多摩川のふもとで犬や猫と暮らしている

多摩川のふもとで犬や猫と暮らしている

動物病院 EL FARO 院長が日々の診療の中で考えたことや思いついたことを書いています。

内容は、動物や獣医療に関することや、それ以外のことも、色々です。

これまでの「診療日記」からブログにしました。
ブログタイトルは以前は「血液型性格判断はニセ科学です」というタイトルでしたが変更しました。「院長日記」とか「よしなしごと」とか幾つか考えましたがあまり面白くないので、ひとまず上の表題にしました。

何故「川の畔(ほとり)」ではなくて「川の麓(ふもと)」か?というのは、まぁわかるヒトにだけ解って頂ければイイと思います。決して”うっかり間違えた”訳ではないのです(^_^;)

 

  猫の中足部の皮膚欠損ーその1

「中足部」とは足先と踵の間、ヒトの足で説明すると足の甲(および足裏)の部分のことを指します。

犬や猫など多くの動物は踵を着かずに爪先で立っていますので、中足部は接地している足先より数cm上の部分ということになります。

この部分に皮膚欠損が生じてしまうと、皮膚を引っ張って寄せるだけの余裕が無いため普通に縫合・閉鎖することができません。一般的にはAxial pattern flapという皮弁手術によって欠損部分を閉鎖することになります。

 

この猫さんは、中足部に腫瘍が出来たため近くの動物病院で切除しましたが、「皮膚が足りないので縫合できない」という理由で開放創(傷を縫わずに開いた状態)のまま退院してきたそうです。

その後、数ヶ月の間に複数の動物病院に通いましたが改善する様子が無い、ということで(かなり遠方の方なのですが)当院へ来院されました。

Reverse saphenous conduit flap(逆行性伏在導管フラップ)という皮弁を使用して手術による閉鎖を試みます。

この方法は、内くるぶしから情報に向かって伸びる内伏在静脈とその周辺の皮膚をフラップ状に切り出し、反転させて欠損部分に被せて縫合・閉鎖するという方法です。

こちらが完成形。皮弁の根本が捩れてシワになっていますが、これは皮弁基部を約180°反転させているので仕方がありません。

この皮弁は静脈皮弁のためか、術後にうっ血が生じて浮腫みが出るのが特徴です。しかし数日すると浮腫は改善します。

 

このケースでは、術後に皮弁の先端部分(血行が悪くなりやすい)や関節屈曲部の縫合部に小さな離開が生じたため何度が縫い直しが必要となりましたが、約1ヶ月ほどで完治となりました(E.カラー生活はもう少し続きましたが)。

 

 

  猫の中足部の皮膚欠損ーその2

この猫さんは元々保護猫ちゃんで、保護された時から中足部に傷があったそうです。

掛かりつけの病院で治療していましたがなかなか改善しないため、当院を受診されました。

やはり猫の慢性創傷(受傷から時間の経過した傷)は治りにくいため、手術での対応となりました。

術式は上記の症例と同様、Reverse saphenous conduit flapによる閉鎖を試みました。

術後の様子。問題がなければ約2週間で抜糸予定となります。

抜糸直後の様子です。時間が経って毛が生えてくればもっと目立たなくなると思われます(但し毛の生える向きは逆になります:逆さまに反転させているため)。

動物、特に猫さんは少しでも気になる部分があると熱心に舐めたがるので、しばらくはエリザベス・カラーによる管理が必須となります。

 

「迷い犬を保護した」という方が来院されました。

 

保護したのは今朝(10月20日)8時ごろ。

保護場所は多摩川沿いにある多摩川清掃工場近くの道路。

 

犬種はおそらくトイプードルと思われます。

性別は雌(不妊手術済みかどうかは不明ですが明らかな手術痕はなし)。

体重2.9kgでやや痩せています。

年齢は不明ですが、口腔内の状態(歯石沈着&歯周炎あり)から判断すると6歳以上、中年齢〜高齢?と思われます。

 

 

 

ハーネスとリードは保護された方が付けたものですが、洋服はワンコさんが元々着ていたものです。

 

心当たりのある方は、病院までご一報ください。

連絡先は、お手数ですがプロフィールから病院のウェブサイトより参照してください。

 

  猫の下顎の皮膚裂傷

今回もまた猫さんの症例。

そしてまたしても、怪我を負った状態で保護されました。

 

 

保護された時は全身状態も悪く、また下顎の外傷の状態も非常に重篤だったため、近所の動物病院では「安楽死」を勧められたそうです。

しかし、入院して世話をしているうちに徐々に元気になり、食欲も出てきたので、「何とか生かしてあげたい」とのことで、当院を受診されました。

 

当院の初診時、顎の皮膚がザックリと裂けた状態で、下顎骨が剥き出しになっていました。

包帯やドレッシングが巻ける位置でもなく、手術も困難と思われました。

 

しかしよく見てみると、裂けた皮膚の創縁に、口唇粘膜の一部が残っており、これをうまく剥がして前方に引っ張ってくれば、歯肉部分と縫い合わせることが出来るのではないか?

 

ということで、手術を行いました。

 

 

骨が削れて、歯根が露出している左の犬歯は抜歯しました。

 

 

何とか綺麗に縫い合わせることが出来ました。



顎の縫合部が皿に当たらないように、術後は手からご飯を与えました。


術後の経過も良好、食欲旺盛で約2週間ほどで抜糸、退院となりました。