保険に「中立・公正なアドバイス」はない
「保険のプロが中立公正なアドバイスを行います」。ある銀行で手に取った、保険と資産運用に関する小冊子に書かれています。「無理なことは言わない方がいいのに……」と思います。私自身、10数社の保険を扱う代理店に勤め始めた頃、同じような発言をしていたことを、後悔しているからです。
実際、保険業に携わる者のアドバイスに、中立・公正なものはないと思います。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が開示している、あるアンケート結果を例に引きます。2010年2月から12月にかけて行われた「がん」に関するイベントの来場者を対象に行われたものです(有効回答数は約1万3000件)。
「交通費や入院なども含め、がん治療全般にどれくらいのお金がかかると思うか?」という質問に対するがん経験者の回答は、「50万円程度」が最多で約36%、「100万~200万円程度」約50%、「300万円からそれ以上」約12%、「その他」約2%となっています。
イベントに参加できないくらい厳しい状況にある方の回答が含まれていない可能性などを想像してみる必要を感じるものの、「がん保険」で準備すべき保険金額を考える場合、参考になる情報だと思います。
私は、50万~200万円程度の回答が9割近いことから、200万円を1つの目安にしたいと考えます。どこまでも安心を求めていくと、保険料が高くついて仕方がないからです。
一方で、300万円を超える負担を余儀なくされている人たちが、約5%存在することを最重要視する同業者もいます。相対的に少数派であるとしても、経済的負担が重い人たちの役に立たなくて何の保険だ? という考え方です。
双方の意見のどちらが正しいのか、私にはわかりません。ただ、それぞれの考え方の違いが明らかになるのはいいことだろう、と思うばかりです。そして、この2つの見解を踏まえたうえで、「中立公正なアドバイス」があるとしたらどんなものだろうかと考えます。両方の考え方に、「入らなくてもいいのではないか」という視点を加えて、3つの選択肢を等しく語ることでしょうか。
しかし、お客様の相談相手が、複数の選択肢について、均等に時間と労力をかけてトーンを変えずに語った場合、お客様には嫌われてしまうでしょう。一般に、お客様が求めているのは、素早く提示される「結論」だからです。
また、現実問題として、ひたすら中立公正を心掛ける売り手は、保険業界に残ることができなくなる可能性が大です。「相談は何度でも無料」としている業態では、限られた時間内に、どれだけ新規契約が獲得できるかが勝負です。出店や人材確保等にかかる先行投資や運転資金のことを思えば当然でしょう。
銀行も来店型ショップも、「結論」を提示しないために、いつまでたっても「成約」が見込めない専門家を、雇い続けることはできないはずなのです。むしろ、マニュアル通りに、淡々とお客様の関心が高い商品を勧めることができる人材が重宝されても、不思議ではありません。
保険金額設定の件は、中立公正が考え辛いことの一例にすぎません。ほかに販売手数料の問題もあります。ほぼ同内容の提案をする場合でも、保険会社によって手数料率が異なります。キャンペーン期間中は割増料率が採用されることなども日常茶飯事です。類似商品で報酬の差が歴然としている場合など、最初から手数料が高い商品だけを勧める者がいてもおかしくないでしょう。
このように、営業現場の実情からすると、中立公正が「ありえない理由」ならばいくらでも挙げられる、というのが正直なところではないかと感じます。
アドバイスを求めるお客様は、素朴に、それぞれの思惑を持った面談相手の「私見」を聞くつもりでいた方が、間違いが少ないはずです。
実際、保険業に携わる者のアドバイスに、中立・公正なものはないと思います。アメリカンファミリー生命保険(アフラック)が開示している、あるアンケート結果を例に引きます。2010年2月から12月にかけて行われた「がん」に関するイベントの来場者を対象に行われたものです(有効回答数は約1万3000件)。
「交通費や入院なども含め、がん治療全般にどれくらいのお金がかかると思うか?」という質問に対するがん経験者の回答は、「50万円程度」が最多で約36%、「100万~200万円程度」約50%、「300万円からそれ以上」約12%、「その他」約2%となっています。
イベントに参加できないくらい厳しい状況にある方の回答が含まれていない可能性などを想像してみる必要を感じるものの、「がん保険」で準備すべき保険金額を考える場合、参考になる情報だと思います。
私は、50万~200万円程度の回答が9割近いことから、200万円を1つの目安にしたいと考えます。どこまでも安心を求めていくと、保険料が高くついて仕方がないからです。
一方で、300万円を超える負担を余儀なくされている人たちが、約5%存在することを最重要視する同業者もいます。相対的に少数派であるとしても、経済的負担が重い人たちの役に立たなくて何の保険だ? という考え方です。
双方の意見のどちらが正しいのか、私にはわかりません。ただ、それぞれの考え方の違いが明らかになるのはいいことだろう、と思うばかりです。そして、この2つの見解を踏まえたうえで、「中立公正なアドバイス」があるとしたらどんなものだろうかと考えます。両方の考え方に、「入らなくてもいいのではないか」という視点を加えて、3つの選択肢を等しく語ることでしょうか。
しかし、お客様の相談相手が、複数の選択肢について、均等に時間と労力をかけてトーンを変えずに語った場合、お客様には嫌われてしまうでしょう。一般に、お客様が求めているのは、素早く提示される「結論」だからです。
また、現実問題として、ひたすら中立公正を心掛ける売り手は、保険業界に残ることができなくなる可能性が大です。「相談は何度でも無料」としている業態では、限られた時間内に、どれだけ新規契約が獲得できるかが勝負です。出店や人材確保等にかかる先行投資や運転資金のことを思えば当然でしょう。
銀行も来店型ショップも、「結論」を提示しないために、いつまでたっても「成約」が見込めない専門家を、雇い続けることはできないはずなのです。むしろ、マニュアル通りに、淡々とお客様の関心が高い商品を勧めることができる人材が重宝されても、不思議ではありません。
保険金額設定の件は、中立公正が考え辛いことの一例にすぎません。ほかに販売手数料の問題もあります。ほぼ同内容の提案をする場合でも、保険会社によって手数料率が異なります。キャンペーン期間中は割増料率が採用されることなども日常茶飯事です。類似商品で報酬の差が歴然としている場合など、最初から手数料が高い商品だけを勧める者がいてもおかしくないでしょう。
このように、営業現場の実情からすると、中立公正が「ありえない理由」ならばいくらでも挙げられる、というのが正直なところではないかと感じます。
アドバイスを求めるお客様は、素朴に、それぞれの思惑を持った面談相手の「私見」を聞くつもりでいた方が、間違いが少ないはずです。