女性専用保険、手を出すのはまだ早い
「評価のしようがないのでお勧めできません」。女性専用の保険についてお客様に尋ねられると、私はいつもこう回答します。
例えば卵巣のう腫で入院すると、通常の医療保険では入院日額5000円が給付されます。これに「女性疾病特約」を付加していると5000円上乗せされ1万円になるのですが、私はこうした特約が本当にありがたいものなのか分からないのです。
女性専用の保険を推奨している専門家の見方を紹介しましょう。ある保険ジャーナリストの著書の中にはこんな記述があります。「特約の中でそれなりに利用価値が高いものを挙げるとすると、女性疾病特約です。女性の場合、出産に伴うリスクや、30代以降は女性特有の疾患のリスクが急激に高まります。実際に給付金を受け取る事例が多くあり、『女性医療特約を付けておいて良かった』という声はよく耳にします」。
確かにこうした声は、保険会社で働く人たちからも聞くことがあります。
要するに
(1)女性特有の疾病にかかるリスクが高い
(2)女性特有の保険に入っていて「助かった」「良かった」という声がある(自分のまわりにもそんな人たちがいる)
といった理由で加入を勧めているわけです。
しかし、いずれもとても不可解です。まず、リスクが高いほど保険の利用価値は下がるはずだからです。これは簡単な理屈で、再三書いていることですが、発生リスクが高いことに保険で備えるのは「当たりが出やすい宝くじ」を買うようなものです。保険は加入者から集めたおカネを病気にかかった人などに分配する仕組みなので、分配金を受け取る人が多くなると手ごろな料金で手厚い保障はできなくなります。
購入者全員に100万円が当たる宝くじがあったら、宝くじ協会の取り分を入れると200万円くらいで販売しないと成り立ちません。
それでも“買い”と言えるのか、ということです。
また、個人の体験談は商品の価値を証明するものではありません。「給付を受けられて助かった」「女性疾病特約を付けていて良かった」といった加入者の声がよく宣伝文句に使われますが、踊らされることなく冷静にとらえるべきです。
例えば、メットライフアリコが女性専用の「がん保険」を発売したのは1990年です。アフラックも女性疾病特約を付加した保険を2003年に発売しています。それなりの歴史がある商品では、加入者が増えるにつれ給付金の受給経験者も増えて当たり前でしょう。(私自身も女性疾病関連の給付手続きは何度か手掛けていますが、給付は一定の確率で起こりうることだと受けとめています)
現行商品の料金に着目すると、35歳女性が売れ筋である入院日額1万円の医療保険に加入する場合、月々の保険料は3600円程度です。同じ保険に、女性特有の病気で入院すると給付金が1日当たり5000円上乗せされ、形成治療に該当する治療を受ける場合は10万円が支払われる特約を追加すると、17%近く保険料が上がって4200円強になります。
それでも、保険料の上昇が特約の価値にふさわしいかどうかを検証することはできません。女性特有の疾病に対する給付金の支払い実績を開示している会社はないからです。実際には10%の割増料金で済むのに、17%アップに設定されているのかもしれないのです。
そもそも女性特有の疾病では治療費等の負担が特別に重くなるのか、という疑問も残ります。乳がんの経済的負担が語られることはよくありますが、その場合は女性疾病特約付きの医療保険より、がん保険の方が検討に値するはずです。
いまのところ、女性専用の保険がそれほど注目に値するものなのか、納得できる材料は特にないと言っていいでしょう。
女性専用の保険を検討している方は、商品価値を測るための客観的かつ具体的な情報が提供されるまで購入を控えるべきだと思います。
例えば卵巣のう腫で入院すると、通常の医療保険では入院日額5000円が給付されます。これに「女性疾病特約」を付加していると5000円上乗せされ1万円になるのですが、私はこうした特約が本当にありがたいものなのか分からないのです。
女性専用の保険を推奨している専門家の見方を紹介しましょう。ある保険ジャーナリストの著書の中にはこんな記述があります。「特約の中でそれなりに利用価値が高いものを挙げるとすると、女性疾病特約です。女性の場合、出産に伴うリスクや、30代以降は女性特有の疾患のリスクが急激に高まります。実際に給付金を受け取る事例が多くあり、『女性医療特約を付けておいて良かった』という声はよく耳にします」。
確かにこうした声は、保険会社で働く人たちからも聞くことがあります。
要するに
(1)女性特有の疾病にかかるリスクが高い
(2)女性特有の保険に入っていて「助かった」「良かった」という声がある(自分のまわりにもそんな人たちがいる)
といった理由で加入を勧めているわけです。
しかし、いずれもとても不可解です。まず、リスクが高いほど保険の利用価値は下がるはずだからです。これは簡単な理屈で、再三書いていることですが、発生リスクが高いことに保険で備えるのは「当たりが出やすい宝くじ」を買うようなものです。保険は加入者から集めたおカネを病気にかかった人などに分配する仕組みなので、分配金を受け取る人が多くなると手ごろな料金で手厚い保障はできなくなります。
購入者全員に100万円が当たる宝くじがあったら、宝くじ協会の取り分を入れると200万円くらいで販売しないと成り立ちません。
それでも“買い”と言えるのか、ということです。
また、個人の体験談は商品の価値を証明するものではありません。「給付を受けられて助かった」「女性疾病特約を付けていて良かった」といった加入者の声がよく宣伝文句に使われますが、踊らされることなく冷静にとらえるべきです。
例えば、メットライフアリコが女性専用の「がん保険」を発売したのは1990年です。アフラックも女性疾病特約を付加した保険を2003年に発売しています。それなりの歴史がある商品では、加入者が増えるにつれ給付金の受給経験者も増えて当たり前でしょう。(私自身も女性疾病関連の給付手続きは何度か手掛けていますが、給付は一定の確率で起こりうることだと受けとめています)
現行商品の料金に着目すると、35歳女性が売れ筋である入院日額1万円の医療保険に加入する場合、月々の保険料は3600円程度です。同じ保険に、女性特有の病気で入院すると給付金が1日当たり5000円上乗せされ、形成治療に該当する治療を受ける場合は10万円が支払われる特約を追加すると、17%近く保険料が上がって4200円強になります。
それでも、保険料の上昇が特約の価値にふさわしいかどうかを検証することはできません。女性特有の疾病に対する給付金の支払い実績を開示している会社はないからです。実際には10%の割増料金で済むのに、17%アップに設定されているのかもしれないのです。
そもそも女性特有の疾病では治療費等の負担が特別に重くなるのか、という疑問も残ります。乳がんの経済的負担が語られることはよくありますが、その場合は女性疾病特約付きの医療保険より、がん保険の方が検討に値するはずです。
いまのところ、女性専用の保険がそれほど注目に値するものなのか、納得できる材料は特にないと言っていいでしょう。
女性専用の保険を検討している方は、商品価値を測るための客観的かつ具体的な情報が提供されるまで購入を控えるべきだと思います。