S君は、高校時代の同級生。背が高く、スポーツ万能でほどほどにイケ面。女子生徒にすごくもてた。
じじつ女の子がすごく好きだった。何人もの女の子とつきあっていたが、性欲の権化というべきか、将来はテレビ局に就職して、きれいな女優やモデルとエッチすると広言してはばからない男でもあった。実際、その後父親のコネで某有名私大に入学し、ついには某民放局に就職した・・・とか聞いていた。
そんなS君とは僕はほとんど接点がなかったのだが、ひょんなことから先日じつに二十数年ぶりの再会をした。
麻生首相じゃないが、ホテルのバーでお互いの近況を語り合った後、話題が尽きたので、僕は「君は、学生時代、タレントといい仲になるとか言っていたけど、テレビ局に就職してほんとにそういうチャンスがあったのかよ?」とふってみた。実は、「結局そんなチャンスはなかったよ。」という答えを期待して・・・。
ところが、S君は「ああ、まあまあだね。」と僕の期待を裏切ってみせたのである。
そして酔いが回るにつれて、ホントかうそか知らないが、こんな女と寝た、あの女はこんなことをした・・・と実名をあげて得意げに生々しく語るのであった。その中には、僕も聞いたことがあるタレントの名前さえあった。僕は守秘義務を守るけれども、こんな風におしゃべりされたんじゃたまったものではあるまい。
すっかり聞き役に堕した僕は、まさにご馳走様という気持ち。「毎日楽しそうでいいね。」
「そうだね。」彼は臆面もなくそう言い放つのだった。こういうテライのない人生を送れるって本当に幸せじゃないだろうか。
今の佐藤君は額もハゲており、昔の面影はないけれど、こういう男は仮にテレビ局に就職できなかったとしても、きっと似たように人生を謳歌できたことだろう。しょせん自分なんかとは住む世界がちがうのだ。しかし、もしその過程で何人もの女性を踏みにじってきたのだとすれば笑ってすませられぬ。
ま、いずれにせよ彼には将来地獄に堕ちてもらいたい・・・それが僕の思いだ。
でもテレビ局ってホントにそういうところなのだろうか。そういうヤツもいる・・・ってだけだと思うのだが。