

蒼司「スウィンッ! その階段降りてくれ!」

スウィン「バカなっ! 追いつかれちまうし、攻撃されたら避けれねーぞ!」

蒼司「でもこの下には神社の前に行けるんだ!」

スウィン「なんか策でもあんのか?」

蒼司「無いけど森だし撹乱しながら戦える…後、人目に付かない」

スウィン「そいつはどーも! ったく訳にたたねーガキだ」

蒼司「ごめん」

スウィン「あやまんな! こっちはさっき助かってんだ! よし、この階段だな?」

二人で一気に階段を降る

振り向くと魔族は階段をの手摺をひょいひょい飛んで追いかけてくる

スウィン「だめだ。こんなんじゃ追いつかれる」

スウィン「…」

スウィンが詠唱を始める。

突風を凍らせた鋭利な氷の風が広範囲に広がりながら、魔族を中心に高速で檻の用に包み始めた。

そして魔族を氷の風が切り刻もうと包みこんだ

いける! 今しかない!

蒼司「食らえっ」

画面:青

爆音:中

千尋に放ったよりも、若干強い霊力が溜められていた。

肉体と一緒で鍛えれば霊力も上がっていくもんなんだな…

俺達を追いかける為、前下降に降りて来ていて、横にも後にも逃げ場のない向かい風を凍らせた氷の刃のインパクトを見計らっての追い討ちの砲は確かに敵に直撃した。

やった! 手応えバッチリだ!

これで時間が稼げるだろう

スウィン「よくやった。さっ、急ぐぞ」



[神社・森]

スウィン「っ…はぁ…はぁはぁ…」

蒼司「はぁっ…はぁはぁ…」

階段を使うと神社までの移動時間はやっぱり速かった。

自転車じゃ使えない道のりだけど

スウィン「やつへのダメージはともかくナイスだったな」

蒼司「俺はあれしか出来ないから、うまくいってよかったよ…」

スウィン「っ! マジかよ…お前、ほんとつかえねーのな」

蒼司「!」

背景:流れる

スウィン「小僧っ!」

俺は宙に浮いていた。

どうやら、俺は蹴り飛ばされたようだ。

痛みの感覚が無い

スウィンが何か叫んでいる

音:着地

蒼司「がふっ」

口から赤いのが出た。

うわぁー血だ…

でも、血の味しないじゃん

内臓いったのかな

効果音:爆音・小

スウィンが向こうでさっきの魔族と戦っている。

……………

う…痛てて…

感覚が戻ってきた

指は動く…立てるか?

効果音:爆発・中

スウィン「ちきしょうっ! なんて強いんだ」

???「…」

魔族の手に高密度の魔力が集まっていく

画面効果:もしくは一枚絵

スウィン「Primitive respiratory~Shield to survive~スタニスラフ・ペトロフ!」

画面効果:魔方陣(自由変形で斜めに)

灰色に鈍く光る機械の歯車の様な魔方陣がスウィンの前に現れ

スウィンが魔族から放たれた魔力の放射を防いだ。

???「…」

魔族は放射の手を止めない。

そして完璧に防いでいたと思っていたスウィンの魔術結界にも異変が現れた。

放射を受けている中心から薄くなってきたのだ

消し去るような威力から貫通系に魔力換装したようだ

すると、魔族は空いている手で深緑の槍を創り出した。

蒼司「まずい! 魔法障壁が突破される」

俺は動く身体で無理やり開門する

傷付いた身体の内部に支障を来たし

痛みで集中どころじゃない

でも今やらなきゃ!

俺は全身から発した霊気を右の手の平に全集中させる

そして悪魔へと向かい走り出した。

俺はそのまま残った霊気を鈴奈に教わった要領で鉄であろう槍に雷が効きそうな気がするというそのば凌ぎの発想で

雷を砲の要領で構築に入る

しかし、まだ慣れていない俺には酷く難しい構築だった

電流で痺れて右手に伝わっていく

中の筋肉が麻痺した感覚になってしまった。

でも、できる!

痺れや麻痺のような感覚のお陰で構築は雷を作り出した。

右手に残った全霊力一歩手前分の青い雷を発雷する。

蒼司「今だ!」

今振り下ろされん深緑の槍に向けて打ち放った。

画面効果:エフェクト

効果音:電気

???「ちっ」

大したダメージは与えられなかったが相手の意識を俺に向けさせる事には成功したようだ。

ははは、だけどこの後どうしよう…

魔族は俺の目前に姿を現すと、俺の頭を掴み忌々しそうに睨みつけると

叩きつける様に大樹へと俺を投げ飛ばした。

受身が間に合わない

画面:効果

音:木々・着地

千尋「蒼司っ、おまたせ」

蒼司「ちっ、千尋…」

???「!」

千尋「お疲れ様、蒼司は休んでてよ、後は私に任せな」

???「…」

蒼司「まっ」


待って、と言おうとしたのだけど

千尋「大丈夫だって」

千尋は俺の声にニッコリ笑いながら、そう答えて手だけ振ると魔族の方へと向き直った。

彼女の発する妖気に俺は緊張した。

千尋「友達の借りは、しっかと私が返すわよ?」

魔族の女の子「……鬼…か……?」

お互い値踏みするように、力を探るように見定める。

千尋「…魔族?……」

千尋が一瞥する

???「………」

二人の動きがピタッと止まった。

………俺は息を呑むこともできない。

???「邪魔するな!」

画面効果:エフェクト:

効果音:

