フランスの大学,無期限ストライキへ | □■MemoRandum■□ しがない教師の雑記帳

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人生は,あてなき一人旅。その途上における,
某国立大教員の気ままな思考整理メモ・備忘録。
(兼・ひまつぶし)

国際アピール

Appel international à tous les universitaires


http://math.univ-lyon1.fr/appel/



フランスの大学は無期限ストライキに入った


フランスは、独立と自由と敬意を享受する、高等教育および優れた研究の公共サービスを有していた。政府は、ここほんの数ヶ月で、暴力的に、しかもなんの合議もなく、この公共サービスを破壊し、不安定性と恣意性が支配する一種の知識マーケットに変質させることを決定した。


・(教育と研究を担当する)教員は安定な身分を失い、授業時間数は(学長の一存で)どうにでもなり得る様になる。

・独立性をもたず不安定な非常勤教員と入れ替えるために、常勤教員のポストは劇的に減らされようとしている。
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・博士候補生に対し、大学は、最初の6ヶ月については、何の理由もなくその身分を奪う事が出来る様になる。しかもまた、当人には何の了承も得ず、そして何の権利も持たせず、企業の為に奉仕させられる事になろうとしている。
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・初等•中等教育教員の養成するシステムは破壊されている。

・ (何よりも競争にさらされ、国家の強化された支配下で)「自主独立化」し、充分な予算を持たない大学は、まもなく授業料を徴収せざるを得なくなり、また地元財界に服従せざるを得なくなる事は、想像に難くない。
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・ フランス国立科学研究センター(CNRS)は廃止され、テクノクラート(高級管理職技術者) による予算配分機関に変えられている
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・研究者は、すべての学会から拒絶された不適切で馬鹿げている「定量的」な基準にもとづいて評価される。



我々、全ての国の大学関係者および研究者は、ここに、世界各地でおしつけられてきた(そして今日もおしつけられようとしている)官僚主義的で金銭至上主義的で危険な方策を見いだす。


以上の理由から、我々は、フランスの大学関係者と連帯する。『百科全書』、ヴォルテールやルソー、更に「人権宣言」を生んだ国において、教育と研究が一種の商売に貶められ、諸々の権力の恣意に左右されることになるとすれば、そこで脅かされるのは全世界の自由である。


是等の新たな状況を強いる諸々の圧力が、一気に押し寄せて来ている。我々の存在価値を守る為には、我々はこれまで以上に、そしてこれら諸勢力以上に団結しなければならない。それゆえ、我々は、大学関係者たちに対して、この様に広められつつある、如何なる時代の人文主義的知識人も、誰一人として味方しなかったこの偏流に直面する今日、政治的、哲学的、あるいは宗教的な立場の違いを越えて団結することを訴える。


(以上,国際アピールからの引用)---------------




基本的には「大学教育および研究の水準を上げるために規制を緩和し、競争原理を導入する」という、いわゆるアングロサクソン的新自由主義の流れに棹差した大学改革が進められています。これは、日本でなされた国立大学法人化をはじめとする現行大学改革政策と、ほぼ軌を一にするものです。現在、現・高等教育担当大臣の名をとった「ペクレス改革」とよばれるデクレ案の是非がひとつの政治的社会的な争点となっています。


つい先日の2月5日には、大学教員と学生による反ペクレス改革デモが各地で実施されました。また、来る10日には、パリで大規模なストが予定されています。そして、このたび、反対運動の一環として、リヨン第1大学数学科教員をはじめとする教員による国際アピール&署名運動が始まりました。



下記URLでは,趣旨に賛同していただける方のネット署名を募っております。


→ http://math.univ-lyon1.fr/appel/spip.php?article10