生命保険は「不透明なフクロ」
「生命保険は不透明なフクロ」だ。過日、インデックス投資アドバイザーのカン・チュンドさんが担当されている、日経電子版「コレだけ読めば大丈夫!初めての投資信託」というマネーコラムを拝読して、あらためて感じました。
第一回目のタイトルが「投資信託は透明なフクロです」だったことから、同業者の間で、大手生保の主力商品のことを、摩訶(まか)不思議な「福袋」と評していたことを思い出したからです。
近年は、中身がわかるようにして販売されている福袋もあるものの、基本的に福袋の売りは、中身が見えないとしても、個々に商品を購入する場合より、代金が安くなっている点にあるはずです。
ところが、保険の場合、商品をセットにして袋に入れることで、割高な買い物になっている場合があるのです。摩訶不思議な福袋とは、そういう意味です。
30歳の女性が、大手生保の営業担当者から提示されたという設計書を例にします。
一生涯にわたり100万円の死亡保障があって、これが「主契約」とされています。そこに、入院に備える保障など11種類の「特約」が付加されています。
商品名は「5年ごと配当付き終身保険」ですが、実態は「12種類の保障のセット販売」です。また設計書に大きく表示されているのは「●●生活」(仮名)という、商品のペットネームです。一般の方には、これだけで十分「不透明なフクロ」状態ではないかと思われます。
何より気になるのは、コストパフォーマンスの検証がし辛いことです。たとえば、向こう10年間、万が一の場合600万円の保険金が支払われる「定期特約」部分の保険料は、1500円弱です。これは、インターネットで契約できる「定期保険」を扱っている会社の保険料と比べると2倍以上です。
また、入院1日につき1万円が支払われる「医療特約」部分の保険料は、10年間の保障で約3400円です。やはりインターネットで保険を販売している会社の保険料を調べてみると約1700円なので、ほとんど2倍です。
大手生保の「医療特約」が、一回の入院につき120日まで保障するのに対し、ネット生保では60日までであることから単純比較はできません。とはいえ、同程度の保険料負担が可能であれば、ネット生保では入院日額を2万円にすることができます。長期入院の可能性を考えると、どちらが賢明な選択でしょうか。
と、このように書くと「対面ならではのサービスも込みでの価格設定なのだから、比較自体に無理がある」といった反論がなされたりします。
そんな声を全面的に否定するつもりはありません。ただ、死亡や医療といった、それぞれの保障にいくらお金がかかるのか、判然としないことは事実でしょう。その点は不問にしていいのでしょうか?
10種類を超える保障を提示された時点で、どこから検討していいのかわからなくなるお客様が大半だと思われます。
大手生保の主力商品に限ったことではありません。「医療保険」や「がん保険」など単品で販売されている保険においても似たようなものです。入院保障に、通院や特定の治療に対応した特約をセットした商品が主流なので、価格にふさわしい価値があるのか検証が困難です。
「特約の多様化は、お客様のニーズに応えた結果だ」とする向きもあるでしょう。しかし、視点を売り手側に置いてみると、価格競争力に劣る商品もまとめて売りさばける装置として「不透明なフクロ」が重宝されている面が否定できない気がしてきます。
透明度を低く保つほど、「わかり辛いことは、プロに任せてください」といった案内をする機会が増えるからです。私は、プロに「お任せ」して幸せになったお客様の例をあまり知りません。
不透明なフクロは誰のために存在しているのでしょうか?
第一回目のタイトルが「投資信託は透明なフクロです」だったことから、同業者の間で、大手生保の主力商品のことを、摩訶(まか)不思議な「福袋」と評していたことを思い出したからです。
近年は、中身がわかるようにして販売されている福袋もあるものの、基本的に福袋の売りは、中身が見えないとしても、個々に商品を購入する場合より、代金が安くなっている点にあるはずです。
ところが、保険の場合、商品をセットにして袋に入れることで、割高な買い物になっている場合があるのです。摩訶不思議な福袋とは、そういう意味です。
30歳の女性が、大手生保の営業担当者から提示されたという設計書を例にします。
一生涯にわたり100万円の死亡保障があって、これが「主契約」とされています。そこに、入院に備える保障など11種類の「特約」が付加されています。
商品名は「5年ごと配当付き終身保険」ですが、実態は「12種類の保障のセット販売」です。また設計書に大きく表示されているのは「●●生活」(仮名)という、商品のペットネームです。一般の方には、これだけで十分「不透明なフクロ」状態ではないかと思われます。
何より気になるのは、コストパフォーマンスの検証がし辛いことです。たとえば、向こう10年間、万が一の場合600万円の保険金が支払われる「定期特約」部分の保険料は、1500円弱です。これは、インターネットで契約できる「定期保険」を扱っている会社の保険料と比べると2倍以上です。
また、入院1日につき1万円が支払われる「医療特約」部分の保険料は、10年間の保障で約3400円です。やはりインターネットで保険を販売している会社の保険料を調べてみると約1700円なので、ほとんど2倍です。
大手生保の「医療特約」が、一回の入院につき120日まで保障するのに対し、ネット生保では60日までであることから単純比較はできません。とはいえ、同程度の保険料負担が可能であれば、ネット生保では入院日額を2万円にすることができます。長期入院の可能性を考えると、どちらが賢明な選択でしょうか。
と、このように書くと「対面ならではのサービスも込みでの価格設定なのだから、比較自体に無理がある」といった反論がなされたりします。
そんな声を全面的に否定するつもりはありません。ただ、死亡や医療といった、それぞれの保障にいくらお金がかかるのか、判然としないことは事実でしょう。その点は不問にしていいのでしょうか?
10種類を超える保障を提示された時点で、どこから検討していいのかわからなくなるお客様が大半だと思われます。
大手生保の主力商品に限ったことではありません。「医療保険」や「がん保険」など単品で販売されている保険においても似たようなものです。入院保障に、通院や特定の治療に対応した特約をセットした商品が主流なので、価格にふさわしい価値があるのか検証が困難です。
「特約の多様化は、お客様のニーズに応えた結果だ」とする向きもあるでしょう。しかし、視点を売り手側に置いてみると、価格競争力に劣る商品もまとめて売りさばける装置として「不透明なフクロ」が重宝されている面が否定できない気がしてきます。
透明度を低く保つほど、「わかり辛いことは、プロに任せてください」といった案内をする機会が増えるからです。私は、プロに「お任せ」して幸せになったお客様の例をあまり知りません。
不透明なフクロは誰のために存在しているのでしょうか?