その昔、
邪馬台国の卑弥呼が
鏡を用いていた、と
そのような話があるが、
因みに、貴方はどのような鏡を
ご存知だろうか。
占い。呪い。過去、未来。
魔法、と言った様々な鏡が
この世に存在している。
現在では男女問わず、
必ず、一つは持っているもの。
この物語の主人公は
祖母から受け継いだその日から始まった。
現代(いま)と鏡の中を行き来する
とても不思議なお話。
時は平成24年。
漸く、寒さも去り、
春らしい暖かい日差しが差し込めた
ある日のこと。
家の帰路に就く親友を笑顔で見送る
幼女の名は秋良鏡子(あきらかがみこ)。
地元の学校に通う初等部の六年生。
天真爛漫な性格でとても明るく、
元気が取り柄な女の子。
勉強はかなり苦手である。
運動と読書が大好きと言う。
友達も多く、
毎日が楽しく充実していた筈、が。
見慣れた自分の家に差し掛かった時、
何故か、屋根裏部屋のことが
頭の中を過ぎり、
余計に気になり出した。
辿り着いた玄関のノブに手を伸ばし、
ゆっくりと回す。
そうして、只今と言って
中に入って行った。
取り合えず、荷物を置こうと
二階に続く階段を気怠そうに上り、
足を動かしていく。
その途中、
あの部屋のことが頭から離れず、
自室に向かう筈が、
足が勝手に秘密の部屋へ。
すると、ドアが独りでに開き、
自分を招き入れた。
随分閉めっぱなしにしていたのか、
少し黴臭い。
顔を顰め、中に入り、カーテンを開け、
窓を思いきり響かせた。
小さい頃此処で遊んだ記憶が甦り、
懐かしい気持ちに成る。
辺りを見回すと、
一つの大きな姿見の三面鏡が
目に止まった。
近付き開け様と手を伸ばすが
ロックされている。
あちこちの物入れを引き出し、
探して見るのだが
一向に鍵は見つからない。
確か昔貰った覚えが有る。
首を傾げながら考えて見る。
すると─何やら光ものが、
恐る恐る近づくと小さな箱が
視界に入り、手を伸ばすと
いきなり箱の蓋が開く。
その中には鍵とコンパクトの様な物と
手紙が1通添えられていた。
それを取り開いて見ると、
亡くなる少し前に
祖母が孫に宛てたものだった。
『この手紙を読んでいる頃には、
おばあちゃんは
この世には居ないと思います。
今から話す事を良く理解して下さい。
貴方なら、きっと──』
──ある朝、夢を見た。