最近ニュースで「『送料無料』と言う表示を廃止するべき」と言うことをよく聞くようになった。それは労働者に対する対価がないような内容に見えてしまうから言うことだが、その表示をやめればいいだけとは思わない。

 
たとえ「送料当社負担」と言う表示をしたとしても、結局「実質送料無料」であることに変わりはない。
 
そこで問題だと思うことが2つある。
 
 
1つ目は「労働者に対する負担がなかったことにされているように見える」ということだ。
 
実店舗で買うとしても、そこには労力がかかっている。
そしてネット通販などで購入すれば、倉庫で働く人、運ぶ人、荷を下ろす人、届ける人がいて、そこには負担とそれに対する価値が発生するはずだ。
 
しかし送料がかからず実店舗と同じ価格であれば、何回かに分けて注文したりすることも容易にできてしまうし、「対価が発生する」という認識自体を持てなくなってしまうと思う。
 
2024年問題でドライバー不足が懸念されている中、ただ「表示を変える」だけでは対価に対する懸念は何も解決されないと思う。
 
 
2つ目は「環境への配慮」だ。
 
最近は「SDGs」や「サステナビリティ」などとよく言われるようになったが、「送料無料」表示は結果的には環境への配慮を損なうことでもあると思う。
 
先ほど『何回かに分けて注文したりすることも容易にできてしまうし』と書いたが、これが問題なのだと思う。
 
何回でも容易に注文すれば、そこで追加の労力がかかる。
ブラックフライデーなどでの混乱はまさにそれだ。
 
しかも送料がかからなければ「運んでいる」という認識が消費者の中で薄くなってしまう。
 
そして配送が増えれば二酸化炭素の排出量も増え、環境に負荷がかかる。
 
 
以上の2点をふまえ、送料無料は廃止するべきだと思う。
 
しかし、新しい形態としてネット通販がある訳だから、「ネット通販はよくない」「やめろ」などとは全く思わない。
 
ただ、「送料無料」表示を無くすだけではなく抜本的に仕組みを見直さなければいけないと思う。