地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子
制作:日本テレビ
原作:宮木あや子(校閲ガールシリーズ)
脚本:中谷まゆみ
出演:石原さとみ/菅田将暉
おすすめ度:★★★★☆ 一話目限定の評価
まだ、一話見ただけだったのですが、これがなかなかおもしろい!一話だけなので、ネタバレ全開でレポートしたいと思います。(Huluで視聴)
相関関係 日テレHPより。毎週水曜夜10時放送
◆面接シーンの面白さ
景凡社入社にかける情熱はすごいものがあり、編集者の募集はしていないにもかかわらず、新卒から毎年むりやり通い続け今年が7回目。夢をあきらめることなくめげずに自分をアピールする姿に感動を覚えました。
面接官の「編集者の中途採用は今年もしていない」との問いかけに対し、「愛読誌Lassyの発行部数減少の原因は、編集者の中途採用を全くせず、雑誌作りの殆どの工程をセミプロやフリーの契約スタッフに任せてしまっているからだ」と指摘し、その上で「私を雇えば発行部数減少を食い止めることができる」と力説しました。
お金や生活だけのためではなく編集者になって誰でも実践できるファッションを発信するという夢の実現に立ち向かう姿に熱いものを感じました。
◆採用は校閲部
採用が決定し、泣くほど喜んだのはつかの間、配属先が派手なファッション現場とは程遠い超地味な部署で、しかも、地下室にある校閲部。
面接官の1人であった校閲部長 茸原(岸谷五朗)からの推薦でした。
さらに部長からは名前が河野悦子なので略して校閲だと言われる始末
「ここで活躍すれば希望の扉は開かれるかも知れない」と後押しされます。
しかも、ファッション関係の校閲ならまだ良いのですが、ファッション誌だけではなく景凡社全体の校閲部のようなので、さらに遠い部署へ配属されてしまった感が拭えません。
希望のLassyの編集者ではないので、頑張って認められて半年で抜け出す決意をします。
◆人気作家担当に
ひょんなことから、人気作家本郷大作(鹿賀丈史)の校閲を担当することになり気合を入れて校閲をする悦子。今までの校閲とは違う何かを感じた作家先生から気に入られます。
その後の校閲で、立川の立日橋(たっぴばし)が立田橋になっていたので指摘したにも関わらずその部分が修正されていないことに疑問を感じてしまい、調査の為に舞台となる多摩方面を見て歩くことになりました。尋ね回るうちに、立日橋近くにある写真館に飾られている本郷先生の家族写真を偶然発見し、気楽な気持ちで「先生の奥様に取り次いでもらえませんか?」と店主に話しかけました。
◆本郷先生怒る!
ある日怒り心頭の本郷が校閲部を訪ね「君のしたことは校閲ではなくプライバシーを踏みにじる行為だ もう景凡社には書かない」と言われてしまいます。
実は本郷は20年前に最愛の妻と離婚しており、家族のことに触れることは編集者の間ではタブーだったのです。
20年の編集部の苦労を一瞬で踏みにじってしまった悦子、クビを覚悟した悦子と編集部の貝塚八郎・・事の重大さに落ち込みます。
自宅(一階をおでん屋さんに貸している?)に戻ると、おでん屋さんの常連客のファンからエディターズバッグをプレゼントされました。
やめたくない思いが強くなっていき、編集部の貝塚に電話をかけ、直接先生にお詫びをしたいと打ち明けました。
◆先生に謝る
先生とアポがとれ立日橋にいるという。
「この度は誠に申し訳ありませんでした」
「別れた妻に会ってきたよ 我々には息子がいて最後にあったのは20年前だった
まだ、舌っ足らずだった息子が立日橋をたった橋と読むのが可愛らしかった
息子だけに送ったメッセージのつもりだったが、校閲をなめていたな・・・・」
「もう2度と先生の担当はいたしませんので、景凡社で書いていただけませんでしょうか」
「息子のことが気がかりで20年間ずっとそのきっかけを探していた。だが、逃げた妻にこっちから連絡するのも癪(しゃく)でね・・君には感謝しないといけないな 河野悦子略してコウエツ・・天職かもしれんな」と言って笑いながら去っていってしまう。
◆製本された小説
校閲部のところへ編集部の貝塚八郎が本郷先生の製本されたばかりの小説をもって来て、部長と悦子に一冊ずつ渡しました。チョベリグがしっかり地味にうまい!に変わっており、立田橋も立日橋にちゃんと修正されていました。そして最後のページには栞が挟んであり、そこには「贈呈 地味にスゴイ 校閲部河野悦子様 本郷大作」と書いてありました。必死に頑張ってきた苦労が報われた瞬間です。
◆出会い
翌日出勤途中、会社からアルバイトのために来ていた、折原幸人と偶然ぶつかってしまう。
髪の毛ボサボサで赤いジンベエと赤のジャージというかなりダサい格好で一見イケメンに見えないが、悦子は「超絶イケメンでどストライク」だと打ち明ける。
※おそらく、折原幸人は本郷先生の20年間あっていないという息子だと思う。学校でもパソコンを使って小説を書いていたし、血は争えないというところでしょうか?
