池袋駅東口のファッションビル前に麻美は立っていた
 
清瀬と会うことになった麻美は、気乗りしないまま、麻美が決めた待ち合わせ場所で清瀬を待っていた
 
ほどなくして小柄な男が声を掛けてきた
清瀬だった
 
実際の清瀬はPCの写真よりも遥かに若々しかった
 
そんなに悪くないかも)と麻美は思った
 
容姿が好みかどうかは大事だと麻美は思っている
人間は中身だと頭で理解はしていても、こればかりは生理的なものだから仕方がない
 
まだ午後2時だったが二人は多国籍風という居酒屋に入り生ビールを注文した
 
PCでやりとりをしてるとはいえ2人は初対面だ
しかし改まって話をするのも照れくさい
手っ取り早くアルコールの力を借りてリラックスした方が良いと、多分清瀬の方が思ったのだろう
 
こういう場合、女よりも男の方が緊張するものだと麻美は経験上から解っていた
麻美はいつも頭のどこかで覚めている
 
ビールを飲みながら、清瀬は麻美が聞きたかったことを話し始めた
 
『僕の仕事は警察官です』
 
麻美は驚いた
公務員とは書いてあったが、目の前にいる、この小柄な男が警察官だとは到底思えなかったからだ
 
 
外山の携帯には、由紀以外の3人の女とのやりとりがあった
 
[先日はご馳走様でした。素敵なお店でしたね]
 
[指輪を有り難うございました
大事にしますね]
 
[先日は家まで送ってくださり有り難うございました]
 
3人の中には結婚している女もいるようだった
いずれも由紀にはしてくれた事がない事ばかりが書かれていた
 
外山の気配がしたので、由紀は慌てて携帯をテーブルに起き、お茶を取りに行くフリをしてその場を離れた
由紀の家は広いので都合が良い
 
動悸がしていた
 
きっと今外山に顔を見られたら携帯を見たことを悟られてしまう
 
女達に嫉妬するというよりも
外山にバカにされてる自分に腹がたった
由紀はこれまでつきあった男にこんな扱いを受けたことが無い
 
とにかくその日は普通を装って外山を駅まで送った
 
その後由紀は外山と2回会って別れた
1回目のデートでは外山との食事の時に外山を無視して好きなものを注文した
その後、買い物につきあわせ外山の目の前で50万の買い物をした
そしてその日はすぐに帰ったのだった
 
何故そんなことをしたのか麻美には解らないが、由紀なりの反撃なのだろう
[バカにするな]と言うことか?
 
もうそのまま会うつもりもなかったが、外山が話があると言うので由紀は車で出かけた
 
待ち合わせの店に着くとやはり外山は由紀より早く来ていた
 
[結婚したら僕が由紀の家に住んで、僕の家は娘にあげようと思うんだ]と外山は言った
 
はぁ?
由紀は一瞬意味が解らなかった
 
何を言ってるんだこの男は?
さも当然のように言い放つ、その自信は一体どこからきてるんだ?
 
由紀は端正な外山の顔を呆れ顔で見た
 
[外山さん]由紀は笑いながら言った
[誰が貴方と結婚するって?]
 
外山は驚いた顔をした
 
[私は貴方と結婚する気も一緒に暮らす気もないけど?]
 
3人の女の話はしなかった
もう興味も無かったし、言い訳されたりするのも面倒だった 
 
いつも主導権を握っていた外山は呆気にとられた顔をしていた
 
[もう貴方とは沢山、これまでにしましょう]由紀は外山を睨み付けるように言い、席を立った
そしてそのまま店を出た
 
外山は追い掛けてこなかった
 
バカな3ヶ月だったと由紀は思った
 
 
最初のデートから由紀は外山が非常に細かい性格だという事に薄々気づいていた 
 
それでもデート代は外山が出していたし、由紀はまだ外山の容姿や話術に惹かれていた
 
しかし何回か会っているうちに由紀はだんだんイライラするようになっていった
 
2人でランチに行けば外山は1番安いランチを注文する
由紀は食べたい物があっても我慢して同じ物を頼むことになる
 
ある日[私はこれがいいわ]と、外山より高い物を言うと外山は嫌な顔をした
由紀は自分で払ってもいいと思ったが外山を立てて同じ物にした
 
またある日、やはり外山と長い時間歩いていた時、由紀のハイヒールの踵が折れてしまった
慌てて靴屋に入ろうとすると、外山は店に入ってこない
靴を買わせられるのが嫌だったのだろう
由紀は腹が立った
 
[靴のひとつや2つ、女に買ってやることも惜しむ男なんて!] 
それまでの由紀の恋愛経験からは考えられない事だった
 
しかもつきあって知ったことだが外山は裕福な家の息子だった 
お金持ちほど細かいと言うから、そういう育ち方をしたのだろう
 
由紀が外山を嫌いになれなかったのは、そういう部分もあったのかもしれない
 
由紀が外山に見切りをつけたのは外山が由紀の家に遊びに来た時だった
 
外山がトイレに立った時
テーブルに置かれた外山の携帯を由紀は何気なく開いた