北海道・旭川市でFM番組(*)のパーソナリティをつとめるアサリ(浅利豪)と、経営学者のコーキ(佐藤耕紀)によるクラシック音楽談義。2人は高校の同期で、かれこれ40年のつきあい。

*  FMりべーる「クラシックにくびったけ」

https://fm837.com/program/classic-ni-kubittake/

https://clatake837.amebaownd.com/

*  経営学者佐藤耕紀のブログ

https://management-study.hatenablog.com/

 

コーキ  コンドラシン(Kirill Kondrashin、1914~1981年)のコンセルトヘボウ管弦楽団(1979年、65歳になる年)も、名盤として名高い。

ロシア出身の正統派が、アラビアン・ナイトの世界を壮大に描く。

ロストロポーヴィチやゲルギエフの濃厚な表現とはまた違い、真摯で純音楽的な「シェエラザード」。

ヴァイオリン・ソロは、コンマスのクレバース(Herman Krebbers、1923~2018年)。

 

アサリ これは、コンドラシンが西側へ亡命した翌年の録音だね。

コンセルトヘボウの常任客演指揮者としての数少ない録音で、最盛期の貴重な記録。

モスクワ・フィルの音楽監督だった1960~76年ごろからの激しさに、高い芸術性も加わった、すばらしい演奏。

1981年にアムステルダムで亡くなったのは、本当に残念(まだ67歳だった)。

もし健在だったら、翌年からクーベリックの後任として、バイエルン放送交響楽団の首席指揮者になるはずだった。

コンドラシンに代わって首席指揮者になったデイヴィス(Colin Davis、1927~2013年)は、バイエルン放送響と多くの録音を残した。

もしコンドラシンが生きていたらと思うと、ファンとしては痛恨。

 

コーキ  コンドラシンとバイエルン放送響、心が躍るような組み合わせだね。

私も聴いてみたかったな。

 

コンドラシン指揮、コンセルトヘボウ管弦楽団(1979年)のCD裏ジャケット。

 

コーキ ハイティンク(Bernard Haitink、1929~2021年)指揮のロンドン・フィル(1972年、43歳になる年)は、知られざる名盤だと思う。

フィリップスの録音としては前出のコンドラシン盤があまりに有名で、その影に隠れてしまったのかな。

これを書いている時点では、「タワーレコード限定」の復刻版が出ている。

ヴァイオリン・ソロはコンマスのフレンド(Rodney Friend、1939年~)。

ロンドン・フィルの音色は美しく、情感もたっぷり。

ハイティンクは自然体で、泰然と落ち着いた雰囲気。

優雅で上品で、安心して聴ける。

録音はすばらしく明晰。

もっと有名になってもいいと思う1枚。

 

アサリ コーキとしては、珍しい録音をチョイスしたね。

ハイティンクという指揮者は、どうも私にはしっくりこなくて、相性の悪い指揮者のひとり。

彼は御大ヨッフム(Eugen Jochum、1902~1987年)のサポートの下、若干32歳でアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者になった(1961~88年まで在任)。

その後は1967年からロンドン・フィル、1995年からボストン交響楽団、2002年からドレスデン国立管弦楽団、2006年からシカゴ交響楽団のシェフ(首席指揮者)を歴任した。

ベルリン・フィルやウィーン・フィル、ロンドン交響楽団にも客演して多くの録音を残したけど、「シェエラザード」はこの1枚だけ。

確かに安心して聴けるけど、私としては今ひとつかな。

晩年のロンドン交響楽団とのベートーヴェンの交響曲全集などは充実しているので、もし再録音していたら印象は違ったかも。

 

ハイティンク指揮、ロンドン・フィル(1972)のCD裏ジャケット。