~目を移植した子の話(参)~ | clock-holiday

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サークル活動記です。
たまに関係ない記事も書かれます(爆



[天城家前]

【蒼司】「ここが俺の住んでる家」

由紀菜「へー、大きいし…いい家ね」

【蒼司】「両親の置き土産みたいな物だよ」

俺は鍵を開けると由紀菜を中へ案内した



[天城家]

【蒼司】「居間でいいよね?」

由紀菜「えぇ」

由紀菜は俺の後を黙って付いてくる。

幸い深夜も起きてくる気配は無い。

深夜は一度寝ると、まず朝まで起きては来ない。

【蒼司】「今、お茶淹れる。日本茶でいい?」

由紀菜「うん、ありがとう」

俺は居間の食器棚から急須を取り出すと茶葉を入れ、幸運にもコンセントが入れっぱなしだったポットからお湯を注いだ

由紀菜「鈴奈がしっかりしてきたみたいだけど頷けるわ」

【蒼司】「どういうこと? 鈴奈とはあまり話さないんじゃないの?」

由紀菜「気にはなるわよ。それに一切口を利かないって訳じゃないし、少年ぽくって元気っ子だった"あの"
鈴奈が懐かしいわ……今は学食でもたまに見かけるし、様子位は見てるわ。一番懐いている対象のあなたが
しっかりしているって事じゃないかしら」

いや、鈴奈は今でもノリ出すと凄いぞ…

【蒼司】「はい、粗茶ですが」

それに俺は特にしっかりしていない

由紀菜「ふふ、ありがとう」

【蒼司】「あっ、今の笑った顔、鈴奈にそっくりだった」

由紀菜「ぶっ」

由紀菜が吹いた。あの嬢月由紀奈のこんな貴重な場面を見る日が来るなんて

由紀菜「ちょっとあなたねぇ、何を言い出すのよいきなり」

まったくもう、とか言いながら由紀菜は湯飲みを置いて吹いたお茶を拭いた

由紀菜「はぁ…まず、何から話そうかしら。私が調べてた事から話していくわね。多分最初から話したほう
がわかりやすいと思うし」

【蒼司】「うん、超! わかりやすいと助かる」

由紀菜「努力するわ」

由紀菜は真面目な顔になると静かに話し始めた

由紀菜「まず聞いておきたいのだけれど、天城君は今回の事件の事をどのくらい知っているの? 高堀さんは友達だから、話せる
ところまででいいから教えて」

と言われても…いきなり今日、聞かされて今日事件が起きたんだもんな

【蒼 司】「さっき由紀菜も聞いてたと思うけど、去年の夏休み宮内が"見てはいけないモノ"を見たって高堀から聞いたのも今日だし俺が詳しく知ったのも今日なん だ。確かに去年の夏休み辺りから宮内の様子がおかしいのは知っていたけど、まさかこんな風になるとは想像もしていなかったよ」

由紀菜「そ う、じゃ本当に今日起きた事意外は殆んど知らなかったって訳ね。…わかった、私の方を話すわ。今回の宮内さんの異常に気づいたのは私も去年の夏休み頃、私 のバイト先が宮内さんがミサに通っている教会の近所なの、それで帰りにたまたま宮内さんとすれ違ってね。学校で彼女を見かけたこともあるし、様子がおかし い事に気づいて調べてみたの」

【蒼司】「様子って?」

由紀菜「霊障にあった後の人みたいな感じ、生気が抜けてて精神がやつれているような感じよ」

【蒼司】「…具体的には?」

由紀菜「彼女の後によくない霊が憑いて来てる」

ゾッとした。

由紀菜「でも、彼女はすぐに入院してしまったわ。だから彼女を調べる事はできなかったの、それで彼女にあった霊派を辿ってみ
たら校舎裏に来たの、でも私がフォーカスしてもいまいち拒否されてて、あの場所をうまく調べられなかったのよ」

