Ms.Violinistのひとりごと-山田和樹 横浜シンフォニエッタ 下田公演
(2011年(平成23年)1月5日(水):毎日新聞(朝刊))
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スイス・ロマンド管弦楽団との縁は2010年6月1日、
滞在先のロシアに届いたファクスで始まった。
9日後の演奏会への代役出演の依頼だった。
「不安もあったが、あこがれのオケの一つ。
好機は逃すまいと引き受けた」

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慣れない仏語と身ぶり手ぶりのやりとり。
音楽への熱い思いは団員の心をつかみ、演奏会は成功。
選考中だった次期音楽監督への就任を団員の総意で
要請された。
「音楽監督は運営や財政面にもかかわる重い役。
自分は力不足」と固辞した末、2012年9月から、
新設ポストの「首席客員指揮者」に就くことが決まった。

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幼児期からピアノを習い、音感を磨いた。
高校の吹奏楽部では打楽器や指揮を担当し、音楽祭で
プロの楽団相手にタクトを振った。
「弦楽器の音に体が包み込まれ、自分の指先に
音が付いてくる」感覚を味わい、進路を固めた。

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東京芸術大では松尾葉子、小林研一郎の両氏に師事。
一緒に音楽を作るためオケやスタッフとどう接するか、
先生の背中から学んだ」という。

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在学中は芸大生有志と管弦楽団「横浜シンフォニエッタ」を結成。
卒業後は約60のアマチュア楽団や東京混声合唱団の指揮などを
地道に重ねた。2009年、小澤征爾さんらを輩出した
仏のプザンソン国際指揮者コンクールで優勝。
今後もベルリン放送交響楽団、パリ管弦楽団などの大舞台が続き、
世界を飛び回る。

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願いは一つ。「飾らぬありのままの自分で、オケと一緒に自然に
流れるような音楽を作りたい」
(ende.)

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