1954年に公開された木下惠介監督・脚本による不朽の名作『二十四の瞳』です照れ



木下惠介監督にとっても主演の高峰秀子にとっても代表作であり、いわんや日本映画史上最高峰の作品と言っても過言ではないと思います。

美しい小豆島を舞台に小学校教諭の大石久子(高峰秀子)が昭和3年から昭和21年にかけて激動の時代を子供たちと共に生き、その日常から感じ取られる戦争に対する理不尽さや不条理さを観る者に訴えかける映画です。

今回は俳優の演技にスポットを当てたいと思いますウインク

映画の中盤、大石先生が修学旅行中に立ち寄った食堂で元教え子と再会する場面です。

家庭の事情で食堂で働いてる教え子のまっちゃん。
そのことを知らなかった大石先生はまっちゃんに声をかけるのだけど、ちゃんと会話することなく再びしばしの別れとなります。

言葉ではあらわせないまっちゃんに対する大石先生の心情が高峰秀子の僅かな表情の動きから観客の心にも伝わってきます。

そして食堂の女将役の浪花千栄子です。

愛想良い商売人の顔と、裏では厳しい雇い主である顔を巧みに使い分けます。
二つの顔を自在に操る鬼気とした演技に度肝を抜かれます。

別れたあと店の裏から出て、泣きながら船を見送るまっちゃんの姿にこちらも涙せずにいられません。





シンプルでオーソドックスなカメラワークが、大石先生とまっちゃんの言葉無き会話を想像させてくれます。

高峰秀子と浪花千栄子という対照的な二人の大女優。

映像における演技とはこういうものですという木下惠介監督の揺るぎ無い演出心情を感じますネ。

テンポ良いスピーディーな展開に見慣れている現在の観客にとっては長く感じられる映画かもしれないけど、心を映像で描くという、日本人ならではの映画的表現を感じられます。

日本が世界に誇る映画ですウインク