
(2011年(平成23年)1月8日(土):毎日新聞(朝刊))
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「一人っ子」政策によって急速な高齢化が進む中国で、
高齢の親と別居する子供に対して、日常的に親元を
訪問することが法律で義務付けられる見込みになった。
1月5日付の中国各紙が、所管する民政省幹部の話
として伝えた。
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中国では1996年に施行された「高齢者権益保障法」
の改正作業が進められており、民政省がまとめた改正案が
近く全国人民代表大会(国会)に提案される見通し。
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改正案では、高齢者の「精神慰謝」という1章が追加され、
そこに「高齢者と別居している扶養者は日常的に高齢者を
訪れなければならない」と規定されている。
「日常的」の定義や頻度などは実施細則で定める方向だ。
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義務化する背景には、1人暮らしなどで孤立する高齢者の
急増がある。中国で同法の対象となる60歳以上人口は
約1億6,700万人。うち半数以上が子供と別居している。
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親孝行は中国で最も尊重される道徳の一つ。
だが、双方の親4人を扶養する「一人っ子」夫婦にとっては、
遠い親元を頻繁に訪れることが難しいという事情もある。
しかし、法律改正が実現した場合、違反した子供たちを
親が訴えることも可能になるという。
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もとはと言えば、「一人っ子」政策の歪みによる
高齢化に対する少子化。中国の将来像は日本の状況よりも
高齢者を支える若者世代の数は少なくなるという。
でも、「自分の子供を訴える」って、どんな気持ちだろう?
(ende.)
