キーンコーンカーンコーン
「はい、みんな席に着きなさいよ~」
どうやら、この岸辺シロー似のオジサンは理科の先生らしい。
「それでは出席を取ります~…相江君、井上君、井上君、宇都宮君、…」
“そうか、『たい君』は井上という苗字なのか…というか、井上が二人いるのに、全く同じテンションで呼ぶなよ…”
授業を受けていくにつれ、色んなことが分かってきた。
『たい君』は一番の親友で輪の中のリーダー的存在、『曽根』は少し凶暴な所がある。
『水上』は真面目だが若干天然。『たま』はいじられキャラ。
しかし、肝心の自分のポジションが分からない。
“俺はみんなとどうやって接していたんだろう…どんなキャラだったんだろう…”
必然的に私は口数が少なくなっていった。
「どうしてん、こうじ?なんか最近元気ないやんけ?」
やはり、周りのちょっとした変化に気づくのはたい君だ。
「いや、大丈夫やで…ちょっと風邪気味なんかな…?」
「そうか。それやったらええけど…」
「コラーッ!ここで遊んだらアカンと何回も言ってるやろ!」
「ヤバイ!こうだのオッサンや!逃げろ!」
『こうだのオッサン』とは、近所の草刈りや整備などを、勝手にやっているオッサンのことだ。
本人はいたって正義感のつもりなのだが、勝手に鉄柵を作ったり、父兄の方々も困り果てている、近所の名物キャラだ。
「ほんま、こうだのオッサンうっとうしいなあ。今度オッサンの家に爆竹投げ込もうぜ」
なんという子供だ…私は普段、こんなことをして遊んでいるのか…
どうやら私を含む仲間は、近所でも評判のやんちゃ坊主のようだ。
私は記憶がないながらも、自分が行ってきた行動を猛省した。
「たいくーん」
「おー、ひさしやんけ」
まるでサルのように顔を赤らめた少年は『ひさし』といった。
「何してんの?俺も混ぜてや」
「おー、ええでー」
続く