科学のために科学を科学的に笑うべし -31ページ目

科学のために科学を科学的に笑うべし

論理はわが友 されど笑いはさらなる友


ものや情報の価値はどのように測ればいいでしょうか?
一番手っ取り早いのは、通貨換算や交換してみることでしょう。

お金で価値を測るというと、拒絶反応を起こす方もいらっしゃるかもしれません。
儒教的な価値観、あるいは支配の都合上商人を卑しく扱わなければならなかった
江戸時代的価値観とは相容れないのは承知しています。
しかし、人類は交換あるいは分業を好んだがためにこれだけの発展をみたことを
思い出してください。

iPhoneを一人で作ることは不可能です。
液晶を作る工場もあれば、電池を作る工場もあり、組立工場もあり、
分業が行なわれて交換によって製品が出来上がります。
この交換の前提となって、分業を可能にしているのが通貨です。

電池を作るのに必要なレアメタルを掘る鉱山があり、
鉱山で使われる掘削機械を売る会社があり、
鉱物を精錬する工場があり…
これらの間の分業が行なわれ、交換を経て電池が出来上がります。
この交換の前提となって、分業を可能にしているのが通貨です。

この文章を読んでいる方は、いま携帯やPCをお使いかと思います。
わざわざプリントアウトして読んでいるという方がいれば、
それは光栄です。
いずれにせよ、超高度な分業と複雑で天文学的に長く連なった
交換の列によってできた製品を使って読んでいることでしょう。
お金でものを測ることに違和感があっても
・その製品の成り立ちに内在する交換の有効性を認める→
・その製品の成り立ちに内在する通貨の存在意義を認める→
・その製品の価値は交換や通貨で測ってもいいんじゃないの。
と考えていただければと思います。


さて、かつてアダムスミスマルクスは、労働の価値を見積もる上で、
価値には使用価値交換価値があると主張しました。

使用価値とは、ものを使って役に立つ度合いです。
たとえば、水とかスプーンとかは使って有用なので、
相応の使用価値をもちます。
通貨(紙幣)は、燃やせば一瞬あったかいし、
トイレでいろんなものを拭くのに使えますから、
それ相応の使用価値はあります。でもたいしたことはないかも。

破れた紙幣のコラージュ
(注:↑紙幣を破ったように見えますがコラージュ写真ですよ)

一方の交換価値は、他のものとどれだけ交換ができるかという度合いです。
通貨はもちろん大きな交換価値があります。
純金やダイヤも大きな交換価値があるでしょうし、
使用価値も工業上高いです。
水は、日本ではあまり交換価値は高くないかもしれません。

これらを思い出して確認したいのは、
価値というのはものや情報に必ずしも本質的なわけではなく、
交換(あるいは交換の鎖であるフロー)によって生まれる場合もある
ということです。


次に、マルチ商法における交換、あるいは価値の移動を概観します。

みなさんは、ネットワークビジネス(MLM)や
マルチレベルマーケティングマルチ商法というものをご存知でしょう。
端的にいってネズミ講なのですが、ネズミ講は法律で禁止されていますから、
ビジネスのためには何らかの抜け穴が必要です。
上位下位の構成員の間で商品を交換するという建前をたてることによって、
これは商品販売ビジネスですよということにしているのがマルチ商法です。

マルチ商法は、ネズミ講とは違って無限に会員が増えることは前提でないし、
だから規制の基で許可されてるでしょという反論があるかもしれません。
しかし、資本(全会員の拠出金品の総和)が無限に増えることが前提であり、
一般企業のように一定の資本から活動を継続できるものではないでしょう。

さて、ねずみ講やマルチ商法は、本質的に価値の交換が必要です。
下位の構成員から上位の構成員に
何らかの価値が移動するからこそのネズミ講です。
この交換に通貨を使うのがネズミ講で違法、
商品を使っているのがマルチ商法とざっくり分けられるでしょう。
(マルチ商法の多くは、副次的に通貨も使うようです。)

マルチ商法で価値の交換の媒介となる商品はさまざまです。
日常生活用品・生活必需品・化粧品・美容用品・
健康食品・金地金(Gold)・
観光や旅行の権利・フランチャイズ店舗登録…
しかし、構成員を増やすのを簡単にするために、
沢山の人が興味を持つもの、あるいは
市井の誰でもが価値を認めるものになる傾向があります。
だからといって、誰でも価値を認めやすい通貨を媒介にはできません。

おっと、うっかりスルーするところでした。
金地金(gold)を媒介にしたマルチ商法はまずくないのでしょうか?

まずいです。
まず、下位会員から上位会員に金地金を直接渡す仕組みなら、
これはすなわちマルチ商法でなくネズミ講で、直ちに違法です。
ねずみ講は、通貨以外の金品のやりとりでも成立するのです。
ですので、きっとそのマルチ商法は、適法なシステムになるよう、
(金地金の)売買に付随する何らかの形で下位から上位に
価値が移動することになっているはずです。
さて、金の売買は、金の商品市場で売買するのが最も有利です。
逆に、最も有利な価格で買う、あるいは売るための仕組みが商品市場です。
もし仮に、市場が2番目に有利な手段だったとすると、
取引は自然に1番目に流れていってしまいます。
これは裁定取引と呼ばれます。つまり、
金地金をマルチ商法で買った人は、必ず市場より不利な条件で買っています
市場より有利なら、マルチ商法で金を買って市場で売るという裁定が必ず発生します。
しかし、一般的な価格や市場価格よりも不当に高く商品売ったり、
市場では売れずマルチ商法内でやりとりするしかない状態で取引をするならば、
これは違法だという判例が多数出ています。


本題に入ります。
仮想通貨を媒介商品とするマルチ商法というのがあります。
昔からあって私が知っているものは、
マルチ商法向けに専用に開発された朴訥な仮想通貨を使っています。
仮想通貨の管理主体とマルチ商法の運営主体が一体になっていて、
あまりにいいかげん(危険)なものです。

開かれた仮想通貨ではなく専用の仮想通貨を使うのは何故でしょう。
効率よいマルチ商法のシステム(しかもねずみ講にならない適法なもの)を作るには、
会員同士の商品(ここでは仮想通貨)のやりとりを把握する必要があるからです。
例えば、シャンプーだったなら沢山売れば
会員の「レベル」を上げてやったりボーナスを出したりできます
(インセンティブを与えるということです)。
しかし通貨の交換数の多い少ないのような情報は、
通貨というものの性質上他の人には確認できないのが普通で、
インセンティブを与えることができません。
また、シャンプーのように取引手数料を巻き上げる仕組みを
組み込むこともできないでしょう。

さて、最近はビットコインを用いたマルチ商法が日本でも生まれています。
ビットコインは一般に開かれている仮想通貨ですから、
マルチ商法にとってみると会員同士のビットコインのやりとりは把握しにくいです。
会員同士の商品のやりとりが確認できないなら、
会員同士の階層構造や、
多くの取引をする会員に対するインセンティブを設定するのは無理です。
マルチ商法のシステムが成り立ちずらいことになります。

そこで出てきた一工夫は、大胆なものでした。それは、
ビットコインの取引所を運営してしまえ!
です。



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