7月17日(金)、映画『劇場』(監督/行定勲)が公開されました。
これはミニシアター公開(全国20スクリーン)と、インターネットによる世界同時配信でした。
そんなわけでさっそく17日にAmazon prime videoで観たんですけども、実は途中で何回も時計を見たりしてどうにも映画に入り込めず、とうとう開始40分で観るのを断念してしまいました。。
これはミニシアター公開(全国20スクリーン)と、インターネットによる世界同時配信でした。
映画館とネット配信が同時におこなわれるとは!ビックリしました
日本映画では初の試みです。
そんなわけでさっそく17日にAmazon prime videoで観たんですけども、実は途中で何回も時計を見たりしてどうにも映画に入り込めず、とうとう開始40分で観るのを断念してしまいました。。
『劇場』
行定勲監督の『GO』(2001年)を絶賛する私としては、これはこちらの感性が鈍っているのだろうと、もう一度トライしなければいけないと思いました。
そして4連休初日のきょうあらためて頭から観てみたのですが・・・
2時間16分。やはり長く感じましたね
1時間半経ったあたりからの展開がとても良かったのですけど、それまでの永田(山﨑賢人)に対するイライラ感を解消するまでには至らず、ラストは寺山修司の『田園に死す』を思い起こしました。
山﨑賢人くんのナレーション(発音、発声)が鬱陶しかったのもネックでした(ファンの方ごめんなさい)。『羊と鋼の森』『キングダム』が良かったのでこのまま人気に甘んじることなく基礎を大切にしてほしいとも思いました。
永田が感動する劇団「まだ死んでないよ」のお芝居が良かったですね。惹き付けられました。これなら説得力があります。この映画で一番感心したところかな
映画の印象を一言でいうと、切なかったですね。苦しくて切ない。そして辛い。
観客も自分と向き合わなければならない映画でもありました。
タイトルの「劇場」が意味するところもわかります。
もちろんわるくはないです。突き刺さる台詞もあるしジワジワくる場面もある恋愛映画です。
でもほんとはこの映画を観て、実際の小劇場に足を運びたくなるようなものであってほしかった。そういうものでなければならないとも思いました。そうでなければ作る意義がないのではないかと思ったり。。
私ズレてるかな(;^∀^)
高評価の映画なので私の感想はこれまで。
さてここからが本題です
(まだ本題に入ってなかった!)
困窮する
映画制作の
現状
ロードショー作品をネットで同時配信。
真っ先に思ったのは映画会社(制作会社)が経済的にひっ迫してるだろうということでした。
Amazonの配信料がいくらかはわかりませんが、すぐにでも収益が必要なほど大変な状況だったのでしょう。製作費と宣伝費を余裕で回収するだけの額が提示されたことは行定さんのインタビュー記事から読み取れます。制作会社としてはホッと胸をなでおろしたことでしょうね。
コロナ
当初は全国280館規模で4月公開予定だったのがコロナの影響で延期に。仕切り直したら公開は1年後になるとのこと。宣伝費も使いきりそこまでの予算もない。
そんなときに米国Amazonから配信の打診がありました。
Amazon
配信について監督は相当悩んだみたいですね。当然Amazonとしては独占配信が条件です。
商業映画監督としてはビジネスとして成立させる立場にもあるためAmazonからの誘いを受理します。しかし同時に劇場公開にもこだわった。映画館で上映することを前提にキャスト・スタッフが一丸となって作った映画です。当然の主張です。
すると、拡大公開は無理だけどミニシアター系での上映はどうかとAmazon側から提案がありました。
企画の吉本興業も行定監督の意思を尊重してくれました。そこは実績ある行定監督の信用でしょうね。
すぐにでも映画を観客に届けたいという監督の願いが結実した結果でした。しかも世界配信です。
公開延期になった映画はたくさんあります。そんななか、今回のケースは映画制作の立場から言えばかなりラッキーな出来事ですよね。
評価が高まれば他の映画も配信する機会が増えるかもしれません。
変革する
流通
一方、興行(シネコン)からすれば収益が見込めない状況です。
「生産→卸し→小売り」、といったこれまでの流通が配信の進出により
「生産→配信」へと変われば配給会社や映画館の需要がなくなります。
現状の規定では映画公開とネット配信が同時の場合、アカデミー賞への資格はありません。それでも『劇場』が配信に踏みきったのはすぐにでも収益が必要だったからでしょう。コロナの影響です。
映画業界に一石を投じる出来事だったことはまちがいないでしょう。
このようなケースが増えれば映画そのものの定義が変わるかもしれませんね。
配信の力
配信の勢いはあなどれません。
将来映画館がなくなることも十分有り得ます。
時代の趨勢といえばそれまでですが、やはり映画館はなくなってほしくない。
ネット配信と興行とがどれだけ共存していけるか。
それが最大の課題でしょうね。