NHK紅白・レディー・ガガの歌詞字幕について
NHK紅白・レディー・ガガの歌詞字幕について
昨夜のNHK紅白にレディー・ガガが映像で出演し話題をさらいましたが、私の周辺では、歌詞の日本語訳字幕が実際の歌詞の意味を正しく伝えていないことに話題が集中しました。
少し前にテレ朝のミュージックステーションにガガが出演し、そのときの訳詞が日本ではまだ受け入れる人の多くない言葉を正確に伝えていたこともあります。
問題の部分の元の歌詞は
Whether you're broke or evergreen(あなたが無一文でも、大金持ちでも)
You're black, white, beige, chola descent(黒人でも、白人でも、ベージュでも、チョーラの系統でも)
You're lebanese, you're orient(レバノン人でも、東洋人でも)
Whether life's disabilities (もし人生に障害があって)
Left you outcast, bullied or teased (排除され、いじめられ、からかわれても)
Rejoice and love yourself today (自分自身を喜び、愛しなさい)
'Cause baby, you were born this way(この道に生まれてきたのだから)
No matter gay, straight or bi(ゲイであろうと、ストレートであろうと、バイセクシュアルであろうと)
lesbian, transgendered life(レズビアンであろうと、トランスジェンダーの人生であろうとも)
I'm on the right track, baby(私は正しい道を進んでいる)
I was born to survive(私は生き残るために生まれた)
訳は私が辞書を見ながらつけたものなので、おかしい部分があったら指摘お願いします。
NHKの訳は、
貧富の差も 肌の色も 国籍も関係ない
人生で困難があっても いじめられ からかわれても
自分を信じ 愛してあげよう
それがあなたの人生だから
性的好みなんてどうでもいい
私は正しい道を進んでいる どんな困難も乗り越える
何が問題だったかというと、
はっきり言える点は
・“You're black, white, beige, chola descent You're lebanese, you're orient”の部分を「肌の色も 国籍も関係ない」と訳したこと
・“No matter gay, straight or bi lesbian, transgendered life”を「性的好みなんてどうでもいい」と訳したこと
・歌詞を明らかに省略したこと
まず、「国籍」という言葉にえっと思った。
「○○国の国籍を持っている人が○○人である」という感覚は、非常に日本的であると同時に、偏見と誤解に満ちた認識だ。
同じ国に様々な人種や民族、ルーツの人が暮らすことを自然なこととして捉える文化の中では、あの歌詞が「肌の色」と「国籍」だけを意味しているとは考えられない。
公共放送たるNHKがそんな未熟な認識だなんて、恥ずべきことだと思う。
元々歌詞にあるcholaという語が差別語ではないかという批判があったらしい(私は英語にもこの語の背景にも詳しくないのでその件は何とも判断し難いが)ので、NHKの改変はそれを配慮したものかもしれない。
しかし、○○人=国籍である、という偏見を新たに付け加えてしまうなんて、ちょっと程度が低すぎる。
2つめに関してはもっとひどい。
元の歌詞に出てくる「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」などの性の在り方について話す時によく、「性指向は性“嗜好”とは違う」という注意が呼びかけられる。
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルなどは、嗜好・好みや趣味の話ではなく、「指向」である、ということ。
そのよく注意されている間違いを思い切り踏んでしまうとは、なんというドジっ子(笑)。
しかも「どうでもいい」と。
性的少数者に冷たい社会の現状は根強い。
この歌詞は、差別され自分自身を責める人々を想定し、「あなたが何者であろうと、間違ってなどいない」と勇気づけるものだと思う。
「そんなの些細なことだ、気にしないよ」っていうのとは全然違う。
きっとLGBTを取り上げた「ハートをつなごう」とはスタッフが違うのだろうけれど、いくら視野を広げて頑張っているスタッフがいても、局の代表番組である紅白という場所であれでは、NHKの基準はそういうことなんだな、と痛感させられる。
そして、そもそも歌詞を省略した字幕が出るというのはかなりおかしなことなんじゃないだろうか。
