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climb_danceのブログ

管理人が趣味として行なっているロッククライミングを通して感じた事を書き記しています。コンセプトはあくまで「管理人の独り言」。
岩場やルートの情報、写真掲は載せず、管理人が感じたことをそのまま書き残そうと思う。

先日、なじみのジムである事故を目撃した。


クライマーがフォールした再にハーネスが外れかけた状態で宙吊りになったのだ。幸いにも負傷者を出さずに至ったが、最悪のケースも想定できる事故だった。


事故の原因は2つ。クライマーがハーネスを正しく装着していなかったこと、クリップポイントを1つ飛ばして突っ込んだこと、だ。どちらも単純で簡単に防ぐことが出来たミスだ。前者のハーネス装着ミスは論外と言ってもいいが…



しかし、この事故の本当の原因は別なところにある。



事故を起こしたのは普段、ボルダーをやっている人達で「たまにはリードでもやるか」といった軽いノリで行っているように見えた。傍から見て登攀能力はあるが、ビレイに関してはド素人といっても過言ではなかった。


自分が思うに真の原因は、「彼ら自信の慢心と勉強不足」。そして「彼らを教えた人の責任放棄」である。


以前、「教えるということ」でも書いたが、クライミングを教える人は責任を持つべきであり、まして途中で放置するということは絶対にしてはいけない、と思っている。


自分達で勉強し試行錯誤するのは当然だが、それだけでは知り得ないことや経験出来ないことは沢山ある。初心者は指導者なくして、クライミングの技術を身につけることは絶対にできない。


彼らは最低限の教育も受けていなかったのだろう。しかし彼ら教育できるのは彼らを最初に教えた者にしか出来ない。自分のような部外者が横槍を入れて手取り足取り教えていいものではない。それがクライミングの世界だ。


彼らが今後、事故を起こさないことを祈る…
残念ながら、自分に出来ることはそれぐらいしかないから









どんなクライマーにも苦手な分野が存在する。


自分はボルダー能力が無いから、パワーがいるようなルートやボルダームーブが入ってくるルートでは極端に登れなくなってしまう。


先日、外岩にてあるルートをトライしたのだが、名前の通りパワーが必要なルートで全く歯が立たなかった。やはり自分の弱点はボルダーパワーがないことだと改めて知った。


そして「自分には無理だわ…」と呟いて、諦めてしまった。
今、思うと非常に情けないことをしたと思っている。


クライミングは越えられない壁にこそ挑戦することに意味がある。不得意だからといって、それを口にして逃げ出すこと程カッコ悪いことは無い。


今までだって「この壁は越えられないな…」と心で思っていても、諦めずに取り組めばどんな壁だって乗り越えてこれた。逃げ出さなければ結果は必ず付いてきたというのに。



いつから自分はこんなに弱くなったのだろう。



まだ外岩に出られるようになって間もないから、体が慣れていないというのもあるだろう。しかし自分でも気付かないうちに精神面も弱ってしまったのだと思う。ジムで登ることがメインになり、外岩で「攻める」という姿勢を忘れかけていた。


ようやくクライミングシーズンに突入したのに、こんな感じでは先が思いやられる。少し自分に鞭を打たなきゃいけない。当面はあの打ちのめされたルートを落とすことが目標だ。


よくよく考えたら、苦手ってことはあれを落とせれば少しは克服できるわけだよな。
ってことは、ある意味では自分にピッタリなルートじゃないか。


負けたままじゃ、終わらんぞ~!!







先日、久しぶりにマルチピッチをやる機会があった。


登攀したルートのグレードはそれほど高くはなく、快適に抜けられると思い、意気揚々としてた。しかし登り始めてすぐにある事を思い出し、恐怖に襲われた。


忘れていた事とはマルチのルートはショートと違い、落石やホールドが欠けることが当たり前のように起こる、ということである。


実は初めてマルチに挑戦したときに、ホールドを破壊して思いっきり落ちたことがあった。幸いにも破壊したホールドは落下させることもなく、被害は自分が膝を打っただけだった。


このときセカンドだったため、この程度の被害で済んだがリードだった場合、自分もビレイヤーも致命傷を受けてもおかしくはない事故だった。


後になって考えれば簡単に壊れてしまうようなフレークホールドだったが、シュートフリーの感覚で「ルートととして整備されているのであれば大丈夫」と甘く考えて思いっきり体重をかけてしまった結果だ。


すっかり忘れていたが、岩に取り付いた瞬間にそのことを思い出したのだ。


どのホールドもスタンスも壊れるのでは…、ここで落ちたら間違いなくグランド…、そう思うと、大した所でもないのに恐怖で動けなくなる。ショートのときのように「思いっきり突っ込んでみよう」なんて微塵も考えられなかった。


マルチをやる度にこのトラウマと戦わなければならないが、安全側に働くのであれば持ってても良いトラウマなのかもしれない。慎重になるに越したことは無いだろうし。


まぁ、心の傷が守ってくれるものもあるってことよね~


上を目指すなら、ボルダー能力が必要。


リードクライミングをしている自分にとって、何度も聞いたことがある言葉である。確かにリードクライミングで核心と呼ばれる部分はボルダー的な要素が強いことがほとんどだ。


ボルダー能力を上げることができれば、自分も越えられる壁が増えるのは間違いないだろう。しかし、自分はボルダーを継続してやろうとは思わない。


なぜなら、リードでも実質的にボルダーをやる羽目になるからだ。


越えられない核心があれば、室内だろうが外岩だろうが、結局はそこを越えるためにロープにぶら下がった状態でボルダーをやることになる。


ボルダー能力を上げるという意味では効率的ではないかもしれない。しかし、自分はほとんどボルダーをやることなく、ここまでやってきた。


ボルダーをやる必要はないとは言わないが、やってて面白いと思わないものを続けるつもりもない。モチベーションが上がらない状態では、それこそ成長も見込めないだろうし。


だから、自分は自分が信じたスタイルを貫き通せばいいだけのことだ。
リードだけをやってても絶対に強くなれる!そう信じているから。










仕事柄、高いところに登ることが多い。


一般人が立ち入ることが出来ない場所や建物からは時折、仕事で来ていることを忘れてしまうくらい良い景色が望める。誰もが望める景色でないことを思うと、特別な待遇を受けているようにさえ感じるものだ。


しかし、そんな景色を見るのも最後の時がきた。


一生続けていける仕事でないことも、いつか別の道へ進まなければならないことも分かっていた。単純でバカなのかもしれないが、「やってみたい」というただそれだけの理由で始めた仕事だ。


肉体面、精神面、経済面のすべての面でずっと苦しい思いをしてきたけど、「自分が選んだ道だから」という想いと「誰にでも出来ることではない」という想い。そして「良い景色が見れる」ということが支えになり今までやってこれた。


しかし、それももう限界だ。


自分の生き方を「甘ったれている」と言われればそれまでだろう。「もっと辛い思いや苦しい思いをしているヤツがいる」と言われればその通りなんだろう。でも自分の意思は変わることはない。


会社という枠の中に自分を押し殺すことなんて出来ない。人柱になるなんて御免なんだよ。これから先、やりやいことも守りたいものもある。何よりも「人」でありたい思う。


誰もが望めない景色を見ることが出来なくなるの残念だが、そんなもの自分の人生があってこそである。「辞める」という選択支を選んだことは間違っていないと思っている。



俺が最後にみた景色は忘れない。
きっとこれからの支えにもなるだろうから。