おれの趣味は飲酒と言っても過言ではない。
でも、人はなぜ酒を飲むのだろうか?
最初に酒を口にしたのが高校3年の卒業前
友人の家に男4女4人集まって
学生時代を振り返って宴会をした時だ。
何でも『最初』というものは良く覚えているものだ。
ウィスキーをロックで飲んだ。
みんな初めての飲酒だったから
誰も飲み方を知らない。
そして限度を知らない。
2時間後には大量殺人事件でもあったかの如く
1人を除いてみんな床に倒れていた。
知らない間におれは横になっていて
目が覚めると地面がグルグルと回っていて
『あれ?どっちが上だったっけ?』と疑問を覚えながら
水を飲みたくても立ち上がる事ができなかった。
どうやら
飲酒を自制していたマコトだけがみんなを介護している様子だ。
何も美味しくなかったし
楽しくもない。
おれは運よくリバースはしなかったが
ほとんどの奴らが自分のリバースしたものを枕に倒れている。
マコトはあの日の惨劇を忘れなかっただろう。。
と、思いきや『いい思いをさせてもらった』と、
後日語った。
・・そういえば、あいつ、
おれがグルグルしている間に
クラスで一番可愛かったCちゃんの脇にずーーっと居たな。
何していたんだ・・あいつ?
と、変な妄想はかき消した。
『もう2度と酒は飲まない!!』
そう思ったのを覚えている。
なのに
大学に入ってサークルの新入生歓迎コンパで
『注がれたら全部飲め!!』
という先輩の命令で人生初めての苦いビールを大量に飲んだ。
これも美味くなかった。
『注がれた瓶を空けたら自分の後に置いていけ!!』
という指令で空瓶を置いていったら
なんと13本も並んでいるではないか!
同期生の3人はすでに地面とお友達になっていた。
隣にいた気の弱そうな2年の先輩たちにも
後輩の礼儀として注ぎまくったため、
宴会が終わるころには2年の先輩たちも床に転がっていた。
最後はお店の人の慣れた手つきで笑顔で放り出されて宴会は終了
そして
なんと3回目の飲酒も覚えている。
同じサークルに入った同期の西山から誘われた。
やつの下宿先の部屋だ。
『実家から薩摩焼酎が届いたから飲みにこいや!』
と、九州出身の西山が言うので
隣の駅まで名鉄電車に乗ってお邪魔した。
色が見えそうな異臭のする入口
誰が入ってもわからないだろうと思われる壊れたドアから玄関に入り
無造作に転がっている大量な靴を踏んづけながら奥まで行き、
自分の靴がわかるように隅に立てかけて、
案内された部屋番号を探した。
ノックをしてドアを開けたら最初に歓迎されたのは西山の下着だった。
のれん代わりに干してあるブリーフをかき分けると
ようやく
季節外れの分厚いトレーナを着た西山がそこに見えた。
西山は『工学の世界で有名になる』
という夢を抱いて鹿児島から遥々来たそうだ。
(名古屋まで来なくても近くに大学があっただろうに・・)
方言がきつくて何を言っているか3割は意味不明な西山だったが
いいやつだったので直ぐに友達になった。
実家でよく飲んだといわれる芋焼酎をコップに注がれ
それを口に持っていくと
唇まで到達10cmというところでむせてしまった。
人生で初めて口にする焼酎というものだった。
大人とは、こういうクセーものを堪能する生き物だと知り
ひとつ大人になるための修行と思って飲んだのを覚えている。
何しろ家族思いの西山だったので
親兄弟のことを延々と語り始め、
最後に犬のチャーリー(柴犬にチャーリーってつけるか?普通??)
のところで泣き始めた。
増々しゃべっている事がわからなくなった頃、
泣きながら寝てしまったので、
おれは入ってきたときと同じように
ブリーフののれんをかき分けて外に出た。
結局、
思い返せば初めの頃は酒が美味しいと思った思い出はひとつもない。
なのに、今は飲酒が趣味になっている自分がいる。
不思議なものだ。
ちなみに
関係ないけど
酒の歴史は
最も古いとされるものが果実酒(ワイン)で、
紀元前4,000年頃に
メソポタミア地方のシュメール人が飲んでいたそうです。
(Asahi HP.より)
久々の投稿で、気付いたらこんなに書いてしまった・・
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。
写真:中村賢一ユニット
Live cafe&花 雛眠(スーミン) 1月14日(土)

※ 次回ステージ 2月19日(日)板橋区中宿Dream's cafe