【蒼司】「拒否って?」

由紀菜「拒否って言うのはあそこの霊達が妨害しているって事、死しても異教徒はお断りって事ね」

異教徒? それに霊か…校舎裏にそんな場所があるなんて

【蒼司】「宮内はその校舎裏の霊に憑かれたの?」

由紀菜「えぇ、でも少し違うのよね…元々校舎裏がどういった場所か知ってる?」

【蒼司】「高堀のお母さん情報では、よくない場所としか…」

由紀菜「そう、よくない場所で合ってる。でも私が霧島図書館で調べてわかったのを踏まえて言うとこんな感じ。あそこは昔、隠れキリシタンの教会だったの、防空壕の跡地を使ったね。」

【蒼司】「そっかだんだんわかってきたぞ。キリスト教徒の宮内はそこの霊達に受け入れられたって事か」

由紀菜「でも、受け入れたのがその霊達だけなら、まだよかったのだけれど」

【蒼司】「?」

由紀菜「あそこがよくない場所って言われている由来は他にある。あそこにいた隠れキリシタンは凄く過激で道を外した考え方を持っていたの。信者達は自分達以外の弾圧を受けていない異教徒達をとても酷いやりかたで虐殺を繰り返していた」

キリスト教徒が虐殺?

由紀菜「平地にする際は変形した人骨の他に土からアヘンも出てきたらしいわ…」

それは余計弾圧されるんじゃないかな…

【蒼司】「ってことは、憑いた霊って」

由紀菜「うん、その時虐殺された人の霊の中から、宮内さんと偶然波長が合って撮り憑かれたって事」

【蒼司】「でも波長があっただけで取り憑かれるものなの? そしたらキリスト教徒は校舎裏に行ったら皆まずいんじゃ?」

由 紀菜「金曜日よ、あそこの信者は日曜日じゃなくて毎週金曜日の夜、何時かまではわからないけどミサを開いていたの。日曜日にミサを開けば動きがバレるとか 思ったのかもしれないわね。そして宮内さんが取り憑かれた日は多分金曜日。ミサが行なわれ活発になった霊達のそばを熱心な信仰心を持つ宮内さんがたまたま 通り、引き寄せたんじゃないかしら、霊達のコンタクトの門みたいなのが開かれ同時に開かれた門から虐殺された異教徒の霊が宮内さんに取り憑いた」

あの女って言うのは霊だったんじゃ…

【蒼司】「霊ってそんな風に見えてしまうのか…俺は見えないもんな」

由紀菜「あら他の人だって、ここなんか嫌だなって思う人はいる筈よ? でも校舎を建てる前に祈祷もしているし、そう簡単に霊と波長が合うなんて無いわよ」

そっか、千年前だって、何万年前だって、ここは人々が生と死を繰り返していたはずだ、それは何処も一緒だよな。

もしすぐ霊と波長が合うなら常に霊や妖が見えている事になる

あれ、待てよ。常に見えるって人いるって聞いた事あるな…

【蒼司】「じゃ、話が少しずれるかもしれないけど、よく言われる"常に見える人"ってのはいったいどういうこと?」

由紀菜「んーなんていうか霊力やその他の力を使わず見える人は、アンテナみたいなモノがあるのよ。だからそれを持っていない人は受信できないから見えないのよ…でも見えるって事は霊達からも見られてるって気付かれてしまうから色んなコンタクトを取ってくるわよ」

アンテナか。TVみたいな例えって事だよな。

【蒼司】「コンタクトって言うのは?」

由紀菜「自分がどんな風に苦しんで死んだかとかね」

【蒼司】「そのアンテナって取り付け可能なの?」

由 紀菜「色んな方法があるけどね故意的にから無意識的にとか…とりあえず私達霊術師の場合、開門して開眼すれば見やすくなるけど、見ようと思わないと見えな い人もいるわ。こちらから見る種類で、サードアイって呼ばれるモノで、現視では見えないの。まぁ、いわゆる霊視ね。私は霊は、多分見た事無いかな?」

