12歳のトイプーさんです。
4ヶ月ほど前に掛かり付けの動物病院で歯石除去のために全身麻酔をかけたそうです。
これが原因かどうかは不明ですが、その後から右の体幹部の皮膚が赤く変色し水脹れが出来て皮膚が剥がれてしまったとのこと・・・しばらくは掛かり付けの病院で治療しましたがなかなか良くならず、二次診療施設の皮膚科を受診して治療を受けていたとのことです。
しかしそれでも全然改善しないので、ネットで当院を見つけて来院されました。
来院した際の状態は、メピレックス・ボーダーという貼り付け式のフォームタイプのドレッシングで覆われており、週に3回ほど皮膚科に通院して交換していた、とのことでした。
当院では、ドレッシング材をズイコウパッド®︎)という吸水性に優れたドレッシング材に変更し、ご家庭で毎日交換していただくように指示しました。
そして1週間後、明らかに傷が小さくなりました。
たった1週間で、今まで4ヶ月も全く改善が無かった創傷が見違えるほど改善したのには私自身もちょっと驚きましたが、何よりご家族が非常に喜ばれました。
その後は上皮化によって順調に創面積の縮小が見られ、途中ちょっと上皮化のスピードが落ちましたが、約3ヶ月後には完全に上皮化して治癒しました。
受傷後時間が経過していない新鮮創と違って、時間が経過した慢性創はなかなか治りにくいことが多いです。特に猫では治りにくく、外科的な方法で手術により閉鎖しないと治らないケースが多いのですが、犬の場合は猫と比べるとドレッシング管理による保存的な方法でも治るケースがあります。
但し、適切なドレッシング管理をしないと治癒には向かいません。今回のケースでは明らかにドレッシング材の選択と交換頻度が不適切と思われました。
これは「湿潤療法」という名称の誤解・理解不足による典型的な症例です。
以前、病院サイトの方のコラムにも<モイスト・ウンド・ヒーリングと「湿潤療法」について>という文章を書きましたが、昨今は特にこの「湿潤」というワードに引っ張られて創傷を過剰に湿潤にして「湿潤療法やってるけど治らない」というケースが非常に多いと感じています。「適切な湿潤環境≠過剰な湿潤状態」ということをきちんと理解して欲しい、と感じた症例でした。















