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ヴァイオリンという楽器は、
正しい作りものを、きちんと扱ってあげれば、
持ち主の時間を越えて長生きをします。
レンタルしていただいているメインの楽器も、
あと7、8年で300歳を迎えます。
まだ生きているとしたら、そこにはアフォー目前の私。
今の私には、そんな未来は想像できないのだけれど……。
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「楽器を道具として、自らの心を表現するのが音楽家。」
これまでの私は、音楽家がご主人様で、
楽器が従者のイメージを持っていました。
けれど、大きな時間の流れの前では、
太くしっかり伸びた楽器の生命に
蔓草みたいに絡みつくのは、音楽家のはかない命。
この世では、音楽家は「かりそめの客」なのかも……。
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ご縁が結びつけたヴァイオリンさまと私。
気持ちが辛い時、私はヴァイオリンさまに語りかけます。
「私が手にする前には、どなたが演奏なさっていたの
私が逝った後には、どこへと向かうの
私なんかと一緒で、今のあなたはシアワセですか。」
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ちょっぴり寂しい気分になりました。
でも、だからこそ短い生の時間を
いつでも「笑顔で頑張らないとイケないの!」
ヴァイオリンさまと私、一緒に手をたずさえて。
生きて行かねば、今がどんなに辛くても。
今日も、よい一日になりますように。
(ende.)