飼猫とサラリーマン
初老女性の孤独死。検死結果は「死後二週間」とのこと。部屋の中はにはいつもの悪習が充満、汚染された布団にはウジが這い回り、ハエが所狭しと飛び回っていた。ま、これくらいは当たり前の状況。言葉的におかしな表現になるが、この現場は「きれいな汚染」だった。故人も、そう苦しまなかったであろうことが伺えた。汚染は深かったものの、横への広がりが極めて少なく、汚染箇所の撤去はかなり楽にできた。この要因は二つ考えられた。一つは、就寝したまま横になった状態で息絶えたこと。もう一つは、使っていた布団が厚手で吸湿性の高いもの(高級布団?)だったこと。就寝中に死ぬ人は少なくない。しかし、コト切れる間際は苦しいのだろうか、布団に納まってきれいに横 になっている状態は少ない。布団から上半身だけでも這い出した状態だと、その後の腐敗汚染度がかなり変わってくる。また、薄くて吸湿性の悪い布団だと、布団自体が腐敗液を滲みだしてしまう。今回の現場は、布団一組・畳一枚・床板一部を撤去すれば汚染部はなくなった。あとは、ウジ・ハエを始末するだけ(消臭は別課題)。作業を終えて外に出ると、家の中のものとは微妙に違う異臭を感じた。この現場では、屋外のことは私の範疇にしていなかったので、知らぬフリもできたが、その異臭がだたのゴミ等とは違っていたので気になった。そこで、異臭の元を確認するため、異臭の濃い方進んだ。異臭の元はすぐ発見できた。家の裏、狭い物置スペースに猫の腐乱死体があった。すぐ依頼者に連絡。依頼者によると「故人は猫は飼っていなかったはず」とのこと。「野良か?」と思いながら外を観察すると、餌用容器が置いてあった。念のために、再び家の中に入って中を観察。台所に買い置きのキャットフードがあった。どうも、野良猫を飼っていたらしい。私は依頼者に状況を伝え、一度現場を見に来てくれるよう頼んだ。さすがに、猫の片付けは無料ではできない。お金をもらうからには、時間を要しても依頼者にBefore現場を確認してもらう必要がある。結局、猫の始末は後日施行することになった(詳細は先々のブログに載せるかも)。このパターンの飼い方は、社会には受け入れられにくいが、本人達にとっては快適だろう。お互いに束縛し合わず、お互いの責任もホドホドに、お互いに都合のいい時だけ関わり合っていればいいのだから。「半野良なんだから、腹が減ったら余所に行けばよかったのに・・・」「でも、人に飼われ続けていると、外で生きていく力はなくなるのかなぁ・・・」私はそう思いながら、ふと我に返った。「俺も飼われている身か・・・」「自分は、外でもちゃんと生きていける」と思っているとしたら、そんなのはただの一人よがり、大錯覚、大錯誤。ブラックカラーのサラリーマン、私はそう思う。トラックバック 2006-08-21 08:54:57投稿分より特殊清掃専門会社ヒューマンケア株式会社0120-74-4949