

JR木次線はJR山陰線の島根県・宍道駅から広島県・三次駅を結ぶ
全長81.9kmの鉄道です。
日本海から中国山地の山間を通っており、
秋にはトロッコ列車「奥出雲おろち号」も走っています。
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亀嵩駅(ちなみに「かめだけえき」と読みます)に着いたのは、
正午前。
駅や道路に積もっています。
駅舎には、
「亀嵩驛」と旧漢字で書かれた駅名が掲げられています。
ちなみに亀嵩驛は、
蕎麦屋があること以外にも有名な事柄があります。
それは、
松本清張の有名な小説「砂の器」に登場する駅だということです。
「砂の器」の詳細については割愛しますが、
東北訛りとこの奥出雲の地の出雲弁訛りが似通っていること、
そして「カメダ」という地名が犯人に結びつく手がかりとなっています。
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駅舎の外には、
蕎麦屋「扇屋そば」の看板と警察官らしき撮影パネルも置かれていました。
一歩、駅舎の中へ入ってみると・・・
タイムスリップしたかのような、昭和の時代を思わせる駅舎内の風景が広がっています。
もちろん、ここでは自動券売機も自動改札機もありませんし、
Suicaも使えません。
近代化から取り残されたような過疎の駅舎の象徴と言えるでしょう。
ホームへと駅舎を隔てる扉の上には、
地元の児童が作成したのでしょうか?
観光客を迎える絵看板が掲示されていました。
駅舎内の改札横が蕎麦屋の店舗です。
中に入ると、これまた昭和の時代を思わせるストーブが置かれていました。
蕎麦屋の窓の外は駅のホームです。
蕎麦を食べながら、列車が行き来する風景を間近に見ることができます。
注文した割子そば来ました。
通常はプラスチック製の器で出されることが多いのですが、
ここでは珍しく陶器製の器でした。
出雲そば特有の黒っぽい蕎麦です。
蕎麦の麺が太く、田舎蕎麦のようですね。
そして肝心の蕎麦の味ですが・・・
不味くはないけど、絶品というほどではありませんでした。
このレベルの味でしたら、奥出雲町には他にもあります。
ここは蕎麦の味よりも、松本清張ファンや鉄道ファンなどをはじめ、
昭和を懐古する人が行く場所なのかもしれません。
蕎麦を食べ終え、
改めて駅舎内の待合室を見学します。
無人の改札口や・・・
古びた木製のベンチが横たわっています。
冬の雪の日。
ここでは寂しさのただよう佇まいが、
日常の風景なのでしょう。
蕎麦を食べに来た我々と関西人のカップル、
そしてお店の従業員以外、駅の利用客は見かけませんでした。
改札を抜けてホームへと出てみました。
下り線を見渡すと雪で真っ白。
列車から降車した乗客と思われる足跡が雪に記されていました。
そしてこちらは上り線側を見た風景です。
こちらにも雪が一面にホームと線路に降り積もっていました。
亀嵩駅は「少彦名命(しょうひこなのみこと)」という愛称が付けられています。
「日本書紀」や「古事記」に登場する神話の神さまです。
古代神話の地、奥出雲らしい光景ですね。
クルマへと戻り、駅舎を離れます。
雪で覆われた道路は、
先ほどの駅舎と同じく、
冬の山陰の暗く、なんとも言えない嫌な寂しさを感じさせます。
この気持ちを晴らすために・・・
我々は次の目的地の温泉へと向かうのでした。