わからない社会保障改革 | あなたの保険大丈夫ですか?将来の年金支給額知ってますか?直ぐに計算出来ますよ

わからない社会保障改革

野田政権が取りまとめた「社会保障と税の一体改革の素案」の14ページにこういう項目かある。

「高齢者医療の支援金を各被用者健保の総報酬に応じた負担とする措置について検討する。
(注)現在は、平成24年度までの特例として、支援金の三分の一を総報酬に応じた負担とする措置が講じられるとともに、併せて、協会けんぽに対する国庫補助率を13%から16.4%とする措置が講じられている。」

お近くの与党、民主党、国民新党の議員に、これがどういう意味なのか、どういう影響を及ぼすのか、尋ねてみてほしい。はたして、与党議員の何人が答えられるだろうか。

日本総研の西沢和彦主任研究員をはじめ、「政治家が、こうした政策をガバナンスできているのか全く不透明」と疑問を呈している。

現在の健康保険制度の財政、というかキャッシュフローはひどくややこしい。

まず、健康保険制度が四つ。組合健保、協会けんぽ、共済組合、国民健康保険。

収入(保険料 公費) 支出(給付 支援金 介護)
組合健保 6.7 (6.5 0) 7.2 (3.4 2.7 0.5)
協会けんぽ 8.0 (6.5 1.1) 8.1 (4.5 2.9 0.6)
共済組合 2.5 (2.1 0) 2.5 (1.1 0.9 0.2)
国保 12.0 (3.5 5.2) 12.0 (9.1 1.9 0.7)
単位は兆円

*介護とあるのは介護保険への「介護納付金」
**国保は、保険料と公費の他に、他の三つの制度からの前期高齢者交付金2.7兆円と療養給付費等交付金0.6兆円を受け取っている。
***支援金とあるのは、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金、退職者拠出金の三つで、それぞれの保険制度が負担をして、支援金は後期高齢者交付金として後期高齢者医療制度へ納められ、納付金と拠出金は国保に納められる。
****収入と支出の項目は主なものだけをあげている。

このなかの後期高齢者支援金は、本来、各保険制度の加入者数に応じて拠出する(加入者割)ことになっていたが、2010年度から2012年度までは1/3を総報酬割、2/3を加入者割で拠出することになっている。

政府は、2013年度以降を、まず国保とその他の被用者保険制度間で加入者数に応じて負担を割り振り、三つの被用者保険制度の間では報酬に応じて割り振ろうとしている。

もし現行制度が続くならば2015年度におけるそれぞれの負担額は

組合健保  1兆7300億円

協会けんぽ 1兆8100億円

共済組合    5700億円

となるはずだが、政府の見直し案によると

組合健保  1兆8500億円

協会けんぽ 1兆6000億円

共済組合    6500億円

になる。

これは、組合健保の被保険者の平均月収が36.2万円に対して、協会けんぽの被保険者の平均月収が27.9万円であることから、加入者割をやめ総報酬割にすると、給与の高い組合健保の負担が増えることによる変化だ。

まず、組合健保の負担が1000億円を超えて増えることになるのに、与党議員がどれだけ気がついているのだろうか。厚労省の役人と役所となあなあの審議会のメンバー、それに厚労族議員だけで決めてしまっていないだろうか。

政治主導といいながら、役所の小手先の改正のお先棒を知らずに担いでいるのではないか。

もう一つは、この改正により、協会けんぽの負担が2100億円減ることになるのだが、そっくりその分、協会けんぽに対する公費の投入を減らすこととしている。

この国庫負担の削減の理由として厚労省があげているのは「反射的な効果」。なんだそれは!?

つまり、「財政健全化のために組合健保の負担を増やします」といえばわかりやすいところを「高齢者医療の支援金を各被用者健保の総報酬に応じた負担とする措置について検討する。」などというから、さっぱりわからなくなるのだ。

実はこの一体改革では、被用者保険制度が負担している介護納付金についても加入者割から総報酬割へ変更しようとしている。

しかし、その素案に書かれているのは「今後の急速な高齢化の進行に伴って増加する介護費用を公平に負担する観点から、介護納付金の負担を医療保険者の総報酬に応じた按分方法とすること(総報酬割の導入)を検討する」

これにより、組合健保と共済組合の負担が1600億円増え、協会けんぽの負担がその分減る。そして厚労省は、その分、協会けんぽに対する公費負担を減らそうとしている。

日本総研の西沢主任研究員は

「総報酬割導入は、実態は、一般会計の歳出削減分の組合健保への付け替え。しかし、政府の説明では公平や重点化・効率化といった説明のオブラートに包まれている」

と鋭く指摘している。

まず、こういうインチキな説明をやめて、国民にわかりやすい説明をするところから社会保障改革を始めるべきだ。

与党議員の何人が、この総報酬割の導入の問題に気がついているだろうか。

国会議員自身がわからないことを、どうやって国民に伝えるのだろうか。