【蒼司】「多分て…なんだそりゃ」

由紀菜「私は居そうな感じがする所では外部からのコンタクトとかはシャットダウンしてるから…閉眼してれば見たくないものは見ないですむの」

なんかわけわからないけど、恐ろしい…

由紀菜「死んでるのに気付いていない霊も多いらしいわね、そういう人たちは普通に気付かずに歩いているみたい、事故死したまんまの姿の霊なんてまずいないと思うわ…大分話それちゃったわね、戻しましょう」

【蒼司】「じゃ、その取り憑いた霊か、あそこの霊達のどれかが、宮内の言っていた"あの女"か"見てはいけないモノ"な?」

由紀菜「あの女? 見てはいけないモノ? そうかもしれないわね…とにかく偶然が偶然を呼んだ様な不運としか言えない事故だわ。本当に可哀想だわ」

【蒼司】「高堀の事とかはどうなったのかな? 高堀の事、由紀菜は何か知っているんじゃ」

由紀菜「………」

由 紀菜「あそこのキリスト教徒は狂っていたのよ。さっき言ったとおり虐殺していたのだけれど、その殺し方が異教徒の目を焼き潰して殺しからていたの。その殺 された霊が宮内さんに獲り付いていたのよ、自分がされたように異教徒の目を焼き潰してから殺す。そして目の持ち主も異教徒。宮内さんは壊れてしまったの ね、神父や牧師だけじゃなく宮内さんは自分の家族も異教徒に見えて殺してしまったのよ。」

神父や牧師…嫌な予感がした

【蒼司】「もしかして、最近この町で起きているニュースは」

由紀菜「…」

由紀菜が真剣な面持ちで頷いた。

【蒼司】「それに家族まで…それを知ったのはいつ? そんなニュース出てないよね?」

由紀菜「私が今日、夜に学校へ来る前によ…宮内さんの家に入った時に見たの。もうぐちゃぐちゃだったわ」

【蒼司】「どうして宮内の家へ?」

由紀菜「本当は学校で戦いたかったけど、…なんていうか虫の知らせ? みたいな感じで行ったのだけれど、もう遅かったわ。」

【蒼司】「じゃあ、高堀もそこで!?」

由紀菜は首を振る

由紀菜「高堀さんは宮内さんの家にはいなかった、と言うよりも居た痕跡は無かったわね。お客さんを持成していた痕跡もなかったし。多分他の場所でだと思うわ」

【蒼司】「宮内は今日なんであの場所に居たのかな? 由紀菜も最初から宮内があそこに来るのをわかっていたんじゃないの?」

由紀菜「今日は金曜日じゃない。"ミサ"よ、多分憑りついた霊が引き寄せたのか、彼女の信仰心が呼び寄せられたのか…一度場所や霊等と波長が合ってしまうと中々縁みたいなモノが切れないのよ」

【蒼司】「憑りついていた霊は?」

由紀菜「一緒に滅ぼしたわ、あの炎で逃げれなくさせてね」

【蒼司】「校舎裏の跡地は?」

由紀菜「宮内さんに憑いていた霊は、あそこにいた怨霊みたいなもの。といっても自爆霊みたいなもんだから50メートルくらいしか移動できなかっただろうけれど…」

霊は恨みや死に方で分類されるって事か…

由紀菜「ほんとはあなたも最初から気づいてるのかと思ったのよね…宮内さんとは同じクラスだし。だから去年から話かけるチャンスもずっと伺ってたの」

はぁ…何も気づかなかったな…

【蒼司】「そういえばさっき話していた信仰の神がとか、手術の話は? 移植がどうとかも言ってたよね」

由紀菜「さっき学校で話したけど、宮内さんが今年の冬休み中に手術で移植された目は異教徒の目。信仰している神が違うもの同士が同じ肉体を持って反発…そして壊れてしまったとでも言った方が言いかしら。普通ではありえない、とても酷い病院側のミス」