画面効果:白・フェードイン

画面効果:千尋の立ち絵

千尋「……友達が殺されるって時に、黙ってるわけないでしょ」

???「……人々に恐怖を与えてきた古からの妖、鬼がこんなクズのお守? 笑わせないで」

千尋「鬼だからって、そんな風に決め付けないで」

???「それはこっちの台詞よ!」

千尋「? …じゃあ蒼司の傷は何よ!」

画面効果:

千尋が先に動いた。

千尋は距離を詰め、バネを弾くように拳を叩き込んだ

魔族が横なりに吹っ飛ぶ

画面効果:

吹っ飛んだまま魔族が魔力の球体を千尋に放つ

画面効果:

千尋が魔族の視界から消える。

魔族「!?」

魔族「がぁっ!」

画面効果:エフェクト

魔族「ちっ、こいつなんて重いパンチしてんのかしら!?」

いつの間にか千尋が魔族の背後をめくり、背中に膝を放ち空中に蹴り上げる

画面効果:

効果音:

上に回った千尋に、魔族が地面へと叩きつけられた。

???「…」

由紀菜「天城君っ!」

蒼司「由紀菜っ!」

由紀菜「遅れてごめん! 千尋ったら速いんだもの」

画面効果:

効果音:

由紀菜「うはー、やってるねー。どっちもバケモノだけど飛びぬけて千尋がキチガイかな…」

話しながら由紀菜は俺の傷の治療をしていく

蒼司「おっ、俺はもういいからスウィン、あの人を頼む」

スウィンは全く動く気配がない

由紀菜「…味方よね?」

蒼司「うん、後で話す。彼を頼む」

由紀菜「わかった」

由紀菜はスウィンを助けに向かって行った。

蒼司「…随分静かになったな、千尋と、さっきの子はどうなったんだろう?」

効果音:

魔族の女の子と千尋、お互いが吹っ飛ぶが、すぐに体制を立て直し双方の攻撃が衝突する。

画面効果:

効果音:

周辺は二人の妖力と魔力のぶつかった痕跡や波動が残り、辺りの木々をぐらつかせ磁場のようなモノが発生している

もう少し疲れが癒えたら加勢しに向かわないと

由紀菜が治療を終えたらしく、こちらに戻って来た

由紀菜「気絶していたわ、………身体もなんか回復する傾向に向かっていたから、もう大丈夫でしょう。…あの回復力も気になるし、その変もわかるなら詳しく話してね」

蒼司「あぁ、わかった。二人は?」

由紀菜「上にいるわ」

上?

開門して、よく目を凝らす

木々の隙間を縫って上空を捜すと木の上に二人が対峙していた。

千尋「…」

???「…」

千尋「全く効いてないわね」

???「そう? 相当重い攻撃だったけど…」

千尋「魔力抑えてない? それとも舐めてるのかしら? 身体が戦いたくて疼いてるわよ」

千尋の言葉を聞き、にやりと魔族が笑った。

千尋「…その態度は余裕? それとも性格?」

???「どちらでもいいんじゃない? あんたと戦いたいのは本音だから」

千尋「あら、そう?」

画面効果:

音:

???「っ!?」

千尋「あまり笑えなくしようか?」

効果音:飛ぶ

効果音:打

???「がっ」

音:

魔族が落ちて来た

蒼司「…すげぇ…」

俺が食らったら首が何週するかな…それか拳圧で顔が粉微塵…

由紀菜「…」

由紀菜も声が出ないようだ

魔族はピクリとも動かない

???「…これが…鬼の力……こいつの力か……」

ゆっくりと魔族が起き上がる

千尋「びっくりさせないでよ? 気絶しちゃったかと思ったじゃない」

魔族が木の頂上に飛び上がり、再び千尋と向かい合う

千尋「…」

???「はじめてよ…こんな攻撃受けたのは…今まで戦った魔族や天使のどの攻撃よりも効いたわ…」

千尋「それはどうも♪」

???「ちょっと、あなた相手に失礼だったわね…ごめんなさい」

千尋「いえいえ」

画面:背景効果モノクロ

???「ふぅぅぅっん」

画面効果:

音:魔法音

画面効果:

蒼司「うわっ!」

由紀菜「うっ!」

エンデが鬱積した魔力を放出する。

由紀菜「余波が来る! 伏せて」

蒼司「!」

強烈な魔力の放出が帯状の衝撃波となり辺りを脅かす

画面背景効果:元に戻す

静まり上へと目をやるとエンデが悪魔と言われる、本来の姿になっていた。

足場にしていた木は、放出した魔力で焼け焦げ半分まで無くなっており、星の輝く夜空には漆黒の翼を悠々と広げた悪魔が千尋を見据えていた

エンデ:立ち絵交換

千尋「…そういえば、私に名も無い鬼なんて言ってくれたけど、そういうあんたに名はあるの?」

???「エンデ・ヴェナゼアル・エンツェンス、使い魔みたいな鬼に名乗っても仕方がないけどね? 本来は名乗らないんだから冥途の土産に感謝なさい」

千尋「またバカにした」

エンデ「あらバカじゃないとでも? あの弱い人間を助けに来た下僕でしょう? 友達だなんて笑わせないで。それだけの力を持っていながらパシリとか気が知れないわ。っていうか名乗った事には無関心なのね…」

千尋「…私は教会関係者じゃないから変な勘ぐりとかはやめてよね、あんたの目を見て少し気になっただけなんだから」

エンデ「…」

千尋「……っていうか、下僕にパシリって…あのねぇ」

千尋は、ちょっとイラッっときたみたいだ…

千尋「……何しに日本へ来たか知らないけど灰になってから後悔しないでね?」

エンデ「ふん…私の魔力の力に付いて来れるかしらね?」

千尋「うん」

千尋も目つきが変わった。

効果音:

画面効果

轟音に爆音