霊峰
妙高山の雄大な山裾から見下ろす景色は
20年経った今も変わらない
第一線にいた慌ただしい時代から
転げ落ちてこの自然豊かな大地に到着した。
人生が一転した。
時間の流れが急にゆっくりになった。
あの頃に比べると
仕事もマインドも
考えられるボトムだった。
だが
ボトムになって気付く。
見えないものが見えてきた。
この位置に来たおかげで
全体が見えてきた。
けど
逆転はできない。
皮肉なものだ。
もうこれ以上落ちないから
寝っ転がることだってできるし
右にも左にも行ける。
心が穏やかになり
汚いものがものすごく見えてきた。
まるで
真っ白な雪の上に
どんな不純物を置いてもわかるように
人生後半、
楽しまなくっちゃね!!
いや~
それにしても
こんなに混んだリフト乗り場は久しぶりだ。
オリンピックの影響だろうか
一番下のリフト乗り場に長蛇の列ができている。
並ぶのが面倒だったから
少し離れたところにある
超初心者ゲレンデ用のリフトに乗り
降りて隣のゲレンデまで横断
さすがに待ち時間ゼロ
そして
裏技で頂上まで上がる。

なんて清々しいんだろう
ここまで来ると
静寂な白い世界が広がる。
白樺の枝に絡みついた雪が
時折大地に落ちて枝を揺らすのだが
その音さえ染み渡る。
新鮮な空気を思いっきり吸い込むと
なんだか
体中の細胞が若返る。
明日からも頑張れる。