【蒼司】「でも、病院側もこうなることを予想していて完備しているはずなんだろ?」

由紀菜「そうよ、移植手術は宗教間ではご法度の宗教もある。命の尊厳とかね、これに関しては賛否両論なの。
そ れに元々宗教影響が国の基盤となっているような国でなら、こんな事は絶対にありえない。でも日本では八百万なんていうほど…他の宗教の神様が姿を変えて信 仰されるくらいの国だから。こういった信仰に対する絶対的な意識の完備が甘かった部分も出てきたのかもしれないけど…」

【蒼司】「けど?」

由紀菜「宮内さん結構なお嬢様よね? ドナーの発見も手術の回りも早かったから…やっぱり、もしかしたら何かあったのかもね」

やっぱりって…何か他に理由があるのかな…

【蒼司】「何かって?」

由紀菜「…親が娘の手術のためにお金やら何やら動いて手術を早くさせた、ドナーの順番待ちが来たのも明らかに早すぎる、それも何か動いたのかもしれないって事…あくまで推測だけどね」

そういえば高堀が宮内の家の話聞いてた…宮内はバスで隣町の九名木町から来ているんだよな

九名木町は高級感溢れる町で土地も御高い

つまり財閥やお坊ちゃまお嬢様のいる町なのだ

【蒼司】「誰かがドナーや手術に手を加えたって事は?」

由紀菜「まー、お金で解決したりするような人達なら、そういった事をされてもおかしくは無いけど…一応私も調べてみてはいるのよ、でもこれ以上は霊的なモノの関与が薄いから私はここでストップした。そして今日の出来事で最近テレビで報道している連続猟奇殺人はおしまい」

…こんな前から起きていたなんて…しかも宮内が犯人だったなんて、これを聞いた今でも信じられない

………

【蒼司】「…あっ、ちょっと気になってたんだが、由紀菜は俺が霊力を使っても気にしていなかったよな?」

由紀菜は頷いた

初めから知ってたって事か

俺の知ってる使い方、以外の使い方をしていたよな

【蒼司】「それじゃ、由紀菜が使っていたあの青白い剣みたいのは?」

由紀菜「…………!?」

由紀菜が真っ青な顔をした後、ゆっくりと尋ねてきた

由紀菜「天城君、ちょっとこれからの戦力として聞いておきたいのだけれど、あなた"放"以外には何が使えるの?」

【蒼司】「俺が使ったのはホウって言うのか? ふーん、いや俺さっき撃ったホウってのしか使えないぞ」

由紀菜「あなたこれまでよく生きてこれたわね…って霊害とかと遭遇しなかっただけ?」

由紀菜は信じられないモノを見るかのような目で俺を見た

確かに、今日までそういった霊障に出くわしたことは無かったな

由紀菜「…やっぱり私の睨んだとおりね。あなたほとんど修練もしていないでしょう? あなたからそういった経験とかが全く感じないの、高校に入って少し近づいてみたけど…ほんと一般人と変わらない。でもこれで確信したわ、天城君一人で今日行ってたら本当に死んでいたわ」

一般人…俺の今までの努力じゃダメだったのか

【蒼司】「じゃ、最初から足手まといになるのはわかっていたと」

由紀菜は頷いた

ぐ…まじかよ

男として情けないな

由紀菜「そうだ、私は父から霊力の扱いを学んだのだけれど天城君はお父さん、お母さんどちらに霊力の扱いを教わったの?」

【蒼司】「父さんだよ」

由紀菜「そっかあなたのお父さんにも会ってみたかったわね…」

【蒼司】「なんで?」

由紀菜「うーん、ちゃんと学び終えた天道派の人に興味があったから」

【蒼司】「…よくわかんないけど、ちゃんとしてなくてごめんなさい…」

由紀菜「あははっ! 嘘よ! 冗談だから、天城君は何か質問ある」

【蒼司】「なぁ、今更だけど由紀菜って何者なんだ?」

由紀菜「…ふむ、本当に何も知らないってわけね。いいわそこからも説明するわ。私は普通の人間よ、ただ嬢月の家系は"南海派"といって代々霊力を扱って"災"を滅ぼしてきたのよ。あなたの事も調べたわ」


