デザイナーとして社会に出た約15年前、
デザインというものは、ほとんど全てがアナログで
写植文字をフル活用した版下しかありませんでした。

その後マッキントッシュが出現し、
デザイン業界にデータ化の波が押し寄せてきたのですが、
あの写植文字が広告から消えてしまったことが残念でならない。

いま世の中にあふれている広告のほとんどがマックに搭載されている
写植を専門とする企業とは別の企業による書体で、
デザイナーが文字間を調整したりするのでしょうが、
書体自体がまったくもって美しくない。

日本語は日本語なので写植文字だろうがマックフォントだろうが
そう変わりはないと思うかもしれませんが、
写植文字に似せたフォント、つまり似て非なる書体は一文字単位で違い、
キャッチコピーなど数文字が組み合わさると違いが大きくなる。

以前は写植の職人が字間を調整したり、となり合う文字に応じて
字の大きさや濁点の位置まで変えたりもしていたのだが、
マックを使うようになってからそこまでシビアにデザインするデザイナーはいない。

私も猛省すべきなのだが、広告の文字は美しくあってほしい。
80年代までの広告に美しさを感じるのは、文字そのもののデザインや
レイアウトを含めた芸術性の高さからくるのだろう。