第五巻 弥彦の神様 の巻
おい・・おい!
何でこんなところで死んじまうんだよ!
半分潰れた体温すら無いからだを抱きしめながら
おれは天に向かって大声で泣いた
多分、今までの人生の中で一番泣いた。
おれは感情のまま、素直に生きている。
嬉しいときには大声で笑い
悲しい時には大声で泣く
あれ?
抱きしめた うさぎ?が・・
なんとなく暖かくなってきた。
360度、明るい光で満ちていた。
眩しいほどの光に満ちている。
すると・・
私は天香山命(あめのかごやまのみこと)です。
弥彦神社をお守りする神の一人です。
と
声がした。
逃げ出したうちの修行者をお守り頂き、感謝いたします。
最後に皆を勇気付けた彼女も立派でした。
(え、彼女??)
とても素敵な仲間と出会い、成長しました。
今は修行の身でうさぎの体を借りていますが
今こそ、真の姿になる時だと、判断しました。

と
語ると、
抱きしめていたうさぎ?が大きくなって
一人の女性の姿に変わってきた。
え、
女の子???
長い黒髪で
肌は透き通るほどに白い
まだ大人になる過程の裸の少女
そして
何かぼそぼそと声が聞こえてきた。
『鼻をかんでやろうか・・ううん』
『いや、そうじゃなくてもっと抱きしめて』
なんと寝言のような事を言い始めた。
おおーー!生き返った!!!
生き返ったぞ!!!
おれは嬉しくて彼女を強く抱きしめて
『よかったな』『よかったな』
と
声を掛けていたところ
鼻がふわっと
暖かくなるような感触があった!
その美少女がおれの鼻を嚙んできたのだ
今度は強烈なパワーではなく
あきらかに甘噛みだ!
くすぐったい・・でもなんだか幸せな時間・・
『あれ??』『何だ、ぼく??』
『体が重い・・あれ、人の姿???』
目の前で涙をためて抱きしめているおれに気づき
全てを思い出し、そして
更に強くおれを抱きしめてきた。
感激の瞬間である!
数秒後に右の頬に強烈な衝撃を感じた
『何をやっているんだ!!ボケ!!』
と言いながらクシナダちゃんが蹴ってきたのだ!
強烈な衝撃で顎が外れてまともに会話ができない
『くしゅなだちゃわん・▽※◇□ うーんもうじゃめば~』
まともに会話もできない曲がった顔を見た後、
元うさぎの女の子は大笑い
しかも・・クシナダちゃんも腹を抱えて笑っているじゃないか!
おいおい・・
う~ん・・まあいいか
それにしても、
あんな技を持ったカラス天狗は、
もっと早く攻撃をしてくれれば良かったのに・・
そしておれはルシファーを倒すつもりで
全身全霊で力をためていたのに・・
何だったんだよ~
かっこ悪いじゃんか~
もう・・・
そうなんだよね
世の中、
想像したようにかっこよくはいかないんだよね!!
でも・・まあ良いか(笑)
ここは笑うところだな!!(笑)
よし、大声で笑おう!!
あ~!! あご、 あご痛て~~~
次回 最終巻
第6巻 天照大御神(アマテラスオオミカミ)参上
に続く
