解約したい保険、損を最小限にするには | あなたの保険大丈夫ですか?将来の年金支給額知ってますか?直ぐに計算出来ますよ

解約したい保険、損を最小限にするには

 「『入らなきゃよかった』と思っている保険があり、いつやめたらいいのか迷っています。解約すると戻ってくるお金があるんですが、その払戻金が既に払い込んだ保険料の8割を超えたら、といった目安みたいなものってありますか?」。セミナーなどで、よく聞かれる質問です。

 私はいつもこう答えています。「結論は具体的な数字を確認して出すことになりますが、基本的に『保険の選択自体、間違っていた』と思うなら、1日でも早くやめた方がいいです。早く決断するほど、注ぎ込むお金と時間が少なくて済むからです」

 一般に「いつやめたらいいのか」という類の質問が目立つのは、保険料の相当部分が積み立てに回る商品についてです。「貯蓄性があります」「預金と比べると有利です」などと案内されることがある「終身保険」や「個人年金保険」がこれにあたります。私が相談を受けた実例をご紹介しましょう。

 40歳の独身女性が2年前に契約した保険です。商品は「終身保険」で、一生涯にわたり1000万円の死亡保障があります。「稼げる間に払ってしまいたい」との考えから保険料は10年間で払い終える設計とし、毎月5万円強です。「独身だから死亡保障は必要ないが、老後資金は気になる」と営業担当者に相談したところ、「資産形成にも利用できる」と勧められたようです。

 しかし、この商品が資産形成に向いているかどうかは疑問です。10年間の保険料総額は約603万円ですが、払い込みが終わった時点で解約すると払戻金は約538万円です。払戻金が保険料の総額を上回るのは契約から18年後の56歳からで、60歳時点で解約した場合の払戻率も107%ほどです。資金を長期間拘束させるだけの価値があるようには思えません。

 ところが、この女性は「いい選択だったとは思えないが、頑張って続けたい」とおっしゃいます。いま解約すると、この1年半で90万円以上保険料を払ったのに払い戻しは40万円強にとどまるからです。

 契約から2年以内の払戻金が少ない理由は、販売手数料に消えるお金などの割合が大きいためと考えられます。このように契約に要するコストが高い金融商品は、もともと資産形成に向かないはずです。したがって、「現時点で50万円を超える損になる事実は受け入れがたい。十数年かけてもトントンくらいにしたい」という方には、「だからこそ早く解約をお勧めしたい」のです。老後資金としてお金を殖やしたかったのが契約時の大きな目的だったはずなのに、「このままでは気が済まない」と痛み分けのような決着をつけるべく今後500万円近いお金と16年もの歳月を費やすのは本末転倒でしょう。

 この女性の事例から学ぶべきなのは(1)遠い将来のお金の殖え方より、契約直後のお金の減り方を重視する(2)損を金融商品の利用で挽回しようと考えない(3)失敗は早く認めて手を引く――の3点だと思います。

 (1)は予防策です。保険の契約では「当初は元本割れが続くものの、いずれプラスに転じ……」と説明されがちです。しかし、軽く流してはいけません。もし契約後1~2年の間に激減した資金を急速に取り戻せる方法があれば、金融機関は他人に教えないはずです。そんなことは不可能なので元本回復に時間がかかるのです。「契約当初のお金の減り方がいちばん気になる」と視点を変えるべきでしょう。

 (2)は改善策ですが、考え方は(1)と同じです。「資金を早く確実に殖やせる方法が本当にあるのなら……」と想像してみると、(3)の結論になるはずです。

 とはいえ「言うは易く、行うは難し」なのかもしれません。実際、お客様がご自身の選択について「失敗ではなかったことにするために、お金と時間を使っている」ように感じられるケースも少なからず見てきました。だからこそなおさら、予防の重要性を感じるのです。

 なお、解約以外に「払い済」という選択肢もあります。次回取り上げます。