保険を比べてほしくない業界の本音 | あなたの保険大丈夫ですか?将来の年金支給額知ってますか?直ぐに計算出来ますよ

保険を比べてほしくない業界の本音

 「わかりやすくていい。でも、せっかくなら大手生保と比べたら良かったのに……」。先月、日本経済新聞に掲載されたオリックス生命の「ネット型保険の比較広告」を見て感じました。

 「私たちは商品力に自信があります。オリックス生命を比べて確かめてください」という文言があり、ネット専業生保であるライフネット生命とネクスティア生命の「定期保険」との比較表を確認すると、同社の価格競争力の高さがわかります。

 私は、保険業界はもっと価格競争が進んだ方が良いと考えているので、こうした広告は歓迎します。

 一方で「定期保険」だからできたことかもしれないとも感じます。「定期保険」は「向こう10年間、万が一のことがあった場合、1000万円が支払われます」といった、きわめてシンプルな保障内容だからです。

 その後、「医療保険」の比較広告では、ライフネット生命との比較が行われていましたが、理由はやはり、ライフネット生命の「医療保険」の保障内容が格別にシンプルなものだからでしょう。その他の会社との比較では、表自体が見づらいものになったと思われます。

 それにしても、なぜ保険は比較が難しいのでしょうか?

 私は「商品を消費者に比べて欲しくない保険会社が多い」からだろう、と思っています。比べやすい保険ばかりだと、保険会社の収益が減る可能性が高いと考えられるからです。

 たとえば、今回の比較広告で取り上げられた「定期保険」がわかりやすいと思います。30歳の男性が向こう10年間、3000万円の死亡保障を持つ場合、ある大手生保の「定期保険」を利用すると、価格は2倍以上になり、年間5万円超の保険料の差が生じます。10年では50万円です。

 価格の差に見合う価値としては「大手の安心感」「担当者によるコンサルティングやアフターサービス」などが浮かびますが、担当者は10年もしない間に退社するかもしれません。

 「コンサルティング料やサービス料として50万円を払う価値があるのだろうか?」「ひょっとしたら保険料の違いは、定着率が低い人材の給与など、高コスト体質によるものであって、大手の安心感等は一種の幻想ではないか?」という設問に、納得がいく答えは用意されているのでしょうか?

 少なくとも私には思いつきません。

 このように、配当金の有無など細かい点を除くと、保障機能が1つしかない「定期保険」では比較が容易なため、価格競争力が劣る会社には「価格相応の価値があるのか?」という問いかけが行われやすくなります。

 そして「だからこそ、同条件での料金比較が困難な保険が多いのではないか?」と推察すると、妙に納得できる気がするのです。

 「保険料を比較されることを嫌っている?」と感じる例は、他にもあります。ある外資系保険会社のホームページでは、紹介されている商品の保険料が、まったく確認できません。

 コンサルティング抜きに保険の価値を判断してもらっては困る、ということなのでしょうか。私は、保険料は商品価値を判断する上での基本情報だと思うので、こうしたやり方は解せません。

 いずれにしても、消費者にとっては、大半の保険が比べにくいのが現実です。理由はここまで述べたとおり、保険会社の都合が大きいように感じます。であれば、消費者が売り手の都合に合わせる必要はないはずです。

 幸い(?)比べにくい保険は、仕組みが複雑であったり、保険料が相対的に高かったりすることが多いものです。

 「顧客本位の会社ならば、比較しやすい保険をそろえるはずだ。比較が難しい保険については、営業担当者の説明を待つまでもなく、避けた方が良いのではないか」といった視点を持つ方が増えると、保険会社も変わるのではないでしょうか。