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保険販売員は売ったらほとんど退社する

 「各社の営業部門の人材の定着率はどんなものなのだろうか?」

 ふと思い立って、数社のディスクロージャー誌を調べてみることにしました。

 先日、あるセミナーで参加者の方から「保険会社の担当者の入れ替わりが激しい。なんとかならないのでしょうか?」という質問を頂いたことを思い出したからです。

 私は「歩合制の報酬体系である限り、担当者が保険業界に居続ける保証はない。良いことだとは思わないが、それが現実」といった回答をしました。間違っていなかったと思います。

 今回、データを拾ってみたのは、大手4社とソニー生命とプルデンシャル生命、東京海上日動あんしん生命を加えた計7社です。

 大手を選んだのは単純にシェアが大きいからです。ソニー生命とプルデンシャル生命は、伝統的な国内生保の販売手法と、男性中心の「コンサルティング・セールス」を打ち出している組織の違いを確認したかったので選びました。加えて損保系も1社ということで、損保系の中では契約数が多い東京海上日動あんしん生命を調べることにしました。

 ちなみに、業界全体の2009年度末の個人保険と個人年金保険の契約件数に占める大手4社の割合は約36%で、上記の7社合計では約44%になります(個人保険の契約件数が最も多い会社はアフラックですが、今回は除外しています。代理店展開をしているため、該当データが把握できないためです)。

 結果は表のとおりでした。平成18年(2006年)から22年(10年)までの採用総数と、17年(05年)度末と22年(10年)度末の在籍人員数の増減から、営業担当者の定着率の低さは明らかではないでしょうか。

採用と在籍(単位:人)

会社名 H17~22年
採用累計

在 籍
増 減

平均勤続年数
(単位:年)

17年度末 22年度末 17年度末 22年度末

日本 67,291 55,683 51,045 -4,638 8.3 9.3

第一 58,753 45,210 43,527 -1,683 8,3 10.

明治安田 38,368 32,307 30,163 -2,144 8,3 9,6

住友 41,346 41,297 32,576 -8,721 9.4 12.5

ソニー 1,746 4,293 4,523 230 7.4 9.7

プルデンシャル
2,349 3,243 3,584 341 5,2 7.6

東京海上日動あんしん
580 457 677 220 3.6 5.0

 まず、大手4社は5年間で計20万人を超える採用を行っていながら、在籍者数は、1万7千人以上減っています。人材の高齢化なども関係しているのでしょうか。そのあたりの事情はわかりません。

 いずれにしても、4社とも、5年間で17年度末時点の在籍者数を超える数の採用を行っていることに着目すると、大量採用大量離脱と呼ばれる状況は変わっていないと感じます。

 大手4社とは違って、ソニー生命とプルデンシャル生命の在籍者数は、プラスになっています。とはいえ、両社とも2000人前後の採用に対し400名未満の増加です。

 一般の方から、素朴に「生き残るのが難しい仕事なのだな」という感想を持たれても仕方がない数字でしょう。

 東京海上日動あんしん生命は、580名の採用で220名の増員と、相対的に良い数字が確認できました。

それでも、平均勤続年数を見ると22年末で5年です。創業から16年の会社であることを考慮しても、寂しい結果ではないでしょうか。

 旧大蔵省銀行局のまとめた数字によると、1970年、保険外交員として新規登録した人の数は39万6372人、同年登録を取り消した人の数は39万5505人だったそうです(佐瀬稔「7万人のマネーウォーズ」講談社より)。

 一方、平成22年(2010年)度の生命保険募集人登録者数は、新規登録が15万784人、登録抹消者が14万3444人となっています(生命保険協会「平成22年度事業報告書」より)。

 40年ほどの時を隔てたデータに接して「保険会社は、なぜ、これほど非効率的な仕組みをそのままにしているのだ?」と疑問を持たれる向きもあるかもしれません。

 私が想像したのは2点です。一つは、トップが数年で交代する体制なので、抜本的な変革が先送りされるのではないか?ということ。そしてもう一つは、なんだかんだ言いながら、お客様も変わらなかったのでは? ということです。

 「担当者の入れ替わりにかかるコストを負担させられるのは嫌だ」と、愛想を尽かす人ばかりであれば……と、そんなことを考えてみるのも大事な気がします。