「外貨建て保険」を薦められる本当の理由 | あなたの保険大丈夫ですか?将来の年金支給額知ってますか?直ぐに計算出来ますよ

「外貨建て保険」を薦められる本当の理由

 「ドル建ての保険に入っていて、失敗したかなと……でも、円高なので、解約したくてもできないんです」

 秋以降、増えてきた相談です。私は「たしかに円高は響きますよね。ただ、『もともと入らない方がいい保険』だと思います」とお答えしています。

 外貨建ての保険が売られている理由は、販売手数料が高いことと、営業担当者の教育が間違っているからではないかと、想像しているからです。

 「ドル建て終身保険」という商品を例にします。一生涯の死亡保障が確保できる保険ですが、営業現場では「老後の生活資金準備に」などと案内されることが多いでしょう。

 私が、保険会社の代理店担当者から説明された「この商品の魅力」は、

(1)同じ大きさの保障を持つ場合、運用利回りを高く見込んでいる分、円建ての保険より保険料が安くなる

(2)外貨で運用するため、解約時に払い戻されるお金の殖え方が、円建て商品より大きくなる

というものでした。よくある説明です。ただ、安い保険料で多額の払戻金が得られるという説明には、人の「願望」に訴える部分もある気がします。為替レートによって、その金額は大きく変わるからです。

 もとより、青年期や壮年期のお客様に、老後の資金準備のための商品を案内する際、10年後・20年後の為替相場の予想ができる人などいないはずです。すると、資産形成のためにふさわしい商品かどうかを判断するポイントは、一つだと考えられます。契約にかかる「コスト」です。

 残念ながら、いや、極めて不可解なことですが、情報が開示されていないので、コストを把握する方法はありません。しかし、ヒントはあります。「週刊ダイヤモンド」2011年4月30日・5月7日合併号に、数社の商品について、手数料率が掲載されているからです。

 ドル建て終身保険について見てみると、最上級代理店では契約後1年目に54%、5年間の累計で90%となっています。数字を簡単にして試算しましょう。仮にお客様が毎年1万円の保険料を30年間にわたって払い込む契約だとします。代理店手数料の支払いが5年間で終わる場合でも、5年分の保険料の90%、つまり4万5千円が手数料です。30年間で平均しても30万円の保険料に占める割合は15%に達します。

 手数料率そのものが頻繁に改定されるので、一般化するつもりはありません。とはいえ、今回の試算に用いた手数料にしても、お客さまが負担するコストの一部に過ぎないはずです。

 ある保険会社の方は、「代理店に払うボーナスもある。売り上げが大きな代理店には、人材を採用する際の支援金を出す会社だってある。手数料率だけでは、代理店にかかるコストなど把握できない」と言います。

 さらに「保険会社の取り分」もあるはずです。こうしたことを考えると、ドル建て終身保険には、20%くらいのコストがかかっている可能性もあります。資産形成に利用すべき商品でないことは明らかでしょう。

 それでも、この類の保険に加入なさっている方からのご相談は絶えません。「販売手数料が大きい商品を優先して売るのがプロ」と割り切っている売り手が多いのか、「外貨建て商品ならではの魅力」といった、誤ったセールストークを指導する保険会社を疑わない売り手が多いのか、私にはわかりません。

 外貨建て保険のパンフレット等には「払い込み保険料から、契約の締結・維持・保険金支払い等に必要な費用を負担いただきます」といった文言があります。為替リスクについても触れてあります。

 為替リスクは資産を大きくすることもありますが、多額のコストは、運用の足を引っぱるだけです。「10%を優に超えるコストがかかります」と、一言、伝えなくていいのでしょうか。