こんにちは、培養室です。
先週の第64回日本生殖医学会学術講習会に参加させていただきましたに引き続き第64回生殖医学会学術講演会についてご紹介します。
学会では当院から2題の一般演題を発表致しました。
今週は『PIEZO-ICSI』についての発表をご紹介します。
現在、顕微授精には「先端が尖った針を使った顕微授精」と「先端が平な針を使った顕微授精」があります。顕微授精は卵子に精子を直接注入する受精方法ですが、注入の仕方がそれぞれ異なります。下記の動画を見てください。
先端が尖った針を使った顕微授精の動画
こちらは、針に吸引圧を掛けて卵子に精子を注入していく方法です。
先端が平な針を使った顕微授精の動画
こちらは、針に機械が微細な振動(PIEZO駆動)を与え卵子に精子を注入していく方法です。
先端が尖った針よりも先端が平な針を使った方が卵に優しい方法とは思いませんか?
事実、多くの施設から受精率の向上、顕微授精後の変性率(死滅率)が減少したと多数報告されています。(Piezo-ICSI K. Hiraoka etc Fertility and Sterility V-5 Monday, October 8, 2018)
当院では、顕微授精を行うすべての患者様に先端が平な針を使った顕微授精を行っています。これが『PIEZO-ICSI』というものです。
今回の発表ではこの『PIEZO-ICSI』をよりよく行うための検討を行いました。
まず、顕微授精の前に精子の動きを止めること(精子不動化)が必要です。精子不動化により精子から卵子を活性化する因子が出ることによって、卵子と精子が受精します。
では、微細な振動(PIEZO駆動)を何回掛けて精子不動化をするのが卵にとってよいのでしょうか?
今回の検討で微細な振動(PIEZO駆動)を3回かけて精子不動化をするとよいことがわかりました。
次に、微細な振動(PIEZO駆動)を開始してからいつまでに顕微授精が完了したほうがよいのでしょうか?
今回の検討で顕微授精の時間が短いほど受精率が高くなる傾向が見られました。
したがって、精子不動化においては微細な振動(PIEZO駆動)を3回に限定し、振動(PIEZO駆動)から顕微授精完了まで迅速かつ丁寧に終わらせることが重要であると考えております。
細かい事かもしれませんが、我々はPIEZO-ICSIのアプローチの仕方1つ1つに気を遣い、少しでも培養成績が向上するよう目指し、日々努力しております。
我々の検討がより多くの患者様の良い結果に繋がることを期待しております。
最後に、前回の学会で第22回日本IVF学会に参加させて頂きました古井理事長にご飯をご馳走になりましたが、今回も学会終了後にご馳走して頂きました。『炭火焼肉 石田屋 本店』というお店です。
すべての料理がめちゃくちゃ美味しかったです。特に焼きしゃぶが美味しかったです。神戸に行く機会があれば是非立ち寄ってみてはいかがですか。
古井理事長、今回もご馳走様でした。