引越ししてきて通い始めた一つのクリーニング屋。
気さくに話すおばさんの後ろでテキパキと働く君を、俺は親子だと思ってた。
週に一度、週末にだけ行くクリーニング。
気分のいい接客対応をする、そんなクリーニングだった。
時々、おばさんではなく同い年くらいの女の子もいたね。
その時は君が前に立って気持ちよく接客してたよ。相変わらずテキパキと。
でも、二人は仲良しだった。
とある日、俺は知恵の輪を持っていったら、もう一人の女の子が楽しそうにやっていた。
茶髪で、いつもブスっとしながら、君と違って愛想がいいわけではないけど、
二人で知恵の輪をやってた。
二人で冗談っぽくもう止めたいなぁなんて行ってたね。
翌週、クリーニング屋に行ったらおばさんだけだった。
いきなり置き手紙があって、二人揃って辞めた、と。
なんというか、最近の子はこんな感じなのかぁ・・・と、ただそう思ったよ。
ただ、俺はもちろん、君の事を何も知らなかった。君は大変だったんだね。
しばらく経った、とある日に、あの子はいい子だったのにねぇ・・と言いながら、おばさんが話し始めた。
君がストーカー行為にあってたこと、店の周りに合成写真などをばら撒かれ大変だったこと。
それでも、俺は何も深く考えなかった。
あの子は大変だったんだ。思ったのはそれだけ。
同情も心配もすることはなかった。
クリーニングで働いてた愛想のいいスタッフ一人が辞めた、そういう事実しかなかったよ。