猫の脇腹に生じた離開創(慢性創)
これもまた「怪我をした状態で保護された猫さん」の症例です。
保護猫さんはこのパターンが非常に多いですね。

この猫さんも、1年半くらい前から怪我をした状態が確認されていたらしいのですが、なかなか捕獲されず、ようやく捕まえることができたので近所の動物病院で縫合処置をしてもらったそうです。
しかし縫合部がすぐに開いてしまい、その後何度も縫合しては開いてしまうという状況が繰り返し続いたため、当院を受診されました。
皮膚が縫合糸でなんとなく2箇所くらい寄せられていますが、このままだと糸が掛かった部分の皮膚が張力に負けて切れてしまうだけなので、とりあえず”無意味な”糸を除去します。

本来の傷の大きさはこのくらい。

周辺の、皮膚が浮いている部分にピンセットを入れると、かなり深い部分までポケット状に隙間が空いているのがわかります。
創面の状態を一旦落ち着かせるために、数日間ドレッシング材で保存的に管理したのち、手術にて閉鎖することになりました。

手術前の、毛刈りと消毒が終わったところ。
こうしてみるとかなり広範囲の皮膚欠損創ですね😅
慢性化してるので創縁〜創内の組織も硬く柔軟性が無くなっています。
陳旧・難治化した組織をしっかりと除去し、新鮮創にしたのち、縫合しました。

また、縫合部にかかる張力を少しでも軽減させる目的で、皮膚接合用テープ(ヒト用)を併用しました。

飼い主さんのお住まいが遠方だったこともあり、術後は抜糸が完了するまで入院で管理しました。

抜糸直前の状態です。
経過は良好で、術後約2週間で抜糸、その後退院となりました。