認知症になると記憶力や判断する力、考える力が急に失われていくそうです。認知症になってしまったご本人は、今までと様子が変わってしまったことに恐怖さえ感じることでしょう。同じことを何度も繰り返す。しまっておいたはずなのに見つからない。今、何をしていたかを忘れる。こんな記憶障害の症状にご本人は気づいているはずです。そして、記憶障害の事実を周囲の人に気づかれないようにすることでしょう。ですから、周囲の人はなおさら認知症に気づきにくい状況になってしまいます。
また、他人とコミュニケーションを取ろうとしても言葉が出てこなかったり、人や物の名前さえ出てこないことが増えてきます。
能力の低下を感じても自分ではどうすることもできないことに、もどかしさ、悔しさ、不甲斐なさを感じることでしょう。
そしてトラブルが増え、他人に迷惑をかけていてもその原因もわからず、なぜ周囲が怒っているのかわからず、悩んでいることでしょう。
ですから、周囲から責められても何を言っているか理解できず、馬鹿にされ、いじめられていると考え、傷ついてしまっているのではないでしょうか。
さらに、記憶が薄れてしまい自分が自分でなくなってしまい恐怖感を感じてしまうことでしょう。これは耐えがたい苦痛である一方、もうこれ以上周囲の人に嫌われたくない、怒られたくないと思っても、能力の低下は待ってくれませんし、もう泥沼に入り込んでしまったと辛い毎日を送ることでしょう。
子供の頃から、大切に育ててくれた親が認知症になってしまったら、こんな辛い思いをさせてしまうことでしょう。
家族として今できること、それは認知症を早期に発見してあげて、正しく対処してあげること、そしてご本人の症状を理解し対応することでどんなに救われることでしょう。
それは、あなたにとってもっとも大切な家族ですから。


