彼は優しい。
本当に優しい。
むしろ優しすぎる。
まだ何回かしか会った事のない女の子が酷く酔っ払っていた。
彼は迷わず彼女の口に手を入れて、吐かせてあげていた。
酔っ払った女の子が家に帰れなかった時、迷わず彼女の家に送ってあげていた。
バイクの後ろに乗っていたその女の子は彼の背中目掛けて嘔吐した。
彼は彼女に ”吐けるなら全部出しちゃえ” って。
試合中、メンバーの女友達が遊びに来ていた。
その子の顔にボールが当たった。
一番早く反応したのも彼だった。
彼のルックスは歩いてるだけで振り向かれる。
もし。 もし彼が最低な発言しか言わない男の子だったとしても
女の子は信じられない程集まってくる。
それなのに。
彼は殺人的に優しい。
”男”の概念 を彼は悉く崩してきた。
いい意味で。
そんな彼を見て、彼を嫌いになる人間がこの世にいるのか。
本気でそう思った。
もし、彼を嫌いな人がいたとしたなら
ソレは確実に嫉妬心からだと
本気でそう思った。
彼しか見えなくなった。