残酷の西洋史 ハートの物語② | CLEOPATRA Ⅷ 

残酷の西洋史 ハートの物語②



彼女たちはそれぞれに秘密を打ち明けるのでした・・・。

一人、また一人と秘密を打ち明けるとその事実は明らかになりました。

12人の女性たちはみなイニョレと恋に落ち、また、イニョレは12人全員に喜びを与えていたのです。


それを知った女性たちは怒り狂いイニョレの元を訪れました。

そしてイニョレを問いつめ、ついにはその中の一人を選ぶようにと迫ります。

「一人を選ぶなどできない。」といいつつ、彼は12人の中の一人を選びました。


こうしていると、12人の貴婦人の夫たちが何やら騒動を聞きつけやってきました。

真実を知った夫たちに、イニョレはあっという間に捕えられ、窓のない牢獄に追いやられることに。


夫たちは彼女たちを貞節な妻だと信じていただけに、その怒りは彼女たちの嫉妬心にも勝り、イニョレには食べ物も与えず、暗くじめじめした牢獄にしばらくの間閉じ込めたままにしておきました。


イニョレに裏切られた12人の貴婦人達は怒りも忘れ、閉じ込めらたイニョレに更なる思いを寄せるのでした。

彼女たちはイニョレを思い、彼と一つになることを望み、12人全員で断食を行うことにします。


もちろんその行動は夫たちを更なる嫉妬を燃やし、その刃はイニョレに向かうのでした。


しばらく時が経ち、みるみる気力も失っていく妻を見て、見るに見かねた夫たちは、12人の妻全員を集め、和解の宴を開きました。イニョレを思い決意を固めた彼女たちではありましたが、目の前の塩漬けの肉、パン、兎のシチュー、ワイン、果実・・・食事を絶ってから2週間が過ぎていた彼女たちに我慢することはできませんでした。

特に肉料理などはもう競って取り合いました。


「あ~おいしかった。」

久しぶりの食事にさぞかし満足した彼女たちは、愛する人のことなど忘れ夢中で食べたのでしょう。

それが愛する人の肉であったことも知らずに。


夫たちは彼と一つになりたいという女のけなげな願いを叶えてやったのでした。