くればのブログ

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上越市を中心に活動する SingerSongWriter 中村賢一

最終巻 天照大御神

(アマテラスオオミカミ)参上

だいぶ歩いた。
うさぎの娘は
おれの左袖にずーっとへばりついている。
歩きづれ~
クシナダちゃんは定期的のおれの尻を蹴ってくる。
なぜ何だ?
世界を救ったカラス天狗は、春の日を浴びながら
ふらふらと、
そしてよだれを垂らしながら自由な空を飛んでいる
いや、浮かんでいる。
さっきから、カラス天狗のやろうが
垂らしたよだれがおれの顔に落ちてくる
まあ、
自然現象だから、仕方がない。


おれは否定はしない。
なんでも受け入れる。
そして、その真相を知る。
そうしないと真実がわからない。
大小に関わらず、何でもそうだ
自分が正しいと思って行動しているやつの
すべてが正しいわけではない。
まあ、
大抵はそいつらの発言は100%のいかさまだ。

失敗をしてボトムまで落ち
そこから這い上がる時に
今まで気づかなかったことに気づき
ひとは学ぶ
しかもたくさん学ぶ
人生観も上書きされて生きがいを感じるようになる。
おれがそうだった。
どん底から這い上がってきた。
神という上級の立場でいるだけでは何も学べない。
大抵、苦労知らずで上層部にいるやつらは
低俗な本やマンガからしか学んでいないバカだらけだ。

だから
おれはボトムまで落ちたやつは全面信用する。
今、おれの仲間たちは全員、ボトムを知り
どんどん成長しているやつらばかりだ。

ただ・・姉弟でも姉ちゃん

(天照大御神(アマテラスオオミカミ))
だけは違う。
最上位に立つ絶対神、
常に人の上に立ち
全てに光を与える
神の最も上位にいる太陽神なのだ
おれと違って
経験せずとも全てを理解し、
平和のために光を与え続けている。
多分、その立場だからこそ
学んだことがあるのだろう
ものすごい重圧だったろう
すごく苦労していることも理解しているのだ。

ただ
いろんなジャンルで多くを学んだ彼女には
逆に覚えてしまった先入観というものがある。
特に、おれみたいに
好き放題に生きているものに関しては
見た目で判断する。

だから嫌なのだ~
あ~怖い
マジで怖い
もうすぐ待ち合わせの場所に着く
あ~怖い
怖いよお~


再会の時が来た。
そろりそろりと、約束の神社に近づいた。
尾神岳 標高757m
そんなに高くはない
薄っすらと霧が発生している。
一面に紫のナツエビネの花が咲きほこり
息を吸い込むと
なんとも甘い香りがしてきた

ん・・む
ん!
『ドン』っと
歩いていると柔らかい壁にぶつかった。

霧のせいで何があるのか?見えず
ナツエビネの花の香りで
頭がぼんやりとしていたのだ。

衝突したのは壁ではなく
姉ちゃん(天照大御神)の胸元だった!!!
姉ちゃん、5匹の鬼を左右に従え
腕を組んでおれを見ている。
というより、
見下している。
相変わらず すごい『気』である。
常人だったら気絶している。

『おい!スサノオ!!』
『お前またやりやがったな!!!!』
と、早速ご立腹の一番怖い姉ちゃんと再会した!

『な・・何のこと・・ 
ですか?』
と、問いかけると・・

『てめえ、ここに来るまでの道中で
田畑を荒らしてきやがっただろう!!』
ん?
あ・・そうか
あれはうさぎ?の能力で雪の中
道をつくって歩いてきたのだったが、
確かにかなり荒らしてきた記憶がある。
姉ちゃん、田んぼや畑にはすごく思い入れがあるようで
田畑を荒らすと、毎回こうなる
『いや・・あれは おれじゃなくて
うさぎがやったんだよ』
と言い終わる間に鉄よりも固い拳が
ストレートで飛んできた!
姉ちゃんの一撃だ!
に・・逃げないと殺される・・
『え?どこにうさぎがいるんだよ』
『まったくうそばっかりつきやがって!』
人生経験の少ない姉ちゃんは
力の加減を知らない。
以前、
一発食らっただけで死にかけた
世界最強のパンチである!
危うくパンチを食らうところだった。

こうなると会話で説得できる相手ではない
一目散に逃げた!
都合よく近くに洞窟?岩屋があるではないか!
すぐさま岩屋に逃げ込んだのだが
浅い・浅すぎる
慌てて近くにある巨大な岩で入り口をふさいだ。
これだけデカい岩では
姉ちゃんと鬼が協力しても動かないだろう
そう信じて
後ろを向いて逃げ道を掘りだしたのだが
その直後
聞いたことのない爆音がして
今、塞いだばかりの入り口から光が差し込んだ

姉ちゃんが岩を真っ二つに割ったのだ!!!
割れた岩の半分は
その勢いで
長野県の戸隠までぶっ飛んでいった。
ものすごいパワーだ!!(汗)

あーーこれで人生終わりだな・・
そう思ったのだが、
光の向こうで
クシナダちゃんとうさぎ娘が姉ちゃんを説得していた。
おまけに
カラス天狗が世界を救った話をしていた。
しばらく会話が続いた後・・
 

なんと・・・
恐ろしいことに
『そうだったのかい』
『やっぱりお前は私の弟だよ』
と言って、
涙を浮かべながらおれを抱きしてきた。

暖かい・・
何だろう・・・
おれも意味なく泣けてきた。
ぼろぼろと涙がこぼれてきた。
考えてみれば
おれは素敵な仲間に出会い
今まで生きてきたんだよな・・
そして
ひざから崩れ落ちるように
姉ちゃんにしがみついて大泣きした。


おれは人類最強No.1の存在と
思っていたが、
実は大きく勘違いしていたようだ。

世界最強ランキング
1位 カラス天狗
2位 堕天使ルシファー
3位 姉ちゃん(天照大御神)
4位 クシナダちゃん
5位 おれ(スサノオ)

あれ??
おれ5位じゃん~

まあ、そんなもんさ!
そんなことはどうでもいい

見栄を張って生きるより
現実を知って自分自身の力量を理解し
尖がらず、威張らず、仲間と楽しく生きることが
最高に幸せなのさ!!!
そう、それが おれの人生!


おしまい

最後まで読んでいただき
ありがとうございました。