東京から品川方面へ山手線に乗った。
新橋から乗ってきた40代前半の女性が僕の斜め前のシルバーシートの端に座った。
美人ではないがブスではない。
痩せてはいないが太ってはいない。
女性は、やおら、紀伊国屋の袋から、洋食の惣菜パックを出すと、
ムシャムシャ食べ始めた。
ムシャムシャと言っても、食べるスピードは速いわけではない。
むしろ遅い。
味わっているわけではない。
ただ一心不乱に食べている。
僕が見とれるくらい、不乱に食べている。
じっと見ているのも失礼と思い、田町から品川の間は目を話した。
そして品川で驚いた。
今度はカレーパンを食べている。
同じテンポで。
もう僕は虜になった。
渋谷で降りるのを忘れ、もう一度東京駅まで付いていってしまった。
その間、女性は食べ通しだった。
女性は東京駅で降りた。見失った。