字数が多すぎるから、という声もちょっとあったけれど、日本語の歌で、字数が多くて省略した歌詞の字幕が出るなんて聞いたことがない。
あともう一つ…以下は訳し方の違いなので、はっきり批判できることではないのだけれど、
Whether life's disabilities (もし人生に障害があって)
Left you outcast, bullied or teased (排除され、いじめられ、からかわれても)
というところ、これは私は、障害者が勇気づけられる歌詞だ、と思っていた。
ところが、NHKの字幕では
人生で困難があっても いじめられ からかわれても障害者のことを言っているとは想像もできない訳になっていた。
なんとなく、NHKが隠したいもの、表舞台にあげたくないものが分かった気がした。
なぜレディー・ガガがそれぞれの人種やセクシュアリティなどを列挙したか。
ここには書かれていないマイノリティも、実際たくさんいる。
私自身、この歌詞にあるセクシュアリティのどれかに完全に当てはまるわけではない。
けれど、この歌詞を見て湧き上がる気持ちがあった。
きっと歌詞に出てこない人種や民族でマイノリティとして暮らしている人の中にも、この歌にぐっと拳を握りしめた人がいるんじゃないかと思う。
この歌は現実に光をあてた。
紅白の映像だけでも、「神が間違うはずがないのだから、あなたはあなたのままで美しい」というメッセージに感動した人はたくさんいるだろう。
しかし、現実に、今小さくされている人たちを照らし出そうとするガガの行動は隠蔽された。
性指向や性自認によって、人種や民族の違いで、また障害によって、社会から
Left you outcast, bullied or teased
排除され、いじめられ、からかわれている
そういう人はたくさんいる。
私自身は、歌詞が改変された原因には、性指向を表す言葉を「過激」だとする間違った認識と同時に、現実にこういう差別があるということが「見えてしまう」ことに対する怖れがあったのではないかと思っている。
紅白でレディー・ガガのメッセージが全く伝わらなかったとか、あの放送が意味がなかったと言いたいのではない。
けれど、それ以上に、NHKが視聴者の目から何を隠そうとしているのか、どういう人たちを見えなくしようと、
いないことにしようとしているのか。
それを強く感じてしまった放送だった。
昨夜のNHK紅白にレディー・ガガが映像で出演し話題をさらいましたが、私の周辺では、歌詞の日本語訳字幕が実際の歌詞の意味を正しく伝えていないことに話題が集中しました。
少し前にテレ朝のミュージックステーションにガガが出演し、そのときの訳詞が日本ではまだ受け入れる人の多くない言葉を正確に伝えていたこともあります。
問題の部分の元の歌詞は
Whether you're broke or evergreen(あなたが無一文でも、大金持ちでも)
You're black, white, beige, chola descent(黒人でも、白人でも、ベージュでも、チョーラの系統でも)
You're lebanese, you're orient(レバノン人でも、東洋人でも)
Whether life's disabilities (もし人生に障害があって)
Left you outcast, bullied or teased (排除され、いじめられ、からかわれても)
Rejoice and love yourself today (自分自身を喜び、愛しなさい)
'Cause baby, you were born this way(この道に生まれてきたのだから)
No matter gay, straight or bi(ゲイであろうと、ストレートであろうと、バイセクシュアルであろうと)
lesbian, transgendered life(レズビアンであろうと、トランスジェンダーの人生であろうとも)
I'm on the right track, baby(私は正しい道を進んでいる)
I was born to survive(私は生き残るために生まれた)
訳は私が辞書を見ながらつけたものなので、おかしい部分があったら指摘お願いします。
NHKの訳は、
貧富の差も 肌の色も 国籍も関係ない
人生で困難があっても いじめられ からかわれても
自分を信じ 愛してあげよう
それがあなたの人生だから
性的好みなんてどうでもいい
私は正しい道を進んでいる どんな困難も乗り越える
何が問題だったかというと、
はっきり言える点は
・“You're black, white, beige, chola descent You're lebanese, you're orient”の部分を「肌の色も 国籍も関係ない」と訳したこと