【蒼司】「なんで?」

由紀菜「あの、人見知りする鈴奈が懐いていたからよ」

【蒼司】「はい?」

由紀菜「鈴奈があなたに好意を持っていたから、あの子は多少でも霊力を扱えるはずなのよ…でもあなたのせいで鈴奈は修練しなくなってしまった。普通の人間でいたいからって」

【蒼司】「そっか鈴奈は由紀菜の妹だもんな、扱えて当然か。そんな素振りすら見えなかったから本当に気づかなかったな。でも、なんでそう思ったんだ?鈴奈は」

由紀菜「だっ、…っ!」

【蒼司】「うっ、なんで睨むんだよ」

怖い

由紀菜「もう、いいわ」

【蒼司】「まぁ、でも凄いんだな由紀菜達って」

由紀菜「何言ってるの? 天城君の天城の家系も"天道派"という災を滅ぼす希少な家系なのよ」

【蒼司】「へ?」

テンドウハ? そういえばさっきもそんな単語が出てたな…

由紀菜「…はぁ…鈴奈も気遣い損ね」

ちょっと意味がわかったような気がしたが、具体的に俺も確認した事が無い上に、とくに深く考えていないので
これは黙っておこう

【蒼司】「で、うちはそのテンドウハとかいう家系なのか?」

父さんは別にそういった名の様なものがうちにあるとは言っていなかった

由 紀菜「そうよ、天道派って言うのは南海派と同じく人に害を及ぼす魔や妖、霊等を鎮める為の一派の名前。中でも天道派と南海派は強力な力を使い有名よ。あな たが天道派というのはすぐにわかったの。天城はこの地じでは有名なの、伝説に近いけど天城君のご先祖様は子孫の血を犠牲にある一体の鬼を封じているから。 まぁ伝説というか御伽噺というか…」

【蒼司】「ははは、鬼が? まったくそんな感じは無いよ」

由紀菜「血脈者が沢山増え たからよ、頭が良いと思ったわ。封じたのがいかに強力な力の持ち主でも鬼を封じ込めておくなんてのは不可能。鬼はそれほど強い。だけど封印者の自我がある うちに子孫を作ったのよ。その最初の子には自分の命を犠牲にしてか何かで結界が張ってあったはず。後は鼠算式ね子孫が子を産む、そして鬼の力はどんどん薄 くなっていき、鬼の自我はいつか滅ぶ……ってなんで天城の家系を天城の人間に説明してるんだか私は…」

【蒼司】「あはは、確かに」

という事は翔子姉は関係ないって事か。翔子姉は母方の従姉弟だからな

【蒼司】「…じゃあ鬼はもう?」

由紀菜「えぇ消えているか、元々嘘か」

まっ嘘でしょって顔で由紀菜は答えた

【蒼司】「はぁ~うちの家系にそんな事があったなんてな、俺も聞いてて嘘っぽいと思うし」

由紀菜「それより私たちは同階者としての戒律を守らなければならないの」

【蒼司】「同階者か、そしたら俺はどうすればいいんだ?」

由紀菜「う~ん、見たところあなたは素質が無いみたいだから…」

【蒼司】「うっマジかよ…」

さすが死ぬと断言されただけのことはあるな俺

由紀菜「足を引っ張られても困るし、それに少し前からこの町には強力な力を持ったモノが入り込んでいるみたいなの。まだ動きは無いみたいだけれど、正直あなたは次来たら間違いなく殺される。私も今回みたくあなたを守りながら戦う事は出来ないと思うわ」

【蒼司】「でも手伝いたいよ。少しでも力になれるのなら」

由紀菜「言うと思ったわ。あなたバカそうだもの」

【蒼司】「翔子姉いわく、俺の父さんの口癖は人間馬鹿になって人を救えだからなー」

由紀菜「何笑ってるのよ、死ぬかもしれないのに!」

怒られた。

由紀菜「ったく力もろくに無いくせに…わかったわ」

由紀菜が肩を落とした

【蒼司】「って事は流れ的に霊力の使い方を教えてくれるのか?」

由紀菜「そういうことになったわ。しょぼい放しか使えないくせに、また加勢されたら大変ですもの。」

【蒼司】「はぁ…ありがとう由紀菜」

由紀菜「鈴奈がお世話になってるしね、これで貸し借り無しよ」

由紀菜は優しく笑った

口調はたまにきつくなるけど流石に皆が騒ぐくらいだな

【蒼司】「それで今日から教えてくれるのか?」

由紀菜「いきなり教えても時間がかかってしまうから、とりあえずあなたはどこまで学んでいるのかしら?放が使えるんだから、開はとっくに終わってるのよね。」

【蒼司】「開は霊穴門を開くだよな? なんか他にも五つの門があってとかも聞いてる」

由紀菜「五霊門ね、あなたの使った放もそれの一つ。放、纏、起、廻、崩どれも五臓を通して力を内部から発生させる。間違った使い方をすると使った五臓が破裂する」

【蒼司】「放は腎臓だよね?」

由紀菜「えぇ、他には脳を使う解というのがあるわ。それらを繋ぐ線は開いているみたいだから後はあなたの素質しだいね」

【蒼司】「放は放つ。纏は粘る。起は起こす。廻は還る。崩は無。組み合わせや応用次第で無限を極めると言われている。こんな感じだよね」

由紀菜「よくできました。ちなみにあなたの霊力を測らせてもらうわ。左の指先に放の砲を維持してもらえるかしら」

【蒼司】「なんで左なんだ? 俺右利きだし右でしかやったこと無いぞ」

由紀菜「やっぱり、あなたの親は自分達が死ぬのを察知していたのかもしれないわね」

【蒼司】「どういう事なんだそれ?」

由 紀菜「利き手だけで練習なんて付け焼刃だからよ。兎に角それだけは教えたかったんでしょう。さっ、良く聞いてね。左にって言ったのはコントロールを見るた め。本当は修練する時は砲が出来たら利き手とは逆の手で行う。そうやってわざと慣れない利き手で行なって霊力のコントロールをどんどん掴んでいくの。それ に砲は体内の外で力の構築をしている為、体内での危険が少ないからなの。後は指先にしたほうが普段意識しない手の平より意識しやすい」

【蒼司】「へーそっかそっか、よーし見てろよ」

俺は左手の人差し指を真っ直ぐ上に伸ばすと意識を腎臓に集中した集中した。腎臓がどろりと温かくなり神経が指先と腎臓にバイパスを繋ぐこれの全神系を指先から頭の先まで開くのが開。そして他の五霊門につなげるのが開からの応用

三秒位すると俺の左の指先に青白い粒子が溢れ始めた


【蒼司】「霊力はどのくらい溜めるんだ?」

由紀菜「聞くほど溜めれる集中力を持ってるわけ? 適当でいいわ、でもご飯粒より大きくね」

【蒼司】「ぶわはは」

画面効果:青フェードアウト

【蒼司】「おいっ、散っちゃったじゃないか! 指先痛いよ!!! 笑わせるなよ!!! さすがにご飯粒はないだろ」

由紀菜「遅くなるわよ? 早くしてちょうだい」

おい…

【蒼司】「ふぅ…疲れた」

由 紀菜「お疲れ様、大体わかったわ。さすが天城の家系、あなたは鍛錬次第で戦力にはなるわね、ちょっと馬鹿にしてたわ。ごめんなさいあなたの霊力だと一日を 撃つのは五発、砲は三発ってところかしらね。でもまだ集中力が足りないわね五秒はかかりすぎ、宮内さんでも三秒くらいだったわ。視化されるのに五秒じゃ起 で剣を起こすとなると多分とんでもない時間になるわ」

【蒼司】「そうなのか…じゃ、さっき由紀菜が放っていた球体は?」

由紀菜「あぁ、あれね」

【蒼司】「難しいのか?」

由紀菜「起で起こした剣等よりは全く簡単。でも飛ばすのは容易じゃない。コントロールが必要なの。砲は真っ直ぐのイメージでやるでしょ?形は似ていても、球体を維持させて手に留めて相手に向けて放たなければならない・・・・・たぶん今のあなたじゃ球体
を 飛ばせずに手から離れないんじゃないかしらダブルドリブルがいいところよ。放った瞬間に霊力の練りが足りなくて直ぐに分散してしまうと思うし。しかもその 分散したのが何処飛んでくかわからないわ・・・むしろ放つ寸前に手の平で爆発するかもしれない。兎に角今は放を留めて放つ事を練習しないとね」

【蒼司】「……………」

由紀菜「ちょっと、聞いてるの?」

【蒼司】「うぁっ、ごめん! 疲れて眠くなってきちゃった」

ははは、と俺が笑いながら言うと。

由紀菜「そりゃこっちだっつーの!」

蒼司「ヒッ! ごめん!」

なんか由紀菜の周りに宮内のような赤いオーラみたいなのが見えた気がしたので、とにかく謝る

由紀菜「まったく、じゃ、私そろそろ帰るから」

【蒼司】「あぁ、今日は助けてくれてありがとう! これからよろしく」

由紀菜「えぇ、こちらこそよろしくね。」

【蒼司】「あっそうだ由紀菜携帯は持ってる?」

由紀菜「馬鹿にしてるの、持ってるけど? …………うん、そうね携帯貸して」

【蒼司】「ほい」

音:携帯ボタン音

由紀菜が携帯を俺に返す

由紀菜「これがわたしの番号。後でワンギってね、登録しとくわ」

【蒼司】「おけっ、サンキュー」

由紀菜を玄関まで送る。

すると、由紀菜が後ろを振り返った。

俺を見ているようだけど少し違う気がする

【蒼司】「帰り、送ったほうがいいかな?」

由紀菜「うぅん、そうじゃなくてね……………まぁいいか。一応気を使ってくれたのね有難う、今日はお疲れ様、それじゃあね」

【蒼司】「? あぁ、お休み」

由紀菜「お休みなさい」

由紀菜は去っていった

後姿とか鈴奈にやっぱり似てるな…

しかし本当に今日はすごかったな…

宮内…

いや、あぁなってしまったのは誰も悪くない。

もしかしたら他にも沢山の人が亡くなっていたかもしれないんだ

でも、もし罪を被るならもちろん由紀菜一人の責任じゃない

もう二度とこんな事が起こらないように

俺もこれから頑張らないと

【蒼司】「ふぁ~ぁ」

寝るか

じゃないと明日何かと動けないとダメだしな

これから何が起こっていくのかわからないし

俺は少しづつだが今までの日常が変わり始めるのを感じていた

携帯着信音:

【蒼司】「誰だろ…翔子姉かな?」

俺は暗闇の中手探りで枕元の携帯を掴むとディスプレイを見た

………公平からメールだ

【蒼司】「だよね、だってメアドなんて交換してないもん」

ちょっと喜んで損した

【蒼司】「最後の元気返せよぅ」

なになに?

【蒼司】「…お土産、期待しとけ?」

……? …新学期始まってるんですけど…

公平は、ほんと空気読めないよな…

こっちは……

さっきまでのことを思い出す。

まったく。

【蒼司】「公平は進学大丈夫なのかな?」

いや、全然ダメだろ

とりあえずお休みとだけ入れた俺は、送信されたのを確認すると速やかに携帯の電源を切り深い眠りへと入っていった。

【蒼司】「ぐー」

フェードアウト