ライフネット生命が風穴 代理店手数料開示の意義
ライフネット生命が10月4日、「代理店手数料」を全面開示すると発表しました。同社の資料で分かるように、海外では各種の手数料開示が進んでいますが、国内の保険会社で代理店手数料を開示するのはライフネット生命が初めてです。こうした開示の動きに対し、保険会社で働いている人たちや代理店関係者の中には「消費者の誤解を招く」ことなどを危惧する声もあります。「手数料が低い商品=良い商品」とは言い切れないケースもあるからです。
一般の方の関心が高い、一生涯の入院保障がある「終身医療保険」の例で説明します。ライフネット生命の代理店手数料は月額保険料の7.5%で、これが最長60カ月まで支払われることになっています。つまり、年間保険料が10万円になる「じぶんへの保険」を販売しても、5年間で代理店が受け取る手数料は3万7500円です。大手生命保険会社と乗合代理店での営業経験がある私の感覚では、正直「低い。たいしてもうからない」と思える手数料率です。
ほかの保険会社は代理店手数料率を開示していませんが、週刊ダイヤモンド2011年4月30日・5月7日合併号によるとオリックス生命の「CURE」では契約から1年間は年間保険料の63%が、5年間では103%が代理店手数料になると報じています。仮に年間保険料が10万円であれば、1年目は6万3000円、5年間で10万3000円が販売手数料として代理店に支払われるわけです。
手数料に注目すると、ライフネット生命の商品の方がお客様にとって有利なように感じられると思います。しかし、現実はそれほど単純ではありません。次の表を見てみましょう。「CURE」の方が「じぶんへの保険」より保障内容が手厚い上に低価格であることが分かります。(「じぶんへの保険」の手術給付金はオプションですが、比較条件を近づけるため給付金ありのプランにしています)
オリックス生命によると、このような差が出る理由として(1)代理店手数料以外の保険会社の運営経費を抑えることで、代理店手数料は高くても価格競争力がある商品が設計可能になる(2)入院給付金などの支払いに要する料金の計算基礎の違いがある――の2つを挙げています。計算基礎については、同社は「CURE」開発当時の公的データから入院が短期化しているという医療実態を踏まえ、他社より入院日数を短く見込んだ保険料算出用のデータを用いることで保険料の低廉化を図っている、としています。こうした事情を知ると、代理店手数料の開示に積極的になれない人たちの考え方も分からなくはない気がします。
半面、両社の商品を比較する上で保険料の算出基準が異なることまで説明を受けたお客様の「納得度」は、単に保障範囲の違いなどを説かれた場合より上がるのではないか、とも思えます。さらに、そもそも手数料の開示には「手数料の多寡で商品価値を判断してほしい」というメッセージが込められているのだろうか?と想像してみることも大切でしょう。
私は、そんなことはないだろうと思います。素朴に、消費者が保険という目に見えない商品の「価値」を判断する際の情報が増えることが重要なのだと考えるからです。例えば、資産形成用に勧められる「円建て」と「外貨建て」保険の手数料率が一ケタ違うようなことがあれば、「外貨ならではの高利回り」といったセールストークに接しても一歩立ち止まって考える消費者が増えるのではないでしょうか。
いずれにしても、代理店手数料率の開示は是非を問うようなことではないはずです。保険会社の中にも「消費者の権利」であると認識している人がいるのです。「今まで行われていなかったことが不思議。保険が相互扶助の仕組みであるならば、あらゆる情報は売り手と消費者の間で共有されて当然」と受けとめるべきでしょう。


一般の方の関心が高い、一生涯の入院保障がある「終身医療保険」の例で説明します。ライフネット生命の代理店手数料は月額保険料の7.5%で、これが最長60カ月まで支払われることになっています。つまり、年間保険料が10万円になる「じぶんへの保険」を販売しても、5年間で代理店が受け取る手数料は3万7500円です。大手生命保険会社と乗合代理店での営業経験がある私の感覚では、正直「低い。たいしてもうからない」と思える手数料率です。
ほかの保険会社は代理店手数料率を開示していませんが、週刊ダイヤモンド2011年4月30日・5月7日合併号によるとオリックス生命の「CURE」では契約から1年間は年間保険料の63%が、5年間では103%が代理店手数料になると報じています。仮に年間保険料が10万円であれば、1年目は6万3000円、5年間で10万3000円が販売手数料として代理店に支払われるわけです。
手数料に注目すると、ライフネット生命の商品の方がお客様にとって有利なように感じられると思います。しかし、現実はそれほど単純ではありません。次の表を見てみましょう。「CURE」の方が「じぶんへの保険」より保障内容が手厚い上に低価格であることが分かります。(「じぶんへの保険」の手術給付金はオプションですが、比較条件を近づけるため給付金ありのプランにしています)
オリックス生命によると、このような差が出る理由として(1)代理店手数料以外の保険会社の運営経費を抑えることで、代理店手数料は高くても価格競争力がある商品が設計可能になる(2)入院給付金などの支払いに要する料金の計算基礎の違いがある――の2つを挙げています。計算基礎については、同社は「CURE」開発当時の公的データから入院が短期化しているという医療実態を踏まえ、他社より入院日数を短く見込んだ保険料算出用のデータを用いることで保険料の低廉化を図っている、としています。こうした事情を知ると、代理店手数料の開示に積極的になれない人たちの考え方も分からなくはない気がします。
半面、両社の商品を比較する上で保険料の算出基準が異なることまで説明を受けたお客様の「納得度」は、単に保障範囲の違いなどを説かれた場合より上がるのではないか、とも思えます。さらに、そもそも手数料の開示には「手数料の多寡で商品価値を判断してほしい」というメッセージが込められているのだろうか?と想像してみることも大切でしょう。
私は、そんなことはないだろうと思います。素朴に、消費者が保険という目に見えない商品の「価値」を判断する際の情報が増えることが重要なのだと考えるからです。例えば、資産形成用に勧められる「円建て」と「外貨建て」保険の手数料率が一ケタ違うようなことがあれば、「外貨ならではの高利回り」といったセールストークに接しても一歩立ち止まって考える消費者が増えるのではないでしょうか。
いずれにしても、代理店手数料率の開示は是非を問うようなことではないはずです。保険会社の中にも「消費者の権利」であると認識している人がいるのです。「今まで行われていなかったことが不思議。保険が相互扶助の仕組みであるならば、あらゆる情報は売り手と消費者の間で共有されて当然」と受けとめるべきでしょう。