◆河野悦子の人物像
- ファッションにうるさい おしゃれオタク
- 夢にかける熱い情熱は誰も負けない
- 常にポジティブシンキング
- 自信過剰
- 結構口が悪い(上下関係無視でズケズケと発言する)
- 空気を読まない
- 納得いかないことには絶対に引き下がらないタイプ
- その半面、人に愛されるぶちゃけた人柄
- イケメン大好き
◆キャラの個性が強い
最近の人気ドラマで、ハマったのは、不動産会社に務める「家を売る女」でした。
北川景子さん演じる三軒屋チーフのキャラが立ちすぎているのが人気の原因でした。
家政婦三田の松嶋 菜々子さんもキャラが立っていましたね。
共通点は、秘密めいた成り立ちと、常識にとらわれない異常なまでの職務能力です。
今作の石原さとみさんもかなりキャラが立っていて漫画的でおもしろいですね。
見どころは地味な仕事でも世間の常識を覆しながらも立ち向かっていくところです。一話目の最後で本郷先生からのプレゼントに、悦子の校閲の範囲を越えた行動に疑問を呈していた先輩からは「ありえない」という発言がありました。常識の範囲内での行動しかできなかったからですね。
※真面目に地道に長く続けることももちろん大切です。
◆演技について
個人的には、編集部の青木崇高さん演じる貝塚八郎が良かったと思います。
編集部というと、会社に寝泊まりする人たちをイメージしますので、青木さんのボサボサヘアーに無精髭、充血した目など、なかなか役作りに力が入っているとおもいました。青木さんといえば映画「るろうに剣心」で相楽左之助役がバッチリハマっていましたね。
森尾登代子役の本田翼さんの目を合わせない演技も、素晴らしいですね。何か深い悩みを抱えていていたり、自信がないとしっかり目を合わせてしゃべらないようになりますが、心ここにあらずの様子の演技がこれからを予感させていいですね。
石原さとみといえば、最近では「シン・ゴジラ」での演技が物議をかもしていました。
その前に見たのは「進撃の巨人」です。
シン・ゴジラは、現実対虚構が謳い文句で 徹底した現実に対して唯一の虚構の部分がゴジラだったのですが、石原さとみ演じるアン・パターソンは唯一、現実なのか虚構なのかわからない存在でした。
進撃の巨人では、映画なのにまるで舞台演技をしているような場違い感を披露していました。この2作に共通するのは、現実感のない虚構の人物感が強いことです。
そして今作ですが、狭い部屋でも大舞台で演技しているような現実離れした人を演じています。自信過剰で空気を読まない悦子らしい役作りだと信じたいと思います。賛否が別れるところかもしれませんが、このドラマの売りの部分なのだと思いました。
・ビンテージ感漂う、ノー・ダウトのグウェン・ステファニーのKennedy Center Honorsでのステージ衣装と校閲部の藤岩りおんの服は似ている。少し工夫すればかなりファッショナブルに見えますね。※ネクタイと派手目のブーツ、クビレを強調するために胸元のをつめ、袖を短めにしてワイシャツを出してめくりあげる。
◆世界で最も美しい顔19位
石原さとみといえばアメリカの映画サイトで世界で最も美しい顔100(2015)で日本人のトップで19位に入っていますね、本人は冗談かもしれませんが、芸能界から干される心配をしており、いつ失業してもいいように看護師になる勉強をしているようですが、辞める前に一度ハリウッドに進出してみてはどうかと思います。ゴジラでも英会話を十分できるレベルだとアピールしましたし。BABYMETALもがんばっていますしね!なによりも国際派の日本人女優は少なすぎますね。
「地味にスゴイ!」は、女性をはじめ、どんな小さな仕事でも一生懸命頑張っている人を応援するドラマ。自分の居場所はここなのだろうかと悩みながら働いている人ってすごくいっぱいいると思うんですよ。そんな人たちが、本当はやりたい仕事じゃなくても、本気でやれば自分をほめていいんだって思えるようなドラマにしたい。 プロデューサー 小田玲奈(マイナビ・ニュースより)
◆追記2話目3話目を見ました。
みなさんがよく言う感想「口が汚い」についてですが、
尖った性格の人が主人公なのです。2話目では自分がしでかしてしまったミスを校閲部のみんなが手伝ってくれるという話。もし、口汚いだけの女性ならば誰も助けないはずです。口汚いがキラリと光る何か、型破りの善意の行動とその行動力、信じるものにまっすぐと突き進む様子など、悦子には自分にないものを持っているナイフのような尖った人という意識が同僚にあると思います。特に編集部の貝塚は「たこ」言われている本人ですが内心ではかなり認めていると思います。
ただ単に校閲の仕事を黙々とこなすだけの主人公のドラマではありません。彼女は50年台に現れたロックンローラーのような尖った人(意外とジョン・レノンぽい)を演じています。
そんな尖った性格の人が仕事という人と人とのつながりの中でぶつかりながら成長して行く様子を描いたのがこのドラマの素晴らしいところです。校閲という仕事を通して主人公が成長していく様子や、彼女の成長だけではなく、職場のみんなも彼女から刺激を受け、少しずつ意識が変わっていく様子も上手に描かれています。
※ジョン・レノンぽいと感じるのは、口汚く世間の常識にとらわれず、世間に媚びることなく、一直線でバカ正直に次々と型破りな事を並外れた行動で実践するところ。仲間を大切にする親分肌であるところなどです。その行動力の刺激を受けたメンバーがビートルズです。ジョンは高校に通っていた頃、先生から「おまえはこのままでは落ちこぼれてしまう」と言われたときに「そこは天才のたまり場?」と答えました。ファッションに関しては美術学校にリーゼントと革ジャンという当時の常識では考えられない服装で通学して浮きまくっていましたね。