震災で考えた保険との付き合い方 | あなたの保険大丈夫ですか?将来の年金支給額知ってますか?直ぐに計算出来ますよ

震災で考えた保険との付き合い方

 2011年の3月から夏頃まで、取材やセミナーなどで地震保険に関するコメントを求められる機会が急増しました。

 私が地震保険について語りながら、一般の方にお伝えしたかったのは次の3点です。

(1)保険という仕組みの限界

(2)保険活用の優先順位

(3)担当者が不在になる可能性

 まず(1)は「保険は、意外に頼りにならない」と言いたいのではなく、「保険に出来ることには限りがある。もともとそういうものだ」ということです。

 実際、「地震保険」は、補償内容に制約が多い保険です(損害保険では、契約時に約束している定額ではなく、実損に応じて保険金が支払われるので、保障ではなく補償と表記します)。

 たとえば、保険金額の設定は、「火災保険」の保険金額の半額が上限です。仮に新築の家が失われても、保険金で同じ価値がある家を再建することはできないことになります。

 私自身、初めてこのことを知った時は、がっかりしたものです。しかし、冷静に考えると仕方がないことだと思えます。

 地震や津波では、巨額の保険金支払いが市町村単位の規模で一斉に発生します。低価格で大きな補償を約束するのはもとより無理な話でしょう。あくまで、被災後の生活をある程度落ち着かせるための保険と理解すべきなのです。

 ご存知でない方が多いのですが、地震保険の料金には損害保険会社の収益分は含まれていません。また、一定額の保険金支払いを超える部分は、国が補てんする仕組みです。それでも補償内容には制約があるのです。

 生命保険の活用を考える際、このことは重要なヒントになります。保険会社がそれなりの収益を目論んでいる商品が、頻発する事態に備えるものである場合、消費者にとって「いい買い物」にはならないはずなのです。

 中高年以降の入院など、想像しやすいリスクに対して「充実した保障」があることをうたう保険がそうです。

 保険活用がふさわしいのは、逆に「めったに起きないこと」で「起こった時の経済的な打撃が大きなこと」なのです。

 このように考えると、基本的に「医療保険」は検討に値しなくなります。「がん保険」や葬儀代の準備のためにと案内される「終身保険」なども、すぐに動かせるお金が100万円~200万円くらいある人には不要でしょう。

 結局、不可欠と思えるのは、本連載で繰り返し述べているように、働き盛りの世帯主が急死するといった、文字通り「万が一」起こることに備えるくらいです。

 「医療保険」などに使うお金があるのなら、地震保険に回すべきです(ちなみに地震保険の加入率は3割未満です)。

 震災後、あらためて感じたのは、私自身、過去に保険に加入していただいたお客様に対して「ずっとフォローします」とはとても言えない、ということでした。

 担当者にも、いつ何があってもおかしくないはずだからです。お客様にどんなことがあっても自分が対応する、と想像するのは非現実的でしょう。

 現実問題として、近年は、自分より20歳以上若いお客様などには、「将来、老後資金のご相談に見えても、お相手が出来ないかもしれません」とお話ししていますが、担当者不在でも手続き等が進めやすい、シンプルな契約を結ぶことが好ましい、と従来にも増して考えるようになりました。

 最後に、取材等で困った質問についても書いておきます。「どの保険会社が保険金の支払いがいい、といった事実があれば教えて欲しい」というものです。

 私にわかるはずがありません。各社の保険金支払い部門の仕事ぶりを同時進行でチェック出来る人などもいないはずです。

 お客様にも、保険金の支払いに関する評判は、個人の体験談などが独り歩きしやすい分野ではないか? という視点を持っていただきたいと思います。