・“No matter gay, straight or bi lesbian, transgendered life”を「性的好みなんてどうでもいい」と訳したこと
・歌詞を明らかに省略したこと
まず、「国籍」という言葉にえっと思った。
「○○国の国籍を持っている人が○○人である」という感覚は、非常に日本的であると同時に、偏見と誤解に満ちた認識だ。
同じ国に様々な人種や民族、ルーツの人が暮らすことを自然なこととして捉える文化の中では、あの歌詞が「肌の色」と「国籍」だけを意味しているとは考えられない。
公共放送たるNHKがそんな未熟な認識だなんて、恥ずべきことだと思う。
元々歌詞にあるcholaという語が差別語ではないかという批判があったらしい(私は英語にもこの語の背景にも詳しくないのでその件は何とも判断し難いが)ので、NHKの改変はそれを配慮したものかもしれない。
しかし、○○人=国籍である、という偏見を新たに付け加えてしまうなんて、ちょっと程度が低すぎる。
2つめに関してはもっとひどい。
元の歌詞に出てくる「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」などの性の在り方について話す時によく、「性指向は性“嗜好”とは違う」という注意が呼びかけられる。
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルなどは、嗜好・好みや趣味の話ではなく、「指向」である、ということ。
そのよく注意されている間違いを思い切り踏んでしまうとは、なんというドジっ子(笑)。
しかも「どうでもいい」と。
性的少数者に冷たい社会の現状は根強い。
この歌詞は、差別され自分自身を責める人々を想定し、「あなたが何者であろうと、間違ってなどいない」と勇気づけるものだと思う。
「そんなの些細なことだ、気にしないよ」っていうのとは全然違う。
きっとLGBTを取り上げた「ハートをつなごう」とはスタッフが違うのだろうけれど、いくら視野を広げて頑張っているスタッフがいても、局の代表番組である紅白という場所であれでは、NHKの基準はそういうことなんだな、と痛感させられる。
そして、そもそも歌詞を省略した字幕が出るというのはかなりおかしなことなんじゃないだろうか。
字数が多すぎるから、という声もちょっとあったけれど、日本語の歌で、字数が多くて省略した歌詞の字幕が出るなんて聞いたことがない。
あともう一つ…以下は訳し方の違いなので、はっきり批判できることではないのだけれど、
Whether life's disabilities (もし人生に障害があって)
Left you outcast, bullied or teased (排除され、いじめられ、からかわれても)
というところ、これは私は、障害者が勇気づけられる歌詞だ、と思っていた。
ところが、NHKの字幕では
人生で困難があっても いじめられ からかわれても障害者のことを言っているとは想像もできない訳になっていた。
なんとなく、NHKが隠したいもの、表舞台にあげたくないものが分かった気がした。
なぜレディー・ガガがそれぞれの人種やセクシュアリティなどを列挙したか。
ここには書かれていないマイノリティも、実際たくさんいる。
私自身、この歌詞にあるセクシュアリティのどれかに完全に当てはまるわけではない。
けれど、この歌詞を見て湧き上がる気持ちがあった。
きっと歌詞に出てこない人種や民族でマイノリティとして暮らしている人の中にも、この歌にぐっと拳を握りしめた人がいるんじゃないかと思う。
この歌は現実に光をあてた。
紅白の映像だけでも、「神が間違うはずがないのだから、あなたはあなたのままで美しい」というメッセージに感動した人はたくさんいるだろう。
しかし、現実に、今小さくされている人たちを照らし出そうとするガガの行動は隠蔽された。
性指向や性自認によって、人種や民族の違いで、また障害によって、社会から
Left you outcast, bullied or teased
排除され、いじめられ、からかわれている
そういう人はたくさんいる。
私自身は、歌詞が改変された原因には、性指向を表す言葉を「過激」だとする間違った認識と同時に、現実にこういう差別があるということが「見えてしまう」ことに対する怖れがあったのではないかと思っている。
紅白でレディー・ガガのメッセージが全く伝わらなかったとか、あの放送が意味がなかったと言いたいのではない。
けれど、それ以上に、NHKが視聴者の目から何を隠そうとしているのか、どういう人たちを見えなくしようと、
いないことにしようとしているのか。
それを強く感じてしまった放